【WEB版】超辺境貴族の四男に転生したので、最強スライムたちと好きに生きます!~レベル0なのになぜかスキルを獲得していずれ無双する!?~

御峰。

第1話 起きたら……ブロンド美女が見下ろす世界

「あ……このぷにぷに感……たまんねぇ……」


 自分のデスクに座り、暗くなった外を眺めながら、今日もか……と思いながら、ぷにぷにした癒しグッズを両手でもみもみする。


 勤務歴十年。大学を卒業して初めて入った企業に勤め続けた。


 朝八時に出社し、退社するのは大体終電直前。毎日がこういう生活。最初こそ日曜日は趣味を楽しんでいたけど、いまは寝るだけ。


 会社を辞めたいとも思ったけど、紹介してくれた先輩(部長)の顔を汚すこともできず…………気付けば夢もなく、ただただ働き続ける日々を送っている。


 今日も終電か…………はぁ…………。


 周りにも多くの人が残っていて、中には枕をデスクに乗せて、そのまま眠っている人もいる。


 はぁ……俺も少しだけ寝ようかな……。


 いつもなら仕事を終わらせて帰って寝るんだけど、その日はどうしてか眠さが酷くて、デスクの上で眠った。



 ◆



 全身に伝わるのは暖かい水の感覚。


 ぷにぷにしてとても気持ちいい。


 んん…………ん!? んっ!?


 今まで感じたこともない感覚に驚いて目を開ける。


「あら~おはよう~セシル~」




 はあああああああああああああああああああ!?




 そこには女神様よりも女神女神しているブロンド髪の超絶美女が僕を見下ろしていた。


「うふふ~初めてのお風呂に驚いてまちゅか~? だいじょうぶでちゅよ~ほら~温かいでしょう~?」


 温かいなんて問題じゃねぇよ! なんでこんな美人に見下ろされてるんだよ!? あれか? 夢か? 僕は夢で美女に見下ろされたいと願っていたのか!?


 というか、なんか生々しい夢だな……? 僕の欲望って……外国人の美女だったのには驚いた。


 それにしても…………くすぐったいっ!


「あうあうあ~!」


「うふふ~気持ちいいでちゅか~」


「あうっうっあ~」


 …………?


「は~い。終わりましたよ~すぐ拭くからね~?」


 直後、何かで体を拭く感覚。


 あっ! 待って! そこ拭かないで! ちょっと!


「あうあう!」


「うふふ~気持ちいいのかしら~?」


 ま、待っ……それ以上は……あ、あっ…………。


「あら? あはは~気持ちよくて出し・・ちゃったのね~あらあら~」


 そう話した絶世のブロンド美女は、笑みを浮かべてまた僕を洗ってくれた。




 一か月後。


 よし、今の僕の状況を冷静に……冷静に説明しよう。


 まず、僕は赤ちゃんになった。


 …………。


 …………。


 いまお前は何を言っているのかと思う人もいるかもしれないが、本当のことだ。


 どうやら絶世のブロンド美女は僕のお母さんらしい。


 お名前はミラお母さん。


 お父さんは柔らかい赤い髪をなびかせた超絶美男子。


 お父さんとお母さんは僕が見ても分かるくらいお似合いカップルだ。


 そのほかの家族というと、四つ上の兄、三つ上の兄、二つ上の兄、一つ上の姉、僕だ。七人家族で、お父さんが貴族というものらしい。


 貴族ってなんだよ! 生きていて貴族なんて聞いたこともないぞ!? いや、テレビで陛下とか聞いたことあるけど、貴族というより王様的なものだったから、貴族とかびっくりだよ!


 俺が思っていた貴族ってこう煌びやかなものだと思っていたけど、意外にもそんなことなくて、質素な生活を送っている。


 でもお母さんの料理が美味いようで、日々食卓の料理が美味しそうだ。


 僕はまだ年齢的に食えないので、遠目で眺めるだけ。


「うふふ。セシルったら、まだ早いわよ? それにしても、セシルって食いしん坊なのかしら……」


「赤ちゃんだし、匂いに釣られているんじゃないか?」


 お母さんとお父さんが近付いてきて、僕の頭を優しく撫でてくれる。


 自慢じゃないが、僕は良い子供を演じている……うん。演じている。


 ちゃんと雰囲気を読んで、泣くべきところで泣くし、普段はしずかに過ごしているのだ。


 まぁ中身は三十五歳のおっさんだから当然といえば当然か。


 はあ…………自分でいうのもあれだけど、自分のことをおっさんだと言える年齢になったもんだな。


 毎日会社に通っているから歳をとった感覚すらなかった。


 最近毎日ベッドで横たわった生活を送っているから、いろんなことを冷静に考える時間ができた。


 一か月も赤ちゃん生活をするんだから、さすがに夢ってことはないよな。


 となると、俺は転生とやらをしたのかな……転生とかどこのアニメの世界だよ。


 転生した理由を考えると…………たぶん、過労死だよな。


 記憶に残っている最後の日は、やけに眠くていつもなら会社で寝たりしないのに、珍しく眠った。


 きっと疲れていたんだろうな…………まあ、いつか過労死になるんじゃないかってのも思ってはいたけど、いつか辞めるを続けた結果、十年も経過したんだな。


 もし生まれ直したのなら――――今度こそ楽しい毎日を送れるように、自分の気持ちに素直になる生活を送りたい。


 何事も冷静に対応だ……!


 …………。


 …………。


 開いた窓から青空が広がっている。


 その時――――


 そこにあるもの・・・・が現れた。


 う、うああああああああああ!?

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