第27話 ホワッツ!?マイキェオ!



精神感応テレパシーでマイケルの様子を伺うと…あららら、マイケル。

困惑させちゃったかー。

さて、どうするか?

記憶を消すか…

いや、記憶の操作は脳をいじるから後遺症がでたりする時もあるしなぁ。

とりあえず説得してみよう。

難しいだろうけどなんの疑問ももたずにボクを信用してくれるならそれでいい。

それが無理なら契約魔法を使うか

最悪記憶を操作する事になるかな。



コンコン

「失礼します…」

「そこに座って?」

「は、はい…」

「何をそんなに動揺してるのか…だいたい想像つくけどさ。」

「レオン様…レオン様はもしや神様の…」

「違うよ」

「で、ですが!レオン様のお力は」

「これはボクの努力の成果だよ」


ま、嘘はついてない。

ボクの前世での能力も元々はもっと微弱なものだった。

それをここまで使えるようになるまで訓練したのはボク自身の努力だ。

この世界での魔法もそうだ。

次元魔法は貰い物だけどそれだって研究の成果のご褒美なわけだしね。


「たしかに、レオン様の努力は並大抵の事ではないと思います…しかし!」

「魔法ってさ、どうして使えるのかわかる?」

「どうして…と申されても知識を身につけ鍛錬すれば誰でも」

「その知識ってどこからもたらされたもの?」

「昔からの研究の成果、かと。」

「じゃあ、その研究って何を研究してた?」

「魔法を使う為の詠唱を過去の文献から」

「その文献とやらに詠唱の文言が書かれていた、それはいいんだけどさ。じゃあどうして言葉を発するだけで魔法陣が発現するのか、だいたいその魔法陣っていうのは何なのか?」

「・・・・そういうモノなのでは」

「そこがおかしいんだよ。魔法陣が発動するのは当たり前、それが普通、歴史を積み重ねる事で皆がそう思い込んでしまっているんだ。」

「なるほど…」

「ボクはそこが納得できなかったから調べた。そして発見したんだ。」

「しかし、そんな短期間で…」

「ボクはこう考えたんだよ。

魔法というのは神の力である。

魔物が存在するこの世界で人が魔物に対抗するための力をこの世界を作った神様が人に貸し与えた。

その力を呼び出す手段が詠唱であり、呼び出された魔法陣こそが神様が人間に貸し与えた力である、と。」

「おぉぉぉ、なんという考察」

「そして魔法陣に秘められた謎をボクがこの世界で初めて解き明かす事ができた。」


イケオジ神様がそう言ってたからね。


「で、ではそれを発表すれば魔物の脅威は」

「発表しても理解できる人がいないんだよ。ボクには元々そういう理解力みたいな能力があったみたいでね、今まで他の人が魔法陣の謎を解き明かせなかったのはその能力が足りない、もしくは無いんだと思う。」

「そんな…」


そりゃそうなるよね。

5歳の子供が過去誰も届かなかった真実に辿り着いたとか信じられないよね。

実際はアラサーのサイキッカーなんだけどさ…。


「うん、そうだね。

でも、これが現実であり真実なんだよ。マイケルや他の人がどう思おうともね。

今ボクが説明した事でマイケルは魔法というものがどういうものか納得できたかもしれない。

でもさ、そもそもの原理が理解できないとボクみたいな魔法の使い方はできないんだ。」

「・・・・。」

「マイケル、ボクは目立つ事を望んでないんだ。お父様や将来伯爵家を継ぐはずの兄様を影から支えていけるだけでいいんだよ。」

「はい…」

「だから他言無用とかそこまでは言わない、でも騒がないで欲しいんだよ。ボクは地位や名誉なんて求めていないんだ。」

「かしこまりました…」

「まだ納得はできないだろうと思う。

こんな大発見だもんね。発表すれば研究者達は喜ぶだろうし、国もその力を利用するために出来うる限りの事はするだろう。

たとえそれが人道に反する事であろうとも。

ボクを捕まえて研究に協力させようとしたり人体実験しようとしたり…戦争の道具、兵器として利用しようとしたり、ね。」

「そんな!」


前世のように人間兵器として利用されるなんてごめんだ。


「ボクの使う魔法の存在が知られるのは構わないしボクが生きている限りは今回のようにバレる事もあるだろう。

だけど、その使用者がボクであることが知られるのはダメなんだ。

家族を人質にとられてしまったらボクは抵抗できないんだよ。」

「わかりました。私はレオン様を信じ口を閉ざすと約束しましょう。」

「うん、そうしてくれると助かるよ。ボクも家族を守るためとはいえ家族同然の人に何かしようとか考えたくないしね。これからもメイザルグ家の執事として僕達家族を支えて欲しい。」

「はは、なんともはや…勿論でございます、約束いたしましょう。」


よし!これで色々と動きやすくなるはずだ。矛盾点が出てもマイケルのサポートがあれば!


「では、マイケルには今回の約束とこれからの働きの報酬を先んじて渡しておくよ。」

「お給料は伯爵家から頂いております。レオン様から別途頂くわけには」

「僕の力を分け与えよう。」


これから役立ってくれるマイケルには本人がよく使う魔法と収納魔法の魔法陣を体内(指先)に刻印してあげた。

収納魔法、というより次元魔法は理解していないと取り扱いが難しく危険なので収納できる量と大きさに制限を設けておいたけど問題は無いだろう。


「収納魔法は人前では使わない事。使ってもいいけど誤魔化せるように事前に対策をしておくように。

無詠唱魔法も出来るだけ人目につかないようにする事。誰かに見られても『執事ですから』で通すように。わかった?」

「これは!!こんな!」


聞いてる?


「おぉぉぉぉ!!神よぉ!」


いや、なんでそうなる?

ボクに向かって祈りを捧げんなし!

違うかりゃぁぁぁぁ!!




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