第28話 不思議ちゃん
「もしかして、それって演技だよね?」
今、俺たちのやってることを見抜かれた!?その言葉を放たれた瞬間、背筋が凍りついた。どどど、どうすればいいんだ!?
「え!?そんな訳ないよ!久美ちゃん」
「う〜ん、そっかぁ〜。そういえば弟が出来たって言ったたけど、元気〜?弟くんは今日はどっか出かけてるの?」
「そうだね!元気だよ!今日は友達と遊ぶって言ってたよ?」
「へぇ〜弟ねぇ〜」
なんとも言えないオーラが久美さんから漂ってくる。本当にこの人っていったい何者なんだ!?
「こちら注文のです」
「あぁ、ありがとうございます。それ全部ウチのです」
「ごゆっくりお過ごしくださいませ」
久美さんが注文したものはハンバーグとライスのセットと、ステーキにグラタンなどたくさんある。これ、マジで一人で食うのか!?
「食べる?」
「いやいいっす。てか咲希、久美さんっていつもこんな感じなの?」
「そうだね。いつも、マイペースでなに考えてるか正直なところ分からない人って感じ。でも本を読むのは好きだよね。不思議ちゃんだよね」
「なぁ〜に考えてるか分からないって、失礼じゃな〜いの?」
久美さんは早速、フォークとナイフを手に取り、ハンバーグを切って一口食べた。そして、ハンバーグをもう一度切って咲希さんの方にフォークをを向けた
「さぁ〜きちゃん、あ〜んよ?あ〜ん」
「えぇ!?」
「メン〜ドくさいなぁ、えい」
「あつつ!熱いって!久美ちゃん」
咲希さんが熱がる表情を見て、久美さんは何やら満足げにニヤニヤしている。この人サイコパスなのか?ガチで咲希さんの言う通りこの人、何を考えてるか分からないな!怖すぎる
「熱くない〜よ?」
「熱いよ!久美ちゃん、バカなの!?」
「さぁ〜きちゃんにそんなこと言われるなんてチョベリグだよ。ねぇ?ま〜くん?」
「うえ!?どういうことなんですか!?」
「男の子って、かわいい女の子に罵倒されるのが幸せで〜しょ?あたしは幸せ」
いやマジでこの人なに!?ヤバすぎる。俺の場合、女の子に罵倒されようもんなら、普通に泣くぞ?
「俺は普通に泣きますけど?」
「ふ〜ん、どうでもいいね。そんで、あら不思議ぃ〜?弟くんってお友達とお出かけなんでしょ?」
「そうだけど?」
「弟くん、好き?」
「そそそそれは、もちろんだよ!」
久美さんは興味なさそうにふ〜んと言ってドリンクバーに言ってきた。そして、3往復ぐらいドリンクバーに行ったり来たりしてる。いや、なにしてるんだよ?
「はい、飲み物持ってきたよ。好きなの飲んでいいから」
「あ、ありがとう」
「それで弟くん好きなんでしょ〜?」
咲希さんはそれに対して頷いた。咲希さんも自分と一緒で相当テンパってるだろうな
助けたいところだが、自分もこの状況にいっぱいいっぱいだ
「そうだよ」
「いっちょ、隣の彼氏くん捨ててさぁ?弟くんと一発、ナイト・オブ・営みしてみたらぁ〜?それで彼氏くんに『お腹にヒューマンがいるの』って言えばいいんじゃない?義理の弟だし結婚出来るからお得だよ?」
まだ自分が偽彼氏だからいいけど、それでも相当ヤバいぞ。もし咲希さんの彼氏がいる世界線でこの場に彼氏がいたら、その彼氏はたぶん精神崩壊でもするんじゃないかな?実にいうと自分もいつ精神がおかしくなるかも怪しい
「相変わらず久美ちゃんスゴい発想するよね....もう慣れてるけど」
「それで不思議〜?弟くんが友達と出かけたって言うけど、弟くんそっくりの彼氏がいるなんてメッチャ、ウケるんですけど〜って感じ?咲希ちゃぁ〜んは、この前、弟くんと遊園地イチャコラショット送ったでしょ?」
「そ、そうですね....」
咲希さんがもう真っ白に燃え尽きてるぞ。もうこれは明らかに見抜かれてるな
それよりか、咲希さんの考えが甘すぎただけかもしれないな
「それで〜この童貞くさい弟くんとそこにいる童貞くさい彼氏くんは瓜二つなんだけど、これはもう同一人物ってことなんだよね?だから、これは嘘なんだよね?それで違かったら、フリーメイソンが関わってることになるんだよね」
なんか急に都市伝説について喋る人みたいな口調になったけど、どうしたんだよ?
あと、童貞を主張してくるあたり、童貞に親を殺されたのか?童貞なのはもうわかってるから、言わないでくれ
「そぉ〜こで、さぁきちゃんよおお?ここにいるのはかぁれしくんではなく弟くんだっていったらどおおおだいっよ?」
「そうです....私嘘ついちゃったの!」
「う〜む、いとうつくしゅうていたり。背伸びするなんてね〜?」
「面目ないです....」
「それじゃあ、事情聴取するからね。さぁきちゃ〜んカモン?」
そう行ってどっか言ってしまった。まぁ女の子同士じゃないと駄目な話なんだろうな
それにしてもすげぇ、見破りだったな。あんな雰囲気的に見破る力があるなんてなさそうだったけど、すごい見破りだったな。ジワジワと心理戦してくるし
しばらくすると二人が戻ってきた。咲希さんは顔が真っ赤になっていて一方、久美さんは、めっちゃ満足そうなニッコリ笑顔だった
「どうでした?」
「恥ずかしい....」
「いや〜満足だった。ごちそうさんだよ」
「どういう話なんですか?」
「彼氏くんが、おっと弟くんが彼女でも持った時に聞ける話だよ〜?ね?」
とりあえず、咲希さんはもう心身がボロボロになってると思うからあまり口出ししないようにしておこう。というか、この地獄の時間が早く終わって欲しいところだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます