第26話 恋人が欲しい!

咲希さんからメッセージが来ているのを気づいてスマホを見た。するとお昼休みに購買のところに来てと書いていた。そういえば、お昼ごはんを作ってる余裕なんてなかったからな


「どうした?ボケっとしていて」

「いや。特になんでもないけど、そういえば昼メシの弁当の用意が上手く出来てなかったなって思い出して」

「へぇ〜、じゃあ!俺と一緒に購買にいこうぜ」

「いや、咲希さんと一緒に行く感じだから」


賢斗はため息をつき、呆れたような表情をしていた。俺ってそんな呆れるようなことをしたか?


「なんだよ?ずいぶんデカいため息をついてさ」

「本当にお前って咲希さんが〜ってばっかやな!毎回そうやってどっか行ってイチャイチャしてるんだろ?もうはやく付き合えよ!」

「姉弟だからな!?」

「禁断の恋とかいいじゃ〜ん?絶対いいってば」

「うっさいな、バーカ!テレビとか漫画の見すぎじゃないか」



お昼休み。俺は購買という戦争に出陣すべく、授業が終わった瞬間に猛ダッシュで購買へと向かった。そして今、購買のパンを勝ち取ったのだ!そして自分の分と咲希さんの分を獲得できたこれはデカいぞ


「いええええええあ!やっったぜ!」


とりあえず咲希さんの分も確保もできて、なんとか良かった。まだ咲希さんは来てないし、咲希さんの文も買ったことをスマホで送っておこう。それにしても一番着とは思わなかった。だいたい陽キャと言われる人間が先陣を切るのだが、今日はなぜか自分が一番に着いた


「お前、購買にもういたのかよ!?いくら、お金が持ってるからってさ張り切りすぎないか?」

「うるせぇ!購買なんて無縁だったから少しこういう豪遊したかったんだよ!」

「ずいぶんショボい豪遊だなぁ〜」

「一度はやってみたかった事なんだよ!悪いかよ!?」


購買で買い占めるっていうのが一度でもいいからやってみたかったんだよ!でも、今までそんな豪遊ができなくて自分で作ったカツカツな弁当で過ごしてたんだよ!

その気持ちが分からないのかと言いたいが分からない方がいいなと思った


「まーくん!」

「あ、咲希ちゃん!話したいことってなんですか?」

「とりあえず場所変えようっか!」



ということで場所を変えて咲希さんがいる2年5組の教室でお昼ごはんを食べることになった。いったい話ってなんだろうか?


「話ってなんですか?」

「私ね!すごく嫉妬してるのね」

「はぁ、特に何をですかね?」

「男の子と女の子がイチャイチャしているところを見るとすごく嫉妬するの」


あ、もしかして咲希さんって非リアのあるあるのリア充爆発しろ〜!っていう系の人だったのか?いや、まさかな?


「え、そうなんですか!?でも、咲希お姉ちゃんなんて選べる男なんてたくさんいるじゃないですか」

「そうじゃなくて!最近、メイナちゃんが男の子とイチャイチャしてる感じで、相手は少し見覚えある感じなんだけど」

「あ、賢斗ですよね?今日の朝には告白するところ見ましたけど。てか目の前であのバカがやりましたけど」

「今日の朝!?」


それはそうだろうな。でもその場にいた自分が一番驚いた。まさか、あの場所で告白するとは思ってもいなかったし。賢斗が馬鹿すぎるのかもしれない。どうして、そうなったんだよとツッコミたくなる


「えぇ、そうですね」

「まずい!まずいな。相手がどうりでなんか見覚えの相手だなって思ったら、まーくんの友達だ!」

「あの〜大丈夫っすか?」

「いや、なんでもない!そういう状況で私の友達はカップルばっかりなの。それで私も羨ましいのっ!だけど、いい男の子がまーくんぐらいしか浮かばなくて」


いや、俺ですか!?それは予想外すぎたな。っていうか自分しか浮かばないって相当重症なブラコンじゃないか?アレか、もしかして恋愛的な愛情も目覚めてる感じなのかな?それはそれでなんともいえない感じがあるな


「え!?俺しか浮かばいってマジですか!?」

「そ〜うなんだよね....とにかく私は恋人が欲しい!でもまーくんが恋人になってもらうのはキツいかなっって」

「なんか恋人になった方が都合がいいこととかってあるんですか?」


なにか必死になってる様子なんだがいったいどういう状況なんだろうか?なにか事情があるんだろうが気になるところだ


「いや、そのね?私ね、恋人いるでしょって友達言われてからかってきたから変に気が大きくなって彼氏いるって言っちゃったの。それで今度見せて欲しいって言われた訳だから恋人役になってほしいの!しっかり私も演じきってサポートするから」

「はぁ」

「だから、まーくんも彼氏っぽくしてほしいの!それで彼氏役したくれた際はお礼としてなんでもしてあげるから」


なんでもしてくれるだと?これはいい話だな。しかも、咲希さんが恋人に一時的になってくれるって話だし、これほどいいことはないだろ!?


「いいですよ!俺やりますよ!」

「ホント!?嬉しい、ありがとうね!」


こんなうまい話なんてどこにあるんだよ!?これはやるしかないだろ!

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