第47話 君ならどうする?

久美さんに拉致られて教わったあとの世界は全く違うような気がした。咲希さんの見え方というか印象がガラリと変わった気がする。顔を合わせるたび少しドキドキするようになった。姉というよりはたった1人の女の子として見えてきた気がする


「まーくん、こたつはやっぱり最高だよね〜」

「それはそうですよ。こたつは人間をダメにする悪魔の家具ですから。ソファーと並ぶダメ人間量産機ですからね」

「じゃあ、私は小さい頃からどっちともあったからダメ人間なのかな?」


それはそうかもしれないが、咲希さん自身がダメ人間かといえばそうじゃない気がする。優しくて自分のことを考えてくれる人で本当にいいと思う


「まーくんどうしたの?お〜い、まーくん!?」

「え、はい!?咲希お姉ちゃんはダメ人間じゃないですよ!だって優しくて僕の事考えてくれてますし」

「なんか恥ずかしいなぁ〜やめて嬉しいけどさ。こたつで温まっておかしくなっちゃったんじゃないの?」

「からかわないでくださいよ!これでも真面目に思ってることですからね」

「あはは、ごめんってば」


こういつも微笑んでいる咲希さんはやっぱり良い。咲希さんには何度も思うが笑顔が似合う人だと思っている。あれ?なんでこんなこと考えてるんだ?


「私さ、悩んでるんだよね」

「好きな人に対しての問題ですか?」

「うん、そうだね。私って案外、乙女みたいだね。もっと恋とかそういうのはドライな感じになるのかなって思ったけど」

「そうなんですね。どんな悩みなんですか?」


好きな相手は俺だ。いわば、俺のことで悩んでいるということになる。俺に対して何を悩ませているのだろうか?


「私ね、初恋なんだよね。好きな人が一度も出来たりしなかったの。だからさ?好きな人のどう告白すればいいのか分からないんだよね。」

「あぁ〜そうなんですね」

「そうなんだよ。私にはさっぱり分からない。君ならどうする?君がならどういう告白が好き?」


これって、大胆すぎる行動じゃないか!?好きな人に直接どういう告白が良いかって聞くなんてすごいな。だけど、自分が好きな告白か。駄目だ、さっぱり分からない

でも、よくドラマとかであるような告白みたいのは少し憧れるよな


「ドラマ見たいな告白はいいですね。だけど、正直言ってひょんな事から告白するっていうのがイチバン心に負担がないかなって」

「なるほど....」

「いやいや!そんなメモするほどのことじゃないですよ」

「なるほど、これで上手くいく。まーくんと一緒に居れる」


あぁ、確かにこれは俺のことが好きなんだな。考えていることが少し口から漏れてるけど、本当にこの人は俺に告白をやりそうだ


「自分と居れるとは?」

「あぁいや、その!コタツでポカポカしすぎて頭がボケっとしちゃってるのかも」

「そうですか。あまりコタツばっかいると良くないですよ」

「そうだね。でもコタツって家にあったら入っちゃうからしょうがなくないかな?だってそう言ってまーくんだってコタツに入ってるし」


まったく言い返させないな。いや自分もコタツに入ってるな!でも家にあったら入ってしまうのは分かる気がする。特にこの家に来てからはよく分かる


「確かに」

「まーくんって変わったよね。もう3ヶ月近くになるんじゃないかな?」

「そんなですかね?」

「でも、最近ヘンだよね。もしかしてまーくん好きな人ができちゃったりして!?お姉ちゃんは認めないからね」


好きな人って表し方かわからないけどドキドキとして胸をざわつかせる人ならいる

けど相手が目の前にいるが、気づいてくれないんだろうな


「いますよ」

「え、えええええええええええ!?じゃあ私は終わり?」

「どうしてですか?」

「まーくんに彼女が出来たら私死んじゃう」


ヤバい勘違いされるかもしれない。どうしようこれで誤解をされて遠回りされたりしたらマズイぞ。どうすればいいんだ


「好きな人は咲希さんって言ったら嬉しいですか?」

「え!?嬉しいよ!まーくんと一緒にイチャイチャできるなんて最近だよ!」

「そんな俺のことが好きですか?」

「もちろん大好き。早く結婚したいしまーくんと一緒に子供も作りたいほどだもん」


そこまで言われると引いてしまう。でも、それだけ自分のことが好きということはよく分かる


「そうですか....」

「そんあ引かなくてもいいんじゃない?」

「いや、アハハハ」

「とりあえず、まーくんと付き合う女の子がいたとしたら私のとこに連れてきて。納得いかないからね」


相変わらずの独占力だ。とりあえず、両想いって状況だな。考えているととてもドキドキとする

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