第51話 Aランク
王都のメイザルグ家別邸
コンコン
「レオン様、よろしいですかな?」
ボクの部屋をノックしたのはマイケルだ。
「いいよ、入って。」
入って来たのはマイケルとどこか怯えている商業ギルドのギルマス、夕霧さんだった。
「夕霧さん、こんばんは。生きてたんですね?よかったよかった。」
「一応教育を施しました。ほら挨拶しなさい。」
「レ、レオン様、た、たしゅけてぇ!
このおっさん怖いぃ!」
「お見苦しい所を。コヤツはあと一週間ほど教育の必要がありそうです。」
「ヒィィィ!!!もう嫌やぁぁ!」
「さ、逝きますよ。」
「いぃぃぃやぁぁぁぁ…」
その後、教育という名の拷問&洗脳を数日施されている最中、女神が降臨し助けてくれたという奇跡を体験した夕霧さんは見事に女神教の信徒にクラスチェンジを果たす。
なんというマッチポンプ。
こんな茶番劇で入信者を増やしている女神教って大丈夫なんだろうか?
そうそう、鑑定眼鏡は少し性能を落としたモノを渡しておいた。
見てはいけないモノまで見ちゃうとこうなるんだよ?という教訓と共に。
さて、冒険者ギルドでは普通に登録を済ませ…と言いたいところだがやはり定番のアレがおきるわけで。
「おいおい!いつからここは託児所になったんだぁ?お子ちゃまは帰ってママのおっぱいぶべらぁ!!」
常時マイケルチームの誰かがボクのそばについているんだけどみんな問答無用で攻撃するようになってきたなぁ…
からんできた
姿は隠してるけど、今みたいに出てきても特定されないようにフード付きの黒マントを装備して何者がわからないようにはしている。
ちなみに今日はティナだ。
ネックレスでもわかるんだけど褒めて欲しそうにソワソワしている時点でバレバレである。
相変わらずあぽ可愛い。
「おい!なにやっちゃってくれてんだ?おぉん!?」
いや、ボクじゃないよ?
「子供だからって先に手を出されちゃあ黙ってらんねぇぞ!ごら!」
いやいや、ボクじゃないよね?
「
からんできた冒険者はその場に崩れ落ちた。
「てめぇ!仲間に何しやもぐぉ!」
からんできた冒険者はその場に…
「おい!仲間はなぁ…俺にとって!
俺の、俺の大事ぁふん!!」
からんできた冒険者は…
「小僧!そのへんにぺきょ!!」
からんで…(ry
ボクを中心に崩れ落ちた冒険者でサークルができてるんだけど…
ナニコレ?
生け贄の儀式か何かなんだろうか?
「あの…」
受付のお姉さんに声をかけると
「大丈夫ですよぉ♪」
と、いつものことなので的なスマイルである。
なんとも心が洗われるようなステキスマイルである。
某ハンバーガーショップの店員さんにも見習って欲しい。
サークルを跨いで手招きしてくれている受付のお姉さんのもとへ行く。
「本日は登録ですか?それともお姉さんに会いに来てくれたのかな?」
「お姉さんをデートに誘いに来ました!」
「おい」
「あらぁ♪嬉しいんだけどまだお仕事中なのよぉ」
「ではお仕事が終わる頃に…」
「待てこら!」
あ、セラフィが一緒に来てたの忘れてた。
「お子ちゃまは帰って積み木でもしてなさい?」
「あんたより年上だから!」
「お姉さん登録お願いします。」
「無視か?無視するのか?
いい度胸じゃないの!!」
「こちらの可愛いレディも一緒にお願いします」
「あらん♪可愛いだなんてぇ」
うっわー、チョッロ。
不安になってくるレベルでチョロインなんだが…
「それではお二人、登録という事で進めていきますね♪こちらに記入をお願いします」
2人分の記入をしてお姉さんに渡す。
「…あら?え!メイザルグ?
メイザルグ伯爵家なの!?
少々お待ちいただけますか!?」
「いや、ギルマスとか呼ばなくていいんで。」
お姉さんがつい声を荒げてしまったもんだからまわりの冒険者達が
「メイザルグ…だと!?」
「あいつら死んだわ」
「なんでこんなとこに」
「あっぶねぇ、もう少しで俺も」
などなど。
別に殺さないし危なくもないから。
余計な事さえしなきゃね。
「し、しかし!そういうわけには」
「じゃ、時間も無いのでこのまま登録進めてくださいね。」
学園の生徒が登録しにきただけなので、とお姉さんを説得しEランクで登録完了。
帰り際
入り口付近で謎のサークルを作っていた冒険者パーティー(?)はいつの間にかいなくなっていた。
きっとマイコゥの教育的指導を施すために場所を変えたんだろう。
そんな事を思っていると
「やあ、見かけない顔だね♪
新人さんかな?」
と声をかけてくる爽やか臭のする好青年風の冒険者。
「はぁ、今登録したてなので新人ですね」
「なにコイツ?キモ。」
セラフィさんや、仮にも女神様なんだからキモとか言っちゃダメでしょ?
「ハハ、手厳しいね」
と爽やか冒険者。頬がピクピクしてるけど大丈夫?
「まあ、困った事があったらいつでも頼っておいでよ♪出来る範囲内なら助けてあげるからさ。
僕はAランクパーティー
『ゴールドスネイク』のリーダーのグライズだ。」
「はぁ、Eランクのレオンです。」
「・・・・・。」
「ハハハ、そちらのレディは照れ屋さんのようだね」
そう言ってグライズが小さく舌打ちしたのをボクは見逃さなかった。
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