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一体何事かと思ったパレットは、天井や辺りを見渡し、ルルが喚くように鳴いている。


崩れ出した天井からは、小さな大地の欠片が落ち始め、祭壇の周りにあった柱は今にも倒れそうなほど揺れている。


「大陸を浮かしていた魔法が解けたんだ……」


ロロが呟くように、現在起きていることを話し始めた。


禁術と魔法陣が消滅したことで、空中大陸オペラが地上へと落ち始めたのだ。


このままでは自分たちはもちろんのこと、オペラに住むすべての人たちが地上に落ちてしまう。


そうしたら海面に飲み込まれ、オペラは海のもくずとなる。


それを聞いたパレットは、どうしたらいいかわからずにただ声をあげていた。


「どうしよう!? あたしのせいだ……あたしがロロと会おうとしたからだ!」


それはわかっていたことだった。


禁術を名乗る光と、その命ともいうべき魔法陣を消し去ったのだから当然だ。


自分がロロと会いたいというだけで、この大陸に暮らす何百人何千人の命が消えようとしている。


パレットは、今さらながら自分はなんてことをしてしまったのだろうと、事の重大さに心が押し潰されそうになっていた。


「パレット、大丈夫、大丈夫だよ」


ロロはそんな慌てている彼女に声をかけ、落ち着くようにいった。


先ほどまで魔法陣の光に包まれて宙に浮いていたとは思えない、いつもと同じ笑顔がそこにはあった。


パレットはそんな彼の笑みを見て、自身の顔をバシッと叩く。


「とりあえずここから出よう。外にルヴィがいるからそこまで行くんだ」


パレットは、外にいるルヴィが飛空艇に乗って来ていることをロロへと伝え、一緒に脱出しようといった。


そして彼女は、喚いているルルの体を掴んで、倒れている彼を立ち上がらせる。


立ち上がったロロは、何故かフラフラとよろめいていた。


そんな彼を見たパレットは手を伸ばして、その体を支える。


どこかケガをしたのか、それとも魔力を魔法陣に吸われ過ぎて疲れているのかと心配そうに声をかけた。


「大丈夫だよ。どこもケガはしてない」


心配ないと微笑んで返すロロ。


だが、その足取りや顔を見るにとてもじゃないが立っているのも辛そうに見えていた。


パレットは、ロロに自分の肩を貸すとルルを彼を支えていないほうの肩に乗せる。


大丈夫、大丈夫だ。


今から飛空艇に乗り込めば、自分たちは助かる。


大陸の人たちがどうなるかはわからないが、今はまずロロとルルを連れてルヴィのいるところへ行くのだ。


パレットは、余計なことを考えないようにして、ともかく急いで祭壇――この場から去ろうとした。


その頃――。


外にいたルヴィとフロートらスカイパトロールたちは――。


「待てルヴィ」


「あん? なんだよ? 今さら謝ったって許してやらないぞ」


「なぜ私がお前に謝るんだ! 悪いのはお前のほうだろう!」


フロートはそう怒鳴った後――。


大陸に異変が起きていることをルヴィに伝え、一刻も早くここから脱出することを提案した。


ルヴィもそれを承諾。


二人の戦いは一時休戦ということになったのだが――。


「フロート、お前らのボートを一つ借りるぞ」


「なに!? おいルヴィ!? どこへ行く気だ!?」


フロートは急いでスカイパトロールたちへ指示を出し、大型の飛空艇へと戻らせ、大陸中にこの状態を知らせるようとしていた。


だが突然ルヴィがボートサイズの飛空艇をスカイパトロールから奪い、パレットたちがいる祭壇への向かおうとしている。


フロートは慌ててそのボートへと乗り込んだ。


そしてルヴィは舵を取り、出入り口の穴へと猛スピードで突っ込んでいく。


「天井が崩れている……。まさかあの少女が儀式を止めたのか!?」


「さすがはパレット。やるねぇ」


「そんなこといっている場合か!? このままではオペラは海に沈むぞ!」


「ったく、相変わらず想定してないことには弱いなぁ。あんたはスカイパトロールのリーダーだろ? だったらまず人命を最優先に考えろ」


ルヴィにそういわれたフロートは、うぐぐと呻きながらその通りだと返事をした。


それから崩れ落ちてくる大地の欠片からルヴィを守り、まずはパレットやロロ――子供たちを助けに行くという。


「上出来だフロート! 振り落とされるなよ!」


フロートの言葉を聞いたルヴィは、自身の口角をあげると、ボートサイズの飛空艇の速度をさらに上げた。

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