第14話 動詞(ち)

よみ,漢字,活用,自他,用例,相互,対語,補記,


【ちえ】

ちえづく,知恵付く(智慧付く),カ行五段,自動詞,「知恵づく年頃」,,,成長するにしたがって子どもに知恵が備わってくる,



【ちか】

ちかう,誓う(盟う),ワ行五段,他動詞,「神かけて誓う」「将来を誓う」「必勝を心に誓う」,,,神仏に対してあることを固く約束する、他人に対してあることの実行を固く約束する・また自分の心中で固く決意する・誓約する。「誓」は背かないと約束する・ちぎる、「盟」は神に告げて生贄を殺しその血をすすって約束を固めること。常用の「誓」に統一,


ちがう,違う,ワ行五段,自動詞,「味方が違う」「習慣が違う」「違った角度から見る」「親子ほども年が違う」「格が違う」「オツムのできが違う」「話が違う」「約束と違う」「計算が違う」「答えが違っている」「『もしもし市役所ですか』『いいえ、違います』」「足の筋が違った」「気が違う」,相互「ちがえる」,,比べてみて同じでない状態を呈する・相違する・異なる・両者の間に隔たりがある・差がある・また他と異なってまさっている、前に考えていたことや取り決めたことが現実のそれと同じでない、基準となるもの正しいものと一致しない状態である・間違っている、本来の位置からずれたり正常でない状態になったりする。「たがう」と同字,

ちがう,違う,ワ行五段,自動詞,「出迎えと行き違う」「すれ違う」,相互「ちがえる」,,補助動詞。すれちがう・交差する意,


ちがえる,違える,ア行下一段,他動詞,「最初の予定と進路が違える」「字を違えて書く」「集合時間を違える」「電車に乗り違える」「約束を違える」「日限を違える」「タスキを違えて結ぶ」「首筋を違える」「寝違える」,相互「ちがう」,,ちがうようにする・ちがわせる、誤る・間違える、そむく・反する・守らない・たがえる、交差させる、筋や関節などが正常な一から外れる・また外す,


ちかづく,近付く,カ行五段,自動詞,「目的地に近づく」「台風が本土に近づく」「開会式が近づく」「終わりに近づく」「財産目当てに社長令嬢に近づく」「先代の芸に近づく」「限りなく本物に近づく」,,対語「とおざかる」,あるものがある場所の近くに移動する、そのを行なう時期が近くなる・ある期日や刻限が迫る、積極的に親しくなろうとする・親密さを求める・近寄る、目指すものに近い状態になる・似てくる,


ちかづける,近付ける,カ行下一段,他動詞,「船を岸壁に近付ける」「顔を近づけて覗き込む」「危険な人物を近づけない」「パーティーで二人を近づける」「目標額に近づける」,,対語「とおざける」,近くへ寄せる、人を近寄らせる・また人と人とを親しくさせる、目指すものに近い状態にする,


ちかよせる,近寄せる,サ行下一段,他動詞,「耳を近寄らせて聞く」「人を近寄せない性格」,,対語「とおのける」,近くに寄せる・近づける・接近させる、親しくなるように仕向ける,


ちかよる,近寄る,ラ行五段,自動詞,「近寄ってよく見る」「あの仲間には近寄るな」,,対語「とおのく」,近くに寄る・近づく、親しくなるようにする・かかわりを持つ,


ちからづく,力付く,カ行五段,自動詞,「彼女の励ましでようやく力づいた」,相互「ちからづける」,,勢いがつく・気力が出る,


ちからづける,力付ける,カ行下一段,他動詞,「温かい言葉で力づける」,相互「ちからづく」,,元気が出るように励ます・元気づける,



【ちき】

ちぎる,契る,ラ行五段,他動詞,「盟友を契る」「二世を契る」「男と契る」,,,固く約束する、夫婦の約束を結ぶ、男女が肉体的な関係を結ぶ,

ちぎる,千切る,ラ行五段,他動詞,「花びらをちぎる」「搗きたての餅をちぎる」,相互「ちぎれる」,,手などで細かに切り離す・細かにバラバラにする、もぎとる・むしりとる,

ちぎる,千切る,ラ行五段,他動詞,「褒めちぎる」,,,補助動詞。その意を強め甚だしく〜する・盛んに〜する意を表す,


ちぎれる,千切れる,ラ行下一段,自動詞,「ずたずたにちぎれる」「雲がちぎれる」「寒くて耳がちぎれそうだ」「本の表紙がちぎれる」,相互「ちぎる」,,細かく切れる・細かくばらばらになる、もぎとったように切れる・ねじ切れる,

ちくる,ちくる,ラ行五段,他動詞,「仲間の失敗をボスにチクる」,,,告げ口をする意の俗語,



【ちす】

ちする,治する,サ行変格活用,他動詞,,,,「じする」に同じ,



【ちち】

ちぢかむ,縮かむ,マ行五段,自動詞,「寒さで手指が縮かむ」,,,寒さや恐怖などで体が縮んで動作が鈍くなる,


ちちくりあう,乳繰り合う,ワ行五段,自動詞,「夜ごと乳繰り合う」,,,男女が密かに会って情を通じ合う,


ちちくる,乳繰る,ラ行五段,「乳繰っている仲」,,,男女が密かに会って情を通じる・密通する・ててくる,


ちぢくれる,縮くれる,ラ行下一段,自動詞,「縮くれた毛髪」,,,ちぢれている,


ちぢこまる,縮こまる,ラ行五段,自動詞,「布団の中で縮こまって眠る」「失敗を指摘されて縮こまる」,相互「ちぢこめる」,,寒さや緊張などのために体や気持ちが小さくなる,


ちぢこめる,縮こめる,マ行下一段,他動詞,「叱られて首を縮こめる」,相互「ちぢこまる」,,自分の体などを丸く小さくする,


ちぢまる,縮まる,ラ行五段,自動詞,「寿命が縮まる」「寒さで身が縮まる」,,,ちぢんだ状態になる,


ちぢみあがる,縮み上がる,ラ行五段,自動詞,「一喝されて縮みあがる」,,,驚きや寒さや恐怖などのため体がすくんで身動きできなくなる,


ちぢみこむ,縮み込む,マ行五段,自動詞,「殻の中に縮み込む」「恐ろしさのあまり縮み込む」,,,ちぢんで中に入り込む、恐怖や寒さなどで体や気持ちを小さくする,


ちぢむ,縮む,マ行五段,自動詞,「湯通しをして布が縮まないようにする」「風船が縮む」「寿命が縮む」「タイムが縮む」「恐怖のあまり肝が縮む」「身の縮む思い」「縮んだ髪の毛」,相互「ちぢめる」,,間が詰まったり中身が減ったりして長さや面積や容積などが短くなったり小さくなったりする、期間や時間が短くなる、恐れや緊張などで体や気持ちが小さくなる・ちぢこまる、ちぢれる,


ちぢめる,縮める,マ行下一段,他動詞,「着物の丈を縮める」「文章を縮める」「記録を二秒縮める」「命を縮める」「格差を縮める」「寒さで見を縮める」「首を縮める」「絞り染めをして縮めた布地」,相互「ちぢむ」,,長さを短くしたり広がりや分量を小さくしたりする、期間や時間や隔たりなどを短くする、体を丸めるようにして小さくする、布にシワを寄せる,


ちぢらす,縮らす,サ行五段,他動詞,「紙を縮らす」,相互「ちぢれる」,,ちぢれるようにする・ちぢらせる,


ちぢれる,縮れる,ラ行下一段,自動詞,「縮れた紙」「ちりちりに縮れた髪の毛」,相互「ちぢらす」,,シワが寄ってちぢまる、毛髪などが細かく波打ったり巻いたりした状態になる,



【ちつ】

ちつじょだつ,秩序立つ,タ行五段,自動詞,「秩序立った論理」,相互「ちつじょだてる」,,順序や筋道が保たれている,


ちつじょだてる,秩序立てる,タ行下一段,他動詞,「秩序立てて説明する」,相互「ちつじょだつ」,,順序よくよ筋道が通るようにする,



【ちな】

ちなむ,因む,マ行五段,自動詞,「干支にちなんだデザイン」「憲法記念日にちなむ番組」,,,ある物事との関係をもとにして他の物事が存在する・つながりを持つ,



【ちぬ】

ちぬる,血塗る(釁る),ラ行五段,他動詞,「血塗られた革命」,,,刀剣など勝ちで汚す・戦いなどで血を流す・殺傷する,



【ちは】

ちばしる,血走る,ラ行五段,自動詞,「怒りで血走った目」「目を血走らせる」,,,眼球が充血する・多く興奮したり熱中したりしたときなどの目にいう,


ちばむ,血ばむ,マ行五段,自動詞,「ガーゼが血ばむ」,,,血がにじむ,



【ちひ】

ちびる,ちびる,ラ行五段,他動詞,「怖くてちびりそうになった」「予算をちびる」「小遣いをちびる」,,,小便をちょっと漏らす、出し惜しみする・ケチケチする,

ちびる,禿びる,バ行上一段,自動詞,「禿びた鉛筆」,,,先がすり切れて短くなる,



【ちま】

ちまう,ちまう,ワ行五段,他動詞,「忘れちまう」「取っちまった」「捨てちまえ」,,,補助動詞。「てしまう」の音変化,


ちまよう,血迷う,ワ行五段,他動詞,「何を血迷ったのか変なことを言いだした」,,,のぼせ上がって正常な判断力を失う・逆上して理性を失う,



【ちや】

ちゃう,ちゃう,ワ行五段,他動詞,「困っちゃう」「捨てちゃった」,,,補助動詞。「ちまう」の音変化,


ちゃかす,茶化す,サ行五段,他動詞,「ちゃかさなで真面目に聞きなさい」,,,真面目な話を冗談めかしてしまう・茶にする,


ちゃくする,着する(著する),サ行変格活用,自動詞,「衣服に泥が着する」,,,付着する・ぴったりと付く,

ちゃくする,着する(著する),サ行変格活用,他動詞,「制服を着する」,,,衣服などを身につける・まとう・着用する,



【ちゆ】

ちゅうする,注する(註する),サ行変格活用,他動詞,「漢文を注する」,,,本文中の語句を取り出して注釈を施す。本来「註」だが常用の「注」に統一,



【ちよ】

ちょうしづく,調子付く,カ行五段,自動詞,「調子づかせると怖い相手」「あまり調子づくと思わぬ失敗をする」,,,勢いがつく・弾みがつく、得意になってうわつく・図に乗る,


ちょうじる,長じる,ザ行上一段,自動詞,「数学に長じる」,,,「ちょうずる」の音変化,


ちょうする,弔する,サ行変格活用,自動詞,「心から弔する」,,,人の死を悼んで悔みを述べる・とむらう,

ちょうする,徴する,サ行変格活用,他動詞,「将兵を徴する」「実例に徴する」「税を徴する」「意見を徴する」,,,呼び寄せる・召す、証明する・照らし合わせる、取り立てる・徴収する、求める・要求する,


ちょうずる,長ずる,サ行変格活用,自動詞,「長じて後外国に住んだ」「彼に長ずること二歳」「語学に長じている」「見識を長ずる」「おごりが長じる」,,,成長する・育つ・大人になる、年上である、すぐれる・秀でる、程度が増す・甚だしくなる,


ちょろまかす,ちょろまかす,サ行五段,他動詞,「店の売上をちょろまかす」,,,人の目をごまかして盗む・また数量や金額をごまかして儲ける,


ちょんぎる,ちょん切る,ラ行五段,他動詞,「花のつぼみをちょん切る」「話をちょん切る」,,,無造作に切り落とす、無造作に途中で打ち切る,



【ちら】

ちらかす,散らかす,サ行五段,他動詞,「子どもが部屋を散らかす」,相互「ちらかる」,,まとまっていたものをバラバラにする・物を一面に乱雑に広げる,

ちらかす,散らかす,サ行五段,他動詞,「食い散らかす」「書き散らかす」,,,補助動詞。乱雑に〜する・むやみに〜する意。ちらす,


ちらかる,散らかる,ラ行五段,自動詞,「足の踏み場もないほど散らかる」,相互「ちらかす」,,物が乱雑に広がる・散乱する,


ちらす,散らす,サ行五段,他動詞,「花を散らす無情の風」「火花を散らす」「紋様を散らす」「花札を散らす」「ビラを散らす」「内角外角へと球を散らす」「気を散らさずに仕事をしなさい」「盲腸炎を散らす」「鬱血を散らす」「ゴミを散らす」,,,くっついているものを離し落とす・バラバラに散るようにする・散乱させる、あちらこちらに配る・ふりまく・分配したり分離させたりする、気持ちをあちこちへ向けて集中力をなくする、腫れやしこりや痛みなどを切開しないで押さえたりなくしたりする、散らかす,

ちらす,散らす,サ行五段,他動詞,「撒き散らす」「蹴散らす」「わめき散らす」,,,補助動詞。広い範囲に及ぶようにする・荒々しく〜する・むやみに〜する意,


ちらつかせる,ちらつかせる,サ行下一段,他動詞,「刃物をちらつかせる」「現金をちらつかせる」「自慢話をちらつかせる」「小雪をちらつかせる空模様」,相互「ちらつく」,,脅したり気を引いたりするためにチラチラと見せる、それとなくほのめかす、雪などをちらちら降らせる,


ちらつく,ちらつく,カ行五段,自動詞,「まぶたにちらつく面影」「気流のためか星がちらついて見える」「小雪のちらつく日」,相互「ちらつかせる」,,見えたり消えたりする、小さい光が瞬間的に強まったり弱まったりする、雪などがチラチラまばらに降る,


ちらばす,散らばす,サ行五段,他動詞,「軍勢を左右に散らばす」,相互「ちらばる」,,散らばるようにする・散らす,


ちらばる,散らばる,ラ行五段,自動詞,「全国に散らばる卒業生」「部屋中に紙くずが散らばっている」,相互「ちらばす」,,まとまっていたもの一箇所にあったものがあちこちに離れ離れになって広がる・散在する、雑然と散り乱れる・散乱する,



【ちり】

ちりかかる,散り掛かる,ラ行五段,自動詞,「参道に散りかかる紅葉」「盛りを過ぎた桜の花が散りかかる」,,,散って物の上に落ちかかる、散り始める,


ちりしく,散り敷く,カ行五段,自動詞,「枯れ葉の散り敷く道」,,,花や葉などが散って一面に敷いたようになる,


ちりのこる,散り残る,ラ行五段,自動詞,「散り残った花」,,,散らないで残っている,


ちりばめる,鏤める,マ行下一段,他動詞,「螺鈿を散りばめた小箱」「甘言を散りばめた手紙」,,,金銀や宝石などを一面にちらすようにはめ込む・また比喩的に文章の所々に美しい言葉などを交える。本来「鏤める」だが常用で意味が近い「散りばめる」に統一,


ちりみだれる,散り乱れる,ラ行下一段,自動詞,「強風に葉が散り乱れる」,,,入り乱れて散る・乱れ散る,



【ちる】

ちる,散る,ラ行五段,自動詞,「花が散る」「ガラスが粉々に散る」「墨が散る」「火花が散る」「全国に散ってしまった同級生」「雲が散る」「霧が散る」「肩のコリが散る」「毒が散る」「墨が散る」「気が散る」「噂が散る」「南の海に散る」「花と散る」,,,花や葉が茎や枝から離れて落ちる、まとまっていたものがばらばらになって広がる・断片となって方々へ飛ぶ・集まっていたものが別れ別れになる・散らばる、散り散りに消えてなくなる、腫れやしこりなどがなくなる、にじんで広がる・しみて広い範囲にわたる、気持ちがあちこちに移って落ち着かなくなる・心が一つのことに集中できなくなる、世間に知れわたる・広まる、人が潔く死ぬ・多く戦死することをいう,



【ちん】

ちんじる,陳じる,ザ行上一段,他動詞,「私見を陳じる」,,,「ちんずる」の音変化。申し述べる・言葉で述べる、言い張る・主張する・釈明する、ごまかしを言う・ウソをつく,



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