第13話 進化……そして強くなる意志
「スラちゃんたち~! ご飯の時間だよ~!」
『『『『は~い!』』』』
魔力操作を使って魔力を波状にして周りに広げていく。
これはソフィの『オープンサーチ』を真似て自分の魔力を同じ形にして周りに広めている。
人体に影響はないみたいなので、最近は常に魔力をこうする練習を繰り返している。
実は魔力操作の経験値はこっちの方がずっと上がりやすいのを知った。
ただ使うのではなく、経験値をより多く獲得できる使い方をするといいんだ。
『『『『美味しい~!』』』』
あの日から五日も経過している。
すっかり落ち着いたのもあるが、僕もリア姉もソフィもみんな心の奥には忘れることなく、一歩先に進んだ気がする。
ご飯の時間が終わったら二人とともにやってきたのは、スラちゃんたちの追悼する墓の前にきて手を合わせる。
あの日、僕たちを助けてくれてありがとう。
次にやってきた場所は――――エルダー森の前である。
もちろん、あのあとにまた狩りに出るというのは反対されたけど、だからこそ狩りをやめたくないと告げた。
リア姉もソフィも僕の意見に賛同してくれて、一つ約束ごとを交わして狩りを再開させた。
「お兄ちゃん? 今日は何かあるって言ってたけど、どうしたの?」
ソフィが可愛らしく首を傾げる。
今日は遂に――――この日がやってきた!
---------------------
スキル:
スライム使い=9998/9999
---------------------
スライム使いの経験値を上げるには、ご飯をあげる、一日一回撫でてあげる(これは千五百匹分できる)、みんなが僕のために働いてくれるが入っている。
「ちょうど『スライム使い』の経験値があと1となったよ~! これから上げてみよう!」
「「わあ! 楽しみ!」」
一匹のスラちゃんがぴょ~んと飛んできたので、大きくなった体をむにゅって撫でてあげた。
---------------------
スキル:
スライム使い=9999/9999
---------------------
――――【スキル『スライム使い』の熟練度が最大になりました。条件を揃えるとスキルが進化します。】
お母さんが言っていた通りだ!
…………そういや条件ってスキルによってそれぞれあると言っていたね。
「条件を揃えないと進化できないみたいだけど、どうやったら進化できるんだろう?」
「う~ん。スライムたちを愛でる?」
リア姉に言われた通り、近くのスラちゃんたちを愛でてみたけど、変化はない。
「スラちゃんたちに命令を出してみる?」
「スラちゃんたち! ぴょんぴょん跳ねてみて!」
スラちゃんたちがその場でぴょんぴょん跳ねるが、やはり進化はしない。
…………ん? そういや、僕には『進化』ってスキルがあったよね? これって使えないのかな? だって、進化は進化だし。
そのまま『進化』スキルを使ってみた。
――――【スキル『進化』により、スキル『スライム使い』が『スライムテイマー』に進化しました。】
「おお! 進化した~!」
「セシル! おめでとう~!」「お兄ちゃん! おめでとう~!」
二人に祝われながら、進化したスキルを覗いてみた。
---------------------
スキル:
スライムテイマー=1/49999
---------------------
熟練度が五倍に増えてしまったけど、今までのスキルよりも強力な気がする。
スラちゃんたちと繋がっていた絆の糸が、より強固なものに変わり、スラちゃんたちから感じる強さもより強いものに変わった。
――――そのとき。
スラちゃんたちの体に異変が起きた。
『『『『『あう?』』』』』
「スラちゃんたち!?」
『『『『『あわ、わ、わ、わ~!』』』』』
「みんなぁああああ!」
スラちゃんたちの体がもにゅもにゅって不思議な音を響かせながら、体の内側から何かが外に弾き出されるようにびよ~んびよ~んと伸び始める。
数を増やしていき、まん丸い体が星形みたいになっていく。
突然の出来事にどうしていいかわからないけど、スラちゃんたちから伝わってくる感情は、悪いものではない。
『『『『ご、主、人、様~』』』』
スラちゃんたちの声が不思議な感じで伝わってくる。
そして、みんなの体が一斉に全方位に星形のようにびよ~んって伸びてから縮んだ。
「もとに戻ったよ~?」
「みんな元気そうだね?」
戻ったスラちゃんたちは――――――――何も変わらなかった。
しいて言えば、ちょっと凛々しくなったかな?
体の大きさは変わってないし、色艶も変わってない。
「みんな? 大丈夫?」
『ご主人様~! 私たち~進化したよ~!』
「ええええ!? スラちゃんたちが進化したの!?」
『うん! 今までできなかったこと、たくさんできるようになったんだよ~!』
『褒めて褒めて~!』
『わ~い~!』
以前よりも話す言葉が多くなった気がするけど、雰囲気はあまり変わってないかな?
その時、驚くことがおきた。
僕に抱きついたスラちゃんたちが、なんと!
「わあ! スラちゃんたちが小っちゃくなっちゃった~!」
成長して僕たちが余裕で乗れるくらい大きくなり、少し小さなバランスボールくらいの大きさだったスラちゃんたちだが、飛びついた瞬間に体を小さくして野球ボールサイズに変身した。
今まで一度に飛びつける個体数が決まっていたから、小さくなってくれると一度に多くのスラちゃんたちが飛びつけるね。
「あはは~みんな小さくなっちゃった~!」
ソフィとリア姉にもたくさんのスラちゃんたちが抱き着いて、僕達はスラちゃんまみれになった。
しばらく体に付着したスラちゃんたちをなでなでしてあげながら、全身にくっついてぼよんぼよんしているスラちゃんたちがまた可愛らしく、とても癒された。
「スラちゃんたち、何だか
「なんか進化したってさ」
「そっか~だから体があんな風になってたのね~」
「スラちゃんたちが強くなったらしいので試してみようか!」
「「は~い!」」
エルダー森に足を踏み入れる。
あの日の出来事が蘇る。
もう二度とあんな風にならないように強くなるんだ。才能がないと下を向いてるだけじゃ絶対にダメだ。
僕の両手に温もりが伝わってくる。
「セシル~」「お兄ちゃん~」
「ん?」
「「私たちも隣にいるからね? 一緒に強くなろうね!」」
「ああ……!」
『私たちもいるよ~!』
『わ~い~!』
『もっと強くなるぅ~!』
リア姉、ソフィ、スラちゃんたちと森の中に入り、久しぶりの狩りを始める。
最初の子猪が現れて、一匹のスラちゃんが子猪に対峙した。
その凛々しい表情から僕たちだけでなく、スラちゃんたちも大きく成長したようにみえる。
『新しいスキルぅ~! スライム~バズ~カ~!』
体が少し後ろに伸びて、一気に加速して体を弾丸のように吹き飛ばす。
スラちゃんの弾丸が子猪を――――貫通した。
一瞬で子猪を倒したスラちゃんだが、このスキルを使って飛んでいく際の体が普通ではなく、
僕のスキル『スライムテイマー』によって、従魔となったスライムたちがより強くなったようだ。
もともと魔力を食べて強くなった上にスキルで強化。スラちゃんたちもぐんぐん強くなったんだね。
「う~ん。スラちゃんたち~!」
『『『『は~い!』』』』
「そのスキル――――禁止ね」
『『『『ガーン』』』』
リア姉の言葉に全員が衝撃を受けた表情になって、ものすごく落ち込んだ。
どうやら体に穴が空いてしまって、ちょっと見栄え的によくないし、肉が減ってしまったからだという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます