第51話 愛してるってことでしょ?

朝、体を起こすとなにかダルい感じがした。朝なんてこないでずっと寝ていていた気分だ。でも、昨日出したからには取り返しもつかない。しょうがないやったことには言いようはない。今日の朝ごはんの時は咲希さんが何一つしゃべれない気まずい雰囲気が漂う状況だった。とりあえず、今は咲希さんと学校の登校中なんだがストレスのせいか胃がキリキリとしている


「あの」


気づいてくれない。というか聞こえていても聞こえてないふりをしているかもしれない。ダメだ、今度は頭が痛くなってきた。今日、咲希さんと何一つしゃべれてないぞ

つらい、おはようの一つも会話してない。なんとか喋ってくれないと俺は死んでしまうかもしれない


「ん?」

「どうしました?」

「まーくん、ありがとう」

「え、それってどういうことですか?」


なになに?何が起きたんだ!?急すぎて頭の中がパニックになった。何に対してなんだろうか?


「手紙っていうのかな?」

「あ!?え、はい」

「いい気分になったよ。私にとって最近でイチバンいい思いしたかもしれない。まさか、そうだと思わなかったよ?私、頑張れそうな感じする」


咲希さんがにっこりと嬉しいそうな顔の表情をしていた。恥ずかしい。やっぱり手紙なんてやらなかったほうが良かったかもしれない


「手紙なんてやらなかったほうが良かった!恥ずかしい」

「手紙の内容が分からなかったよ?つまり愛してるってことでしょ?」

「やめてください。恥ずかしいです」

「いいと思うけど?」


咲希さんがいいと思っても俺は良くない。それでこれは恋愛的には進んでいるのか?

いやさっぱりだ。とにかく頭が爆発しそうだ


「でも、幸せ。それだけは感じるかな?」

「そうですか。複雑です」

「私ね、帰り大事な話があるんだ」

「大事な話?」


もしかして告白か!?いや、期待しちゃダメだ!油断は大敵だ。そんなことはあるはずじゃない現実はそんなウマい話なんてない


「うん。もしかしたらドキッとするかもしれないよ?」

「なんですかそれ。気になるじゃないですか」

「ふふふ、秘密だよ?」



結論としては咲希さんが帰りになんの話をするかは分からなかった。なんというかモヤモヤする。とりあえず胃がキリキリすることなどはなくなり良いのが、今度はモヤモヤがやってきた


「まったく困ったもんだ」

「何が困ってるんだよ」

「賢斗とは今は話す気にはなれない」

「なぁに言ってんだよ、お金も心が枯れてた人間がよ〜?今じゃあ恋愛してお金もあるんだから」


頭にカチンと来た。でも恋ってするとこんな短気になってしまうものか良くない

いつもだったらこれくらい言われてもなんともないのに今はすごくイライラする


「いい加減にしろ!」


つい感情が高ぶってしまって口から放ってしまった、これが口は災いの元というヤツだ。しまった、謝らないと!


「ごめん」

「だ、大丈夫か?情緒が不安定そうだけど」

「恋愛ってツライな」


物語の主人公の恋っていうのは大概は今の自分みたいに悩んで、最終的には告白する訳だ。だけど、読んでる自分は第三者だ。言ってること分かるか?主人公でもなくて、ヒロインでもない。だから恋愛で悩んでる主人公が登場しても恋愛はとにかく大変というのは分かってもどういう風に大変かと言うのは分からない。つまり自分がいかに恋愛というものを甘く見ていたということが分かる。そんな自分が憎たらしく感じる。情けないと感じるところもあるし、とにかく感情が爆発しそうだ


「え?」

「物語の恋する主人公のつらさがどれだけ大変かと分かるよ」

「あ〜そうなんだ」

「お前には分からないだろうな!?」


だって脳死で付き合おうで成立した人間には分からないだろうな!本当に頭おかしいよな。となると俺はマトモな恋愛してるんだな


「なんでだよ!俺だって恋してるし」

「浮気じゃん」

「バカ!違うってばよ、俺だって恋なきゃあ彼女なんていねぇよ」

「それで悩んだのってどれくらい?」

「8秒。一目惚れ」


やっぱコイツ悩んでることねえじゃねぇかよ!変だけど、もっと悩めよ

というか恋愛なんて適当でいいのか?



「バカじゃねぇの!」

「いや、だってトントン拍子で進んだもん」

「バカじゃねぇの?もっとパートナーのことは考えろよ」

「バカバカ言ってないで自分のこと考えとけよ。俺はたまたまそうだったからな」


確かに人のことをバカにしてないで自分のことを考えないとな。とりあえず咲希さんに告白することを考えよう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る