第53話 今日こそは

今日こそはやる。しっかりと告白を果たしたい。どっちが言うとか言わないとか関係ない。とにかく果たさないといけない


「おはよう、まーくん」


今日の咲希さんはとても穏やかだ。昨日みたいにずっと黙っていない。その姿を見て心が安らぐ感じがした。やっぱり咲希さんはこうじゃないと似合いわない。毎日ニコニコとして優しい咲希さんじゃないとツラい。


「おはようございます」

「はい、朝ごはんだよ!あと、これお弁当ね」

「ありがとうございます。あ、いただきます」

「いやいや、こっちこそありがとうね。毎日、ごはん一粒残さずキレイに食べてくくれて嬉しいよ。今日はしっかり言えるように頑張るからね」


そう言われてドキッとした。そして少し頭痛を感じる。感情がぐしゃぐしゃになる

でも、これも今日で終わるんだ。頑張るんだ


「険しい顔をしてどうしたの?」

「あ、別になんでいもないですよ」

「そっか。無理はしないでね」



朝食を済まして家から出た。まだ体の調子が良くない。自分がこんなに何日たっても体調がすぐれないことは初めてだ。恋は病というのは聞くが本当にそうかもしれない


「今度こそは言うからね!でも....今ちょっと心の準備が上手くできてないから言えない。ごめんね!まーくんがツラいのは分かるし、だからもう少しだけ待ってね!私も引き伸ばしたくはないけど、今は言えない。分かるでしょ!?その朝からそういうのはマズイかなって....ね?」


確かに朝から言われるたら俺はうまく頭の処理が出来なくて頭がパンクして授業の内容がまったく入らなくなってしまう。だって言う内容ってほぼほぼ100%の確率で

告白だろう。逆にそうじゃなかったらもう俺は真っ白に燃え尽て人間の感情を投げ捨て放心状態になってると思う



なんとか学校についた。咲希さんと一旦別れたがそれでも胸のドキドキは収まらない

1人で誰もいない静かな教室。誰もいなくて誰も見られてない、でも何か人に見られてるような恥ずかしい感覚がある


「なんだよこれ....」


でもこれは今日こそは終わるんだ。だからもう少しの辛抱だ。だから頑張ればいい

今日で終わるんだから信じて頑張ればいいんだ



3時間目が終わったところだ。とてもつらい。授業の内容がまったく入らない

体調が良くない。頭痛や吐き気、あと胃が痛い。他には頭がボヤボヤとする感じだ

このあと体育で持久走があるんだが、正直しっかり授業がしっかりと受けれる自信がない


「大丈夫か、真希?」

「あぁ、大丈夫だよ」

「無理をするなよ?だってお前、いっかいも授業で見学してないんだからさ?一回ぐらいは見学したって大したことないぞ」


どうしよう、見学すると成績が下がるから嫌だ。だから、それだけはあまりしたくないところだ。途中ヤバくなったら考えよう


「まぁ途中ヤバかったら休む」

「それでいいんじゃない?」



4時間目の持久走。つらい、いつもの辛さとは違う。それより倍以上につらい。

だから俺は先生に体調がよくないと言って途中、見学をした

見学したことにはなんともいえない気持ちだったが。それでもつらいことにはしょうがない



お昼休み。食欲がない、まったくない。食べても喉がうまく通らない。食べるより横になっていて寝ていたい感じだ。恋愛ってこんなにつらいものなのか。何度もこう思う恋愛は本当に大変だ


「気持ち悪い」


本当に食べるよりは静かに寝ていたい。どうしよう、このお弁当が食べれない。悔しい。咲希さんがわざわざ作ってくれたお弁当なのに食べれない事が悔しくてしょうがない。恋愛が嫌になる



学校が終わった。ついにだ。開放されるときが来た。でもお弁当を残してしまった事を思うと、とても悔しい


「学校終わったね」

「そうですね、あの」

「どうしたの?」

「俺、食欲なくてお弁当残しちゃいました!ごめんなさい!食べたったんですよ!それでも体が受け付けなくて、本当にごめんないさい!」


咲希さんは驚いたような顔をした。やっぱり最低だな。俺って、バカな男だ

でも、食べれなかったことは謝りたかった


「あれ?まぁいいっかな。大丈夫だよ?だって毎日美味しく食べてもらっているだけど十分だし、それに誰だって体調が良くないことはあるってば気にしなくていいよ?」

「ありがとうございます!今度はしっかり美味しくいただきます」

「それより大事な話をしようっか」

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