第30話 灰色の青春を取り戻してあげる

今なんて言った?メイド服はすでに持っていると言ってなかったか?いや、確かにそう言ってたよな


「今、なんて言いました?」

「メイド服持ってるよ?」

「え、ええええええええええええ!?」

「文化祭でちょっとね!メイド喫茶やりたいから手伝ってほしいってメイナちゃんから言われたからね?」


なるほどな、文化祭か。でも文化祭は本当に肩身が狭かったな。賢斗が隣にいてくれたからなんとか助かったけど、賢斗が居なかったら死んでいた。文化祭は賢斗と一日受付やっていたけどな。あまり、いい思い出がない。灰色の青春だったな


「えぇ!?文化祭でメイド喫茶!?咲希さんがメイド服の格好していたのか。なんか見たかったなぁ....あ!それより変な男と絡まれなかった?」

「大丈夫だったよ。少しそういう人が居たけど、仲間が助けてくれたから」

「そっか、なら良かった」

「それで、メイドやるのかとか盛り上がって色々なコスプレっていうのかな?そういうのが余ってるんだよね。気になる?」


いや、気になる以外ない。そう言われて気にならない訳がないだろ

やっぱり、自分も所詮はそこらにいる猿と変わらないものだな。なんともいえない


「気になります!」

「他にナースとか、バニーガールとか、あとはハロウィンがちょっと近いからってヴァンパイアとかあってね?だけど、考えるより手が出る人が多くて先に買っちゃったの。それで余ったものを渡されたりして」

「なんも考えないで買うって相当、頭が悪いことしていたんですね」

「確かにそうだね。それで今着替えてあげようか!」


マジか!?咲希さんの顔がやる気に満ちているけど、そのやる気はいったい、どこから来てるんだ?でも見てみたいには見てみたい


「マジですか!?」

「メイド服だよね?あるから着てきてあげるよ。でもなぁ何か物足りない気がするんだよね。着ただけど、アレじゃないかな。まーくんって文化祭で何やってたの?」

「受付です。友達と1日中椅子に座ってました。お金なかったけど色々行ってみたかったなぁ」

「ふふ〜ん?じゃあ、そこの灰色の青春を過ごしていた、まーくんに良い事をし・て・あ・げ・る!だから、まーくんは部屋に戻っていて、お楽しみにだよ」


そう行ってリビングから追い出されてしまった。いったい何が起きるのだろうか?

とりあえず、言われた通りに自分の部屋に戻ってなんとなくテレビをつけた


「なんか面白いものやってないかなぁ〜」


そうボヤきながら地面に横になると、メッセージの通知音がなった。それに気づいてスマホを見た。そこには咲希さんからのメッセージだった。メッセージには『お昼までまっていてね!ちょっと準備したいことがあるから待っていてね』と書かれていた。なんかとんでもないことが起きそうだな


「それにしても、暇だなぁ〜」


再び地面に横になってぼーっとしている。すると、今度は電話が掛かってきた。いったい誰からなんだろうか?相手は咲希さんかと思いきや、賢斗だった。賢斗のヤツめ

何かあったのか?とりあえず電話に出てみよう


「もしもし」

『おっ!すげー!電話、繋がってる!前なんて1秒で切れたのにな!いや〜すげぇよ』

「イタズラ電話か?それは勘弁してくれよ」

『イタズラ電話じゃねーよ!ちょっとお悩み相談があってな』


お悩み相談?何を悩んでるのだろうか。最近、お腹のお通じが良くないとかそういういお悩みか?それにしても、何を悩んでるのだろうか?


「悩み?」

『年上の女性といるってどんな感じよ?』

「え?お母さんといるんだから分かるんじゃない?」

『違う!あのオババとは違うんだよ、メイメイちゃんのことで』


メイメイちゃんってなんだよ?新しいアニメのキャラクターとかの話か?悪いけど

そういうのさっぱり分からないぞ。俺の頭はまだ合体ロボが流行り出したぐらいだぞ


「メイメイちゃんってなんだい?新しいアニメのキャラクターか?」

『違う!メイナ』

「あ〜そういうことか」

『お前は咲希さんと恋人以上夫婦未満な感じだろ!?なんか分かるべよ』


いや、そう言われても困るんだが....というか恋人以上夫婦未満ってなんだよ!?

まず俺と咲希さんは姉弟なだけだからな?その例えはいったいなんなんだよ!


「恋人以上夫婦未満とは」

『イチャイチャ度。付き合ってないバカップル。早く付き合えカス』

「なんだろう、ちょこちょこ加えて言うのやめてもらっていいですかね?」

『でも、幸せならOKです!』


いや、そうはならんやろ。ちょっとお母さんと一緒に病院に行ってきた方がいいよ

まぁ、つまりは初めての彼女で困ってるんだろうな


「病院いけよ」

『冷たくない!?』

「まぁ、それと一つだけど俺に聞くな!そんなん俺も咲希さんと居て慣れないところあったけどドナドナでなんとかなるからな!いいな!?」

『お、おぉ....サンキュー!じゃあな』


いったいなんだったんだよ。てか聞く相手が間違ってる気がする。またメッセージの通知が来た。咲希さんから来ている。どうやらもう来て良いみたいだな



階段を降りてリビングに入ろうとしようと思うがどうも思い切れない。しかしここは思い切って行くぞ!


「ヨシッ行くぞ」

「おかえりなさいませ、ご主人様!」


その光景を見た瞬間、頭の思考がピタリと止まった

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