第44話 思惑



時は遡り

ロリ神セラフィ降臨の日



雷のような轟音がレオンの部屋に響いた。

何事かと駆けつけたチームマイケルの前にはレオンともう1人、金髪ボブの少女。

「ど、どうも、女神セラフィです」


ざわつくチームマイケルと遅れて駆けつけた姉ーず。


レイア

「レ、レオン?」


レイラ

「女神ってどう言うことかな?」


レオン

「いや、セラフィ様の言った通りだと思うよ?」


レイア

「そうじゃなくて!」


セラフィ

「ワタクシがレオンにお願いしたのです。

降臨する為の器を作るように、と。」


ティナ

「本物の女神なの!?ですか?」


セラフィ

「偽者がいるのなら今すぐ天罰をあたえましょう。」


レオン

「そういうことらしいから。

これから一緒に過ごす事になるから皆よろしくね?」


セラフィ

「よろしく。というかレオン?

この者達はなぜ跪かないの?

不敬じゃないかしら?天罰が必要かしら?」


レオン

「ボクの家族にマウントとるなら今すぐ核を破壊するけど?いいの?」


セラフィ

「ちょっと待ちなさい!?

もう受肉したんだからやめてよ!

存在自体が消えちゃうから!」


レオン

「良いこと聞いちゃったぁ♪

保険かけといて良かったぁ。

核の中にボクにしかわからないスイッチを仕込んでおいたんだよぉ」


セラフィ

「あ…」


レオン

「で?」


セラフィ

「なにかしら?」


レオン

「何か言うことあるんじゃない?」


セラフィ

「み、みんなぁ♪仲良くしましょうね?」


レオン

「はい、みんな拍手ー」


パチ、パチパチ、パチパチパチパチ


なんだこの気まずい感じのまばらな拍手…



最初は少し気まずい間柄だったが数日もすれば皆はセラフィの事を敬い始めた。


きっと夜な夜な開いているセラフィ教室の成果なんだろう。


そして


セラフィは当初からの希望通り、まずはこの世界のスイーツ巡りから始まり

食事を楽しんでいる。

チームマイケルから二名ずつ日替わりで付き添い&案内係が選出されて付き従う事になった。

傍目からは貴族のお忍びに見えていることだろう。



※セラフィ視点


まずはこの世界の住人達からの信仰を集める事からかしら。

信仰が集まれば集まるほど私の神格が上がる。

神格が上がれば今の姿だって成熟していくんだから!

レオンにいつまでもロリっ子なんて言わせないわ!

今に見てなさいよぉ!


当初の目的も果たしつつ、まずはこのレオンの家族?達からね。


「あなた達、集まりなさい。

これからあなた達に神からの教育を施してあげましょう。

あ、レオンには必要ないから休んできなさい?」


この者達はレオンを神、もしくは神の使徒と考えて信仰している。

ならば、レオンの守護神(仮)たる私への信仰も同じ。

レオンのこの先の事を考えても手足となる信者は必須よ。


現存するパパを崇める教会もいずれは全て飲み込み、

レオンが崇める神として!

女神セラフィを崇め奉る教会!

『セラフ教』を作りっ!

世に広めるのですっっ!!


この者達を使えるように教育し、さらなる信者を得るのよ!

そうすれば私も…クフッ


「さぁおまえ達、神の御告げである。

心して聞くがよい!」


洗脳?

フフ、そんなチンケな技術と一緒にしてはなりません。

これは布教です!!




「…と言うことです。

レオンの将来はあなた達の働きによって左右されるでしょう。

決して道を違える事無く、この女神セラフィの導きに従うのです!

さすればおまえ達の信仰も報われるでしょう!!!」

「「「ははぁ!!!!」」」


数ヶ月後


水面下で暗躍するマイケル達。

現在では女神教という教団が徐々に規模を拡大しつつある。


「女神セラフィ様の御加護を」

「女神セラフィ様の救いを」

そのような言葉と共に。


さらにそれを加速させているのは

現教会では考えられない格安のお布施である。

さらにさらに、女神の代理人とよばれる巫女のジュリアがその力を余すことなく使い病気も怪我もほぼ完璧に治してしまうのだ。


こうしてレオンの知らぬところでセラフィの狙い通りにゆっくりと事が進んでいくのである。



・・・・・・・・・・・・


※レオン10歳



王宮の庭


令嬢達が数人集まり小さなお茶会が開かれている。


アリス=クィント(13)

「教会の仕事も落ち着いてきたし今年から学園に入学しようと思っているの」


ソフィア=ジャスティール(15)

「それはそれは、学園が楽しくなりますわね♪」


エリス=ジャスティール(11)

「狙いはなんなの?」


シャルネーゼ=キャラバン(9)

「えぇ~、いいなぁ。シャルはまだ一年先なのです。」


サリア=コテージュ(14)

「ウフフフ、アリス様はこの時を待っておりましたものね♪」


アリス

「サリア、余計な事は言わないの。」


ソフィア

「あら、何なの?サリアさん教えてくださいな」


エリス

「どうせまたあの伯爵家の次男絡み」


アリス

「もぅ!サリアはおしゃべりね!」


シャルネーゼ

「まだレオン兄様を狙っていたのですね!?レオン兄様は渡さないのです!」



この5人は例の食事会で仲良くなり

時々こうやってお茶会を開いていたのだ。


ソフィアとサリアの2人は10歳で学園に入学しているのだがアリスだけは教会の仕事がーとか言い訳しながらレオンが入学する時を待っていた。

何故かエリスも。


実際教会の回復魔法士が足りていなかったのも事実で教会の仕事をしながら学園に通うのは無理があったのも事実。

この五年の間にアリス主導の下、回復魔法士の育成にも力を注いでいたので尚更である。


そう、全てはこの時の為に。



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