第37話 男なら。




ブラックヘアー・モウ。

確かに美味しかった、美味しかったけど!

日本で生活していたボクからすれば

あのマイケルが人格崩壊するほどではなかったはず。

なかったんだけどなぁ…


翌日の朝


マイケルが荷馬車を手配してくれていた。メイザルグ家の馬車だと全員乗れないからね。

男性陣は放置しても問題は無いと思う。問題は女性陣。


「もし、行くあてが無いならここに来ればいいよ。普通に生活できる目処が立つまでなら居てもらってもかまわないから。」

「「お気遣いありがとうございます」」

薬草採集のクエストを受けていた冒険者見習いの2人(13)(14)は礼儀正しくお辞儀している。


「ウチらみたいな獣人もいいんだ?」

「嬉しいんですけどぉ♪」

「「レオンたん優しーしぃ♪」」

この平成のギャルみたいな喋り方の2人(15)は髪の白い子と黒い子の獣人ペアで運悪くゴブリン討伐のクエストに参加してしまった2人だ。

2人ともフサフサの耳がピョコっと…本物のネコ耳だよね?あれ。

長めの尻尾もユラユラと揺れている。

もし、もしもここに戻ってきたら触らせてもらおう。絶対だ。


「あぁ、神様レオン様…私はあなたの下ではべりたいですぅ。むしろ肉が食べたいですぅ。そして働きたくないですぅ。」

「うん、君は街に出ずお父さんと一緒に帰って猟師としてひっそりと山で生きていけば良いと思います。」


猟師の娘(14)はダメな子だった…

なぜ本音を声に出すのか。


「うぅん、いけずぅ、でもそんなレオン様がちゅきっ♪」

「・・・マイケル、護衛騎士をつけて早く行ってもらって。」

「はい、かしこまりました。」


少しして


「ではレオン様、行ってまいります!」

「うん、よろしくね。」

「ああああ!レオン様ーー!!

私は絶対戻ってきますからぁぁぁ…」


猟師の娘の声が荷馬車とともに遠ざかっていく。


大人しく山でウサギや猪を狩って暮らせばいいと思うよ。

君が世に放たれるのはきっと世界の為にならないと思うんだ。


「マイケル、あの猟師に…」

「かしこまりました。あの猟師には娘が街に侵攻するような事があれば極刑だと伝えておきます。」

「う…うん。そうだね。それが我が領の為、結果的に王国の為だよね。」


有能執事マイケルが復活したようだ。

昨晩のウルウル目の老害はきっと他人だ。他人なんだ。


「じゃあ、マイケルは今日1日はお休みしてゆっくりしておいて。」

「そのような必要はございませんぞ。

今のワタクシめは心身共に最盛期を迎えております。」


まさか…


「おそらくレオン様の魔法のおかげかと。」


やっぱりかー。

感情が高ぶってしまって容赦なく全力でヒールしたもんなぁ…

これから気をつけよう。


「そ、そうか、良かったね?」

「神に感謝を。」

「違うからね?」


なんか振り出しに戻ったな。


「マイケルさん、あんたも神の力を授かったのか?」

「試してみますかな?」

「望むところだ!神の使徒となったのは私が先だという事を見せつけてやる!」


数分後


「フッ…その程度の幼稚な技でこのワタクシを倒そうなどと片腹痛い!

コヤツは今までよりもっと厳しい修行をさせねばなりませんな」

「いや、たぶん聞こえてないと思うよ?」


マイケルにボッコボコにされたティナさんは殺虫剤をぶっかけられたGのようにひっくり返ってピクピクしていた。


元から体術は達人級、そこにボクが魔法陣を刻印したから数種類の無詠唱魔法も使える、さらに魔力器官のパワーアップで今までとは比べものにならない強力な身体強化まで手に入れたんだ。

現状ボクをのぞけばタイマン最強かもしれない。


「マイケル、ほどほどにね」

「フッ、もちろんでございます」



・・・・・・・・・・・・



結局見送った翌日に別荘に戻ってきたのはネコ耳ギャルの2人組だけだった。

冒険者見習いの2人は実家のある村に戻ったとのこと。


「あーしらは村が嫌で飛び出してきたかんね、帰るとこなんてないんだよねー。」

「だからぁ、できる事はなんでもするからレオンたんよろしくねぇ♪」

「・・・・・・なんでも…だと!?」

「あぁ!今なんかえちちな事考えたっしょ?」

「鼻が膨らんでるよぉ?」

「やらしぃ~んだぁ」

「ち、ちがうかりゃぁ!!!」

「主殿…私は情けないぞ、です。

そんな小娘に発情するくらいならまずは私が先だろ!でしょう?

わ、私だってなんでも…してもいいよ?」


うむ、可愛い。

この最後にデレてくる美しいおバカエロフさんが嫌いになれない。

しょうがないよね。

可愛いんだもの。


「じゃ、じゃあネコさん達は定住先が見つかるまでティナさんと一緒にマイケルの下でメイドの修行してもらおうかな。」

「お任せを。レオン様の信徒最強のワタクシめが小娘共に神の御意向を叩き込んでおきましょう。」

「うん、信徒とか無いからね?」

「お前たち、レオン様の一番は私だ。もし変なことしようとしたらただじゃおかないからな」

「えぇ?変な事って何ですかぁ?」

「そ、それは!変な事は変な事だ!」

「それってぇ、こんな事とかぁ?」

「ムー!モガモガー!!」

白ネコさんがボクの頭を谷間にはさんできたので息が苦しい。

抵抗?

するわけ無いじゃないか。

5歳といえど男は男なのだ。

ましてやボクの中身はアラサーのおぢさんだ。

デュフ。

ほんのりと甘い匂いがする。

そして服の上からでもその柔らかさが伝わってくる。

今、この瞬間を楽しまずして男と言えるのだろうか?

白ネコさんの推定Eを、このプニッポニョンを否定する事が出来る男がいるのだろうか!?

否!断じて否!!


あぁ、堕ちていく…



酸欠で堕ちたでござる。




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