第6話 侯爵家からのお誘い


この世界には3つの大陸が存在しているのだが、まずはこの大陸。


北部に存在する魔物の森。

森と称されてはいるがその広さはこの大陸の三分の一を占めているといわれている。

奥に行くほど、つまり北上するほど魔物の脅威度があがる傾向があるので森の最奥にそびえ立つガゼル山に到達した者は居ないと言われている。


そして森の真南に位置するのがボクが暮らしているジャスティール王国だ。

魔物の森の潤沢な資源を活用することで発展した豊かな多種族国家である。

割合的には人種が一番多いがエルフやドワーフ、獣人も暮らしている。

それぞれの種が得意な事を生かして生計を立てているこの国ならではの発展具合は他の国の追随を許さないほどである。


エルフ種は魔法に秀でており森での活動も得意なのでハンターになる者や魔法を生かした職業を生業とする者などが多く見られる。


ドワーフは力の強さと手先の器用さを生かし鍛冶士や建築士を生業としている者が殆どだ。

中には鉱山に籠もり鉱石の採掘に没頭する者もいたりするらしいが例外であろうとの事。


獣人は主に男性は肉体労働を得意とし力の強さや俊敏さを生かしハンターになる者や現場仕事に精を出す者が多いらしい。

女性はハンターになる者も多いがそれ以外だと家事全般とといったところか。


異世界モノによくある奴隷制度もあるにはある。

この国では国が管理しているギルドがあり、奴隷商もさげすまれることのない真っ当な商人なのだ。

というのも、奴隷となる個人が了承しないと奴隷にはなれないという奴隷保護法という法があるから。

どこの世界にも貧富の差は必ずあり貧しい家庭からは食い扶持を減らせる、金銭的に親を助けられるなどの理由で奴隷として身売りする者もいる。

それも奴隷保護法のおかげで奴隷として身売りしても衣食住は保証されているし

命に関わるような行為や命令は禁じられているので安心して奴隷になれるのだ。


勿論、光あるところには必ず闇も存在するわけで…

けしからん奴等も居るという事も忘れてはならない。


他の大陸や近隣国家の事は次の機会にまた…


今日の家庭教師による授業はこんなところ。



・・・・・・・・


その日の午後


「レイナルド、シュナイゼル義理父様おとうさまからお祝いがしたいので3週間後にパーティーを催すと連絡がきたぞ」

「3週間後ですか?」

「お前が学園に戻る前にとの事だ。」

「ハァ…お祖父様はまったく…

わかりました。伺いましょう。」


シュナイゼルと言うのはマリアナ母様の実家である侯爵家の当主、

シュナイゼル=キャラバン侯爵の事なのだが

このお方がまた子煩悩でマリアナ母様の事も未だに小娘のように扱うものだから

母様からは子供扱いをウザがられ、

父様に至ってはリスペクトしてはいるがウザ絡みされるので顔を合わせたくないと顔にでている始末だ。


「何を他人事みたいな顔をしている?

もちろんレオンも行くのだぞ?」

「え!?」


マジかぁ…


「え?とはなんだ?義理父様はレオンもご指名なのだ。もうお前も5歳なのだから御披露目したいとおっしゃっているのだ。」


うわぁ、他の貴族とか会いたくねぇ…

侯爵家が満を持して御披露目するとなるとかなりの数の寄子や他の貴族がくるはずだ。記憶が覚醒するまでのこじらせレオン君が意地悪してたヤツとかも!

原因は相手側がこのミニブタオークちゃんの陰口を叩いていたからなんだが…

そんなとこで挨拶とかしたくないし御披露目されたく無いー!

わざわざこんな肉団子ちゃんを披露しようなんてお祖父様は何を考えているんだ。

イケメンの兄様と可愛い姉様だけで満足しろよ!


よし、仮病で…

「当日になって仮病とかは駄目だぞ?嘘だとすぐにバレるし、仮病じゃなくとも我が家の管理能力を疑われてしまう。

必ず同行させるからな。」


詰んだ。



・・・・・・・・



その日の夜、就寝前


ボクは3週間後に控える憂鬱の元を忘れる為に魔法の解明に没頭していた…が。


う~ん、

こんな魔法陣とかを開発?というより考えた人って何を想像して魔法陣という概念を作ったんだろう?

無から考えたにせよ並大抵の事じゃこんな複雑怪奇なシステムは思いつかないよね。

魔法の起源とかどうなってんだ??


そんな事を考えていたボクは…


やらかした。




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