第2話 メイザルグ伯爵家




朝食を済ませたボクは自由時間となる。

子供の特権かな。

部屋に戻ったボクは夢で見た前世?の記憶を少し考えてみた。

あの能力が実際に使えたのか?

もしそうなら現在も使えるのか?

試してみる事にした。


まずは…


部屋のドアの前に立ちベッドの上にある枕を浮かせるイメージを作って手元に手繰り寄せ…


シュッ!ばふっ!


んむむ

キャッチし損ねて顔面にヒットした。

花瓶とかにしなくて良かった…

危うく顔面ズタズタにしてしまうとこだった。


うわー、マジかー…


何となくだけどそうじゃないかという気はしてた…

これでボクの前世の夢がガチの記憶だって事が証明された感じだ。


それから色々と出来ることを試したんだけど…


うん、ちゃんと能力は継承されてる。


色々試してみて発見した事が1つ。

元居た世界の人類とこの世界の人類はほぼ同一の人種だ。

違いなんて1つしかなかった。


この世界の人類は地球の人類よりも臓器が1つ多い。

なんの役割かはわからないけど

どことも繋がってない臓器がへその奥にあるんだよ。

何のための臓器なんだ?

前世の中学二年生の知識は

『それは魔力臓器だ!』と叫んでいる。

なんでわかったかって?

健康状態をチェックするために自分の身体を透視スキャンしたんだ。


やり方はまずは千里眼で自身を俯瞰する。

そして全身を透視する。


ボクの使える千里眼は意識を自由に飛ばせる感じと言えばわかりやすいかな?

感覚的には幽体離脱に近いかも。


で、この2つの能力の組み合わせで体の中を覗き見る事ができるし

もっと集中すれば脳の中を駆け巡る電気信号まで確認する事ができたりもする。

2つの能力を同時に使うからかなり集中しないといけないので動きが止まっちゃうのが弱点なんだけどね。


精神感応テレパシーも相手の思考を読み取ろうとすると瞑想状態に入ってしまい動きが止まってしまうという弱点があるので戦闘中に思考を読んで先読みできたりするような事はできないのだ。


瞬間移動テレポート念動力サイコキネシスはイメージが出来ていれば発動できたりするので超便利だったりする。


そしてこの能力は誰でも習得可能なんだ。

ボクが透視と念動力を使って脳の中のスイッチを入れる事によって脳のリミッターを解除することができる。

あとはその人のセンスと訓練次第。


でもそんな事はやらない。

面倒だしメリットも無い。

第一、敵になるかもしれない人間を増やす必要は無いのだ。

前世のように、、、



・・・・・・・・


それから数日。


この数日で屋敷の使用人達などから情報収集したのだ。

こっちで生きた五年の記憶と元の世界の記憶が混ざってしまったからね。


この世界が剣と魔法のファンダジーな世界だという事の再確認。


メイザルグ伯爵家の領地は王都より馬車で3日の距離にある。

魔物の森から湧き出てくる魔物を食い止めるべく王国より代々この地を任されている。


屋敷の書庫で調べてみたんだけど

魔物の森の中心にあるダンジョン資源を筆頭に川・湖・鉱山など、

あらゆる資源に恵まれた土地なのだが…

魔物が脅威であるが故にせっかくの資源を活かしきれないでいる。

勿体ないなぁ。


ちなみに、メイザルグ家の構成は

父、レックス31歳

代々この地を預かる伯爵家当主で

魔法と剣の両方を得意とする所謂魔法剣士。

親友が魔物討伐任務で亡くなったため行くあてのない親友の妻を引き取り子供達を養子として引き取った。

尚、前妻(親友の妻)との間には何の関係も無かった。

現在は会議のため王都に出張中。


母、マリアナ21歳

侯爵家より嫁いできた侯爵家三女で

基本的な魔法が使える程度の箱入りお嬢様。戦場の獅子と呼ばれるレックス伯爵に思いを寄せていたがすでに婚姻し子供も2人いたためあきらめていたところ、伯爵婦人が流行病で亡くなったため猛プッシュ。後妻として伯爵家に嫁いできた。


兄、レイナルド11歳

流行病で亡くなった前妻の忘れ形見で伯爵家嫡男。

愛情深いマリアナのおかげで道をたがえる事無く真っ直ぐ育っている。

剣と魔法の修行と貴族としての知識習得の為、王都の学園に在籍しており王都の屋敷に滞在中。


姉、レイラ7歳

兄の実の妹で前妻の子。美しくも可憐な少女。

普段は家庭教師から貴族のマナーや学門、魔法を習っている。


最後にボク、レオン5歳

前世は無敵のサイキッカー。

最後は殺されちゃったので無敵ではないか…

今世は父親譲りのプラチナシルバーの髪に母親譲りの美しい容姿、

3歳まではそうだったのだが呪い師のおかげで現在は醜く太ったチビオークちゃんだ。

司教曰わく、生命力を削るのろいに対抗して生命力を活性化させるまじないいをかけた結果だそう。

呪いが解かれれば残るは活性化された生命力ってことで栄養をどんどん摂取して溜め込む体質がオークの元ってことだ。

3歳から太り始め5歳で立派な肉団子。

周りからの皮肉やら嫌味やら憐憫やらのおかげでこじらせてしまい素直になれない悪戯オークとして有名になる。


正直この身体は重すぎる。

こんな魔物のいるような世界でこの鈍重な身体は致命的だ。

この世界で生き抜くためにもダイエットせねば。








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