ヤクザの息子は役者の天才的な才能があった。だから今度はあの子の隣に──
ヤクザの組長である竜胆桜花《りんどうおうか》は後悔を残しながら死んだ。
その後悔が実ったのか、桜花は高校生の時にタイムリープしてしまう。
悔いたのは、天才女優の幾田有栖《いくたありす》の手を取らなかったこと。
今度こそと、桜花は有栖の手を取って文化祭の演劇をすることに。
そこで有栖の演技力を見せつけられながらも、無事にやり遂げることができた。
それから、桜花は坂月野乃《さかつきのの》という女優に指導を願い、新しくもらったMVの仕事に向けて撮影に同伴したり、放課後残って稽古をしたりと着実演技力を高めていく。
迎えた本番。時間は足りなかったものの、持ち前の才能で確かに演技力を伸ばした桜花だったが、共演した有栖が自分を見て泣き出してしまった。
有栖は自分の寂しさを埋めてくれる存在がほしかった。
桜花の才能は自分と同じ。しかし、変わってしまった芝居に離れていくような感覚を覚えたのだ。
そんな言葉を聞いて桜花はらしくもなく悩むが、組の娘である山口雅《やまぐちみやび》に励まされたことによって有栖の下に向かい、己の胸を打ち明けた。
寂しい想いはさせない。俺の目標はお前で、必ずそこへ行ってやるのだと。
桜花はそれを証明するために、周りを気にせず全力で撮影に望んだ。
有栖はそれを受けて嬉しく思い、ようやく晴れた気持ちで天才と呼ばれるほどの演技力を見せた。
こうして、初めての仕事は終了。
有栖は桜花に好意を寄せ始める。
桜花も、今回をきっかけに役者としての道を進んでいくのであった。