第46話 学園の壁画
学園に足を踏み入れた途端に聖女&王女ペアに挟撃されてしまった。
そしてジト目でこちらを見つめているエリス第二王女殿下。
姉ーずは公爵令嬢である聖女様と王女姉妹が相手ではさすがに失礼な事もできず…
成長したんだね。
さらに空気を読めない(読まない)セラフィが馬車からでてきてこんぬづわ。
「レオン?こちらは?」
そして食いつく聖女様。
「こちらはボクの妹の「姉でしょうが!」姉らしい人です。」
「レオンの姉の!セラフィよ。」
「まぁ!お姉様がもう1人いらっしゃったのですね!なんと
ソフィア第一王女、鋭いな。
さすがってとこか。
「あなた、なかなかよい目をしているじゃない。加護をさず「はい!レイラお姉様とレイアお姉様も負けてませんよ!」被せないでよ。」
「「レオン(君)…ちゅき♪」」
「ウフフフ、そうみたいね?」
「ハハハ、自慢の姉様達ですから!」
なにを口走ってるんだこの単細胞は?
姉ーずは超絶ご機嫌でボクの両サイドから腕を組んでウフフエヘヘとデレている。
その後方で1人…なにやらブツブツと独り言を言いながら考え込んでいる聖女様が。
「ねぇ、前に食べ損ねたお菓子は?」
そこに割って入るエリス第二王女殿下。
「エリス第二王女殿下、本日もジト目がとても理想的でゾクゾクするほど可愛いですね」
「それ褒めてる?」
セラフィが突っ込むが無視だ。
「う、うん。ありが…と。」
ほらね?通じた。褒めてるんだよ?
エリス様のジト目刺さるんだよなぁ。
「エリスは普段仲のよい身内以外とはお話しないのに珍しいわね?」
「レオンは特別。」
なんでや?
「あらあらまぁまぁ!エリスったら」
「なに?」
「ウフフフフ♪」
「これはこれは!お美しいレディが集まっていると思えば王女殿下と聖女様ではありませんか!」
誰だこいつ??
「あらカイーデさん、
いらっしゃったのですか。」スンッ
ありゃ?ソフィア王女殿下の様子が?
ニッコニコだったのが一気に能面のような無表情になったんだが!?
「この空気感の中を割って入ってくるあなたの神経が羨ましいわ」スンッ
おやおやぁ?アリス様もか??
「姉様姉様、あの男は何者ですか?」
「やん♡くすぐったいよぉ」
耳打ちしただけなんだが…
「レイア姉様20ポーインツ!!」
「え?何のポイント!?」
アリス様が不思議顔である。
「キュンポイントよ!」
いや、レイラ姉様?説明せんでもろて。
この場にいる全員がこっち見てるんですが…
簡単に言うと食いしん坊の女子達を落ち着かせる為のポイント制度である。
お菓子や食事などボクが提供するモノはこの世界では珍しいモノばかりだ。
しかもウマウマだ。
永遠にあれ食べたいこれ食べたいと言われない為にこういった制度にしたのだ。
ポイント欲しさに姉様達の女っぷりが上がってきているのもこの制度の良いところ。
「貴様!このゴールデンボール侯爵家嫡男のカイーデがいる前で無礼であろう!!」
勝手に自己紹介してくださいました。
「ほぅ?そこの2人、なかなか可愛いではないか」
姉様2人に向けてニチャリと笑うカイーデがもの凄く不快だ…久々にイラッときたわ。
「まあよい、私は婚約者のソフィア王女殿下に話があるのだ。お前たち下級貴族はさっさと去るがいい!」
「婚約の話はお断りさせていただきましたが?」
「何をおっしゃいますか!ソフィア王女殿下の婚約は血縁の無い所から婿をとるという事に決まりました!
ならば!ジャスティール王国内では私以外に条件の合う者などおりますまい!」
「ハァ…」
「ソフィア様、お気になさらず。
クィント公爵家からもこの件については叔父様(国王)にお話をしております。」
「ありがとうアリス。」
「キモい。帰れば?」
「おやおや、エリス王女殿下ともあろう御方がそのような物言い、お下品ですよ?」
「下品はお前の顔と性格だろう。」
セラフィ?
なぜここで出しゃばるのか。
「なんだ貴様は!!」ポッ
「お前に赤面されても嬉しくないわね…レオン、ポイントは?」
「うーん…マイナス50?」
「なんでよ!?」
「逆に今のやりとりのどこにキュンするとこあったの?」
「私カッコ良かったでしょ!?」
「さらにマイナス20ね」
「なぜ!?」
「それがわからない内はずっとマイナスよ?」
レイア姉様正解!
ソフィア王女
「まぁ!楽しそうな事をしているのですね♪」
「ソフィア王女殿下はすでに100ポイントお持ちですよ」
ソフィア王女
「あらぁ、嬉しいわ♪」
アリス様
「ポイントが貯まったら何かあるの?ていうか私のポイントは?」
レイア姉様
「ウフ♪それは…」
「姉様、お喋りが過ぎるのはマイナスポイントですよ」
レイア姉様
「はぁい、というわけなので内緒です♪」
レイア姉様は少し前屈みになり人差し指を唇にあてあざとく微笑む。
ウィンクも高得点だ。
んむ。可愛い。
「レイア姉様プラス30ポイーンツ!」
「やったぁ♪」
「ぐぎぎぎ…貴様らぁぁぁ!!!
俺様を無視するなぁぁぁ!!」
こちらに向けてカイーデが詠唱を始める。
が…
ドンっという爆発音!
「どびゅっしぃ!!」と変わった悲鳴をあげカイーデは校舎の壁に激突していた。
後に残ったのは残身を解いた黒いマントの人物だ。
白猫ビアンコなんだけどね。
ご丁寧に仮面で顔を隠し、さらにフードを目深にかぶっていたので本人はバレてないつもりなんだろうけどネックレスの反応でバレバレなんだよなぁ。
他の人は突然飛んでいったカイーデに驚いて固まっちゃっている。
ぶっ飛ばされたカイーデといえば
校舎の壁にめり込んでピクピクしているが死んではいない。
まわりの生徒達も何が起きたのかとザワザワと集まり始めていた。
「うわー、壁画みたいだね。じゃ、僕達はこれで。」
「え!?」
わけがわからないソフィア王女殿下
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
何故か引き止めるアリス様
「えぇー、ボク関係無いしなぁ」
「タイミング的にそんなわけないでしょ!」
そこで
ボォーンボォーンボォーン
始業前の鐘がなる。
皆が鐘の音に気を逸らした隙にビアンコも持ち前の身体能力で一瞬でこの場を去った。
「レオン、そろそろ行かなきゃ遅れちゃうよ?」
「うん、行きましょうか。
入学式始まるのでボク達はこれで」
「待って、僕も行く。入学だから。」
「私も入学なのよ!私も行くわ!
ではソフィア様、後ほど。」
ボク、姉ーず・セラフィ・エリス様・アリス様でその場を去るのであった。
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