学園入学

第45話 挟み撃ち




「では、行って来ます。」

「「まーす。」」


そんなわけで学園入学が決まったので

王都の屋敷へお引っ越しである。


入学に対して必要性を感じることができずに最後まで悩んでいたんだけど

姉ーずが「レオン君が行かないなら行かなくてもいいよね?」などと言い出したのでその他家族から鬼説得された次第だ。


まあ、身内ばかりと遊んでないで世間の風に当たってこいというのも父母の本音ではあるだろう。


当然セラフィも一緒に入学する。

メイザルグ家の隠し子という設定で。

貴族なんだから妾腹の子の1人や2人いたところで何の不都合も無いんだから。


父様が「頼むからその設定だけは!

俺はマリアナ一筋なんだぁぁぁ!」とか言っていたが今更使用人を入学させても変な輩が見下してきたり絡んできたりして問題をおこされても鬱陶しいし面倒臭いだけなので父様は黙らせておいた。


物理的に。


さて。

行って来ますと言ってはみたものの

3日も馬車に揺られるつもりはないので王都の別邸に馬車ごと転移する。


「はい、到着ー」

「ん。ご苦労様。

それよりレオン、お腹空いた。」

「さっき朝食食べたよね?」

「美少女は燃費が悪いと相場は決まっているのよ。」

「美少女とかそういうのは自分で言うと価値が下がるんだよ?」

「ほう?どの辺りが下がっているというの?

この美の結晶を前に。言うてみ?ん?」

「…ぺぇ?」

「なっ!?これは!!

まだ成長できてないだけでしょーが!」

「そのツルペタに成長する余地があると?」

「当たり前ですぅ。それはもうバインバインのプリンプリンになる予定ですぅ!」

「はいはい、なってから言うてもろて。」


この女神様、最初の印象はたんなるおしゃべりロリ美少女だったんだけど

降臨してからは化けの皮が剥がれて残念な所ばかりが目立つようになってきたのだ。


日本の隠れ家でボクの崇高な趣味本マンガやラノベを読みあさっているからなぁ…

だがボクは悪くない。

読んだのはセラフィであって読ませたわけではないのだ。

サブスクで色んなアニメも見てるようだし…



ちなみに姉ーずは12歳になり胸部装甲はふっくらしてきている。


「姉様達、屋敷に入りましょう。

荷物を部屋に出しますね。」

「「うん♪」」


はい、可愛い。


※姉ーず

(フフフ、レオン君の好みはバカに振り切ったアホの子かお淑やかで可愛い子なのは把握してるのよ。バカは無理だからお淑やかでおしていくの♪)


「まぁ、お早いお着きでしたね!

学園の制服が届いておりますので試着しておいてくださいませ。」


と、メイド長。

マイケル?あのチームはもうボクの手を離れているので別行動なんだ。

ボクに隠れてコソコソと何やら企んでいるようだけど

メイザルグ家に迷惑がかからない内は放置しておく。

ボクは相手の意思を尊重できる心優しい人間だから。


ネックレスのおかげで居場所はバレバレなんだけどね。

プライバシーを考慮して千里眼で覗いたりはしない。していないはず。

暇な時とかたまに?

いや、していないのだ。


猫さんの尻尾のつけ根とかどうなってるんだろうとか気になっていたとしても!


まぁ、そんな事はどうでもいい。


今は姉ーずのファッションショーに集中してあげなくては。


「レオン君、似合う?」

「とっても可愛いですよ♪」

「レオン、私は?」

「うん、すごく可愛いですよ♪」


ウフフ、アハハとなんとも平和な時間だ。


「でも姉様達が可愛い過ぎて男共が放ってはおかないでしょうし心配になっちゃいます。」


「大丈夫よ?私達がレオン君以外に興味を示す事なんて無いから。」

「もう、レオンったらヤキモチかしら?しょ、しょーがないわね!今夜は一緒に寝てあげる!だから優しくしてね?」


愛が重い…


そして「今夜は」じゃなくて隙あらば部屋に忍び込もうとしているのは知ってます。


「私はどうかな?」

「うん、セラフィも良く似合ってて可愛いよ」


ふふん♪と無い胸を張りながら姉ーずにドヤ顔である。


「「ぐぬぬぬぬ…」」


姉ーずの楽しみを邪魔するのはやめてあげてください。



・・・・・・・・・・・・



入学式当日


学園は馬車で10分ほどの距離なので寮に入らず屋敷から通う。


馬車のまま敷地内に入ると馬車を停めるスペースがあり、そこからは徒歩でそれぞれ目的地へ向かうことになる。


馬車を降りるとあまり会いたくなかった人がこちらに歩いてくるのが見える…

王族の証である美しい赤い髪に赤い瞳

ソフィア第一王女とエリス第二王女だ。


「サルスマン、馬車を出して。急用を思い出「レオン!」したんだけどやっぱりいいや…」


※サルスマンは王都メイザルグ家別邸の執事である。


王女達と反対側から歩いてきていた聖女アリスが声をかけてきたのだ。


挟み撃ちとはなんと姑息な!


「ご機嫌よう。なぜまた馬車に乗ったのかしら?」

「これはこれは、聖女様で「アリスよ。」はありませんか」

「レオン、ご機嫌よう。五年ぶりね」

「それより何かご用でもあったのでしょうか?」

「用がなければ話しかけてはいけないのかしら?」


はい、できれば関わりたくないです。

とは言えない。


「もぉ、アリスったら急に挟み撃ちよ!とか言い出して走っていっちゃうんだから」


やっぱりか!?


「第一王女殿下、お早う御座います。五年前も可憐でしたがさらに美しくなられましたね。」

「あら?もしかしてレオンですか?」

「はっ!レオン=メイザルグ、本日よりこちらの学園でお世話になります。王女殿下はまだ卒業なされてなかったのですね」

「えぇ、そうなのよ。色々と国の行事とかお仕事しているとなかなか単位が」

「レオン?私とはえらく態度が違うように見えるんですけど?」


関わらない人>関わってくる人だからね。


「ハハ、ご冗談を。」

「冗談ではすませませんよ!?」

「ハハ、ナイスジョーク」

「何言ってるのかしらこの子…?」


そういうとこやで?


「レオンも10歳になって大きくなりましたね。以前よりも凛々しくなったようです。この先女子達が放っておかないくらいに格好良くなりましたよ♪」

「勿体なきお言葉です。

ですがまだ中二にもなれていないショタっこですよ。」

「??中二??ショタッコ??」

「ハハ、なんでもありません。王女殿下の美しさに見惚れていただけです」

「まぁ!お上手ね♪お姉さんをからかっちゃダメですよ?メッ」

ソフィア王女殿下

プラス100ポイント!!


嗚呼!お姉様!ボクのお姉様はここにい「レオン君!?」たんだ!


んむ。

姉ーずがご立腹です。


「レオン…良い度胸ね?」


聖女様もご立腹でござる。




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