第27話 彼氏役

今、自分はショッピングモールにいる。いや。ショッピングモールだよな?

とりあえず、いつも行かない都会のショッピングモールに来てるのだが、例の件でここにいるのだ!そう、咲希さんの彼氏役をやる件でいる。それにしてもすごい都会だ。話によると咲希さんのお友達はこの都会に住んでるらしくてこうなってるらしい


「都会、すごい....大きい」

「そう?でも近所にあるショッピングモールよりは大きいよね」

「そのお友達はどんな人なんですか?」

「中学生の時かな?私のこのショッピングモールの近くに住んでいたの。その時に出会った友達かな」


咲希さんは少し笑っていた。やっぱり友達と会うのって楽しいのだろうか?自分にはそういった中学の友達はいなかったからイマイチ分からないところだ


「え、じゃあ咲希お姉ちゃんって都会っ子じゃないですか!」

「そうね!それより、まーくん彼氏やるんだからなんか設定を作らないと」

「え、はい。そうですね!どんな感じで?」

「部活の後輩って設定....いや、部活入ってないって言った事あるし難しいなぁ。とりあえず、まーくんは私の呼び捨てでいいから!お姉ちゃんって言わないで呼び捨てでね?」


自分が咲希さんを呼び捨てで呼ぶなんてできなさそうだ。上手くはできなさそうだが、そこはなんとかしないといけない。咲希さんじゃなくて、咲希。そう咲希お姉ちゃんでもなく咲希って呼ぶんだぞ俺!


「おまたせ〜久しぶりだね、さぁ〜きちゃん!」

「久しぶりだね。クミちゃん」


相手はメガネをつけた女の子だった。自分より少し身長が小さいぐらいの茶髪でショートボブの女の子だ。どこか不思議な感じの雰囲気がある。なんというかアホっぽい感じというかなんともいえない雰囲気の女の子だ


「でも私が会いに来たのは咲希ちゃんじゃなくて、咲希ちゃんの彼氏なんだよね。この子が咲希ちゃんの彼氏?彼氏くんこんにちは!私の名前は久美。久しく美しいって書いて久美だよ。彼氏くんの名前は?」

「真希っていいます」

「へぇ〜真希くんねぇ。童貞?」

「え!?」


いきなりとんでもないワードがぶん投げられたぞ!?この咲希さんのお友達....ただものじゃないぞ!


「ど、童貞ですけど....」

「あ、ふ〜ん童貞かぁ。なんかそんな感じだよね〜」

「えっとまぁ、はい」

「とりあえず、お昼近いからファミレス行こうっか!少しお腹減ったからね」


お昼近いって言ってるけどもう2時なんだけど、まさか今からお昼ごはんをたべるつもりなのか?ますます、この久美さんって何者なのか謎が深まるばかりだ



ファミレスに行くとお客さんたくさん居た。とりあえず30分程待って席にやっと腰掛けることができた。都会って恐ろしいもんだな。2時くらいなら働いていたファミレスではそこそこ落ち着いてくるが、都会だと違うんだな


「ふ〜、やっと座れる。あ、そういえばさぁきちゃんはしないの?」

「え?なにを」

「真希くんとさ。まだしょ」

「だだだ、駄目だよ!久美ちゃん!そんな話はそこでしちゃ駄目ってば!」


本当にこの久美さんって人は頭がブッ飛んでる人だな。初対面の年上にこういう事を言うのはよろしくないけど、この人の頭にあるネジは少なくとも2、3本は抜けていそうだ


「それで、出会いってなんなの?」

「え!?ちょっと、まーくん!なんとかして」


となりで咲希さんが必死にヒソヒソと話しかけてるのだが、そんないきなりすぎて簡単には対応ができない。とりあえず友達の紹介とかが出会いだって言えばいいんだ!


「どーしたの?急にヒソヒソと話していて。このあとホテルでも行くって話?」

「なんでそうなるんですか!?俺、咲希とは友達というか先輩からの紹介で出会ったんですよ」

「へぇ〜?そうなんだ。それで、なにか食べる?」

「咲希お....の分でドリンクバー2つでいいかな」

「じゃあ、頼むよ?」


そして久美さんは呼び出しボタンを押した。しばらくすると店員さんが来た。

久美さんはなんかすげぇメッチャ頼んでるけど、その量食えるのか?


「さぁ〜きちゃんさぁ〜?真希くんのどこが好きな〜の?」

「え!?おりこうさんなところかな?」

「おりこうさんなの?本当なの?ここではいい子にしてるだけじゃないの?」

「ホントだよ!まーくんとは家に居ても仲いいもん!」


あ、今の墓穴を掘ったな。久美さんは目をすごい勢いで見開いた。ヤバいぞ!

咲希さん、それは完璧にやらかしてるな


「今、家に居ても中がいいとか言ってたけど、それはどういうことなの〜?」

「えっと、あわわわ」

「俺、咲希とよくお泊り会するんですよ!そ、それで一緒に寝たりしたしてるんですよ」

「そうなんだよ!一緒に寝てるんだよね。もう好きなんだよね」


そう言うと久美さんは頬杖をついて。上を向き、ため息をついた。食事が来なくて呆れてるのだろうか?


「もしかして、それって演技?」


そう言われた瞬間、背筋が凍りついた

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