第42話 大人の階段




実験の翌日からは猫さん2人と見習い2人を交互にダンジョンへ連れて行くようにした。


30階まではそれなりに戦えていたけど

そこからは生傷が絶えない状態が続くようになり、40階あたりでジュリアが大怪我を負ってしまった。


ボク同伴なのですぐに全快したんだけどこのままでは危なっかしいので4人集めて会議を開く。


「マイケルとティナの強さはわかるよね?

君達があの力を得る事はできるんだけど少し問題があってね?

女性の場合、少し体調に変化がおきるかもしれないんだ。

簡単に言うと女性の場合は赤ちゃんの部屋付近が魔力の元となる臓器なんだけど…ね?

そこを強化する時に変な気分になっちゃうかもなんだよ。ハハハ」


結構濁して伝えたつもりだったけどティナからすでに聞いていたようで

全員が「喜んでっ!」と声を揃えた。


まずは猫さんのビアンコ。

「はいはい!最初はあーしね!」

と元気いっぱいだったので。


ベッドに寝かせておヘソの少し下あたりに右手を添えてゆっくりと念動力でビアンコの魔力を動かしつつボクの魔力で魔力臓器を刺激してうく。


「くっ!うっ、はぁん…」と徐々に艶っぽい声が漏れはじめ…


周りで見学していた3人も顔を桜色に染めてモゾモゾと足を組み替えたりしながら、それでも興味津々な視線でボクとビアンコを見つめている。


そろそろ念動力を止めても魔力の循環が自力で動き始めた頃。

時間にしてみればほんの数分なんだけど

「ハァハァ…ダメ、もう!ダメ!イッ!見ないで!イヤァ!くぅぅぅ…んんんん!!はぁぁぁぁん!!!!」


ピクピクと身体を痙攣させながらアヘ顔をさらしてらっしゃる。


「はい、次は誰?」

「あ、あのぉ!」

「ソーニャ?どうしたの?」

「こ、これってぇ、変な事してるんじゃないんですよね?」


変な事ってどんな事?

ちょっとそのあたりを膝をつきあわせて一晩かけて聞いてみたい。


「うん、そうだね。」

「でも!なんだか…コワイデス」


そりゃこの惨状を見ればそうなるよね…


「ん、無理にとは言ってないんだから自分で選べばいいよ。出ていけとか言わないし追い出したりしないよ?

それにもう十分なほど戦闘経験は積んでいるわけだしマイケルの下についてメイザルグ伯爵家のメイドになればいいよ。その辺のベテラン冒険者よりは強くはなってると思うし?」

「ううぅぅぅ…」

「すぐに決めなくても大丈夫だよ」

「あの!私は!お願いしたい…です」


ジュリアは俯きながら手を上げている。


「うん、いいよ。」


ビアンコを転移魔法で猫さん部屋のベッドに移動させて戻る。


「じゃあベッドに横になっ…」


おぉうふ。

ボクのベッドにオネショのようなシミが広がっているでござる!

これは…アレだよね?


そのシミから目が離せない3人。

黒猫のネロは鼻が利くのでこのシミが何なのかは予想がついているみたいで顔だけじゃなく身体まで真っ赤だ。


「パーフェクトクリーン!」

うん、便利な魔法を作ったもんだ。


「さ、どうぞ?」とジュリアをベッドへ誘導すると

「は、はいぃぃぃ!!」と元自衛官のような返事でとても元気である。


・・・・・・・・・・・・


うん、ジュリアも泣きながら天国への階段を上ったようでベッドの後始末をする事になった。


「ネロはどうする?」

「ビアンコがやったんだから

ややややらないわけないっしょ!」


その意気やよし。


・・・・・・・・・・・・


ネロも(以下略


ちなみに最後の言葉は

「んにゃぁぁぁん!!」だった。


早く大人になりたいなぁ。


「さて、んじゃ今日は解散し「わわわ私も!お願いしてもいいです…か?」あら?」


ソーニャも(以下略


結局4人とも人外の道へ足を踏み入れたわけだ。


前衛のネロとソーニャ、遊撃のビアンコはまずは身体強化の加減を教えなきゃ。

後衛のジュリアの魔力なんてギュンギュン循環している。

さすがは後衛なだけはある。

まずは魔法の出力の抑え方を教えなきゃね。


さて、「パーフェクトクリーン!」


部屋全体に籠もるエチチな香りもなくなったし少し休憩しよう。


うん、色々と気を使って疲れたよ。


早く大人に(ry



・・・・・・・・・・・・



ちなみに…


実験翌日からはティナとマイケルと姉ーずは無視。

いないモノとして扱った。


食事もデザートもこの世界のモノだけ。


ボクと猫さん達、ジュリアとソーニャは食後に色んなアイスを美味しそうに食べている時に別の部屋で紅茶をすするだけだ。


数日後、マイケルはジャンピング土下座で許しを願いでてきた。


理由は簡単、魔法陣の刻印を使用不可にしたからだ。

いちど楽を覚えると…ってやつかな。

トドメになったのは収納魔法だったという。

収納空間に暗器とか普段身につけていたモノを全部入れていたらしく収納魔法が使えないと知ったはいいがボクからは無視され避けられていたので久々に顔を見た途端にダッシュして謝りに来た。


姉ーずには実験の翌日からボクの部屋への立ち入り禁止を実行。

就寝前までボクの部屋でのんびりするのが日課になっていた2人には効果的なのだ。

チョコとかアイスとかジュースとか…ね?


部屋の中から遮音付きのシールドを張って姉ーずとティナとマイケルの立ち入りを不許可に設定。メイド達と猫さん達や見習いの2人は入ってこれるのに姉ーずとティナとマイケルはドアを開ける事すら出来ない状態にしたった。



あんまりチクチクと虐めちゃ可哀想だから5日だけで許したよ。



後に語られるのは地獄の5日間だったという話。

たかがボクに無視されるくらいで大袈裟だなぁ。

まぁ、贅沢を覚えちゃうと後が大変らしいからね。


そしてボクを絶対に怒らせてはいけないという話がメイザルグ伯爵家で暗黙のルールとして広がるのであった。



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