第32話 抜き打ちテスト

メイド喫茶のあの件から3日経ったけど未だにあの時の感覚がハッキリと覚えてる。いったいなんだったのだろうか?とりあえず、あの時だけ理性がぶち壊れていたのには間違えない。それにしても今日は寒いな。今、咲希さんと一緒に帰ってるのだが昼になっても全然暖かくならないな


「うぅ....寒い」

「今日は寒いよね〜。今日はおでんだけどいい?」

「おでんですか!?いいですね」

「まーくんのために昨日の夜から作っていたんだよ?」


マジか、それは嬉しいな。こんな寒いときにおでんが食べれるなんて幸せでしょ

というかおでんなんていつぶりなんだろうか。


「ありがとうございます!おでんなんて何年も食ってないですから!」

「そんな!?まーくんっていったいどんな暮らししていたの?」

「毎日、ご飯と漬物ですよ。あと、激安のうどんとか買って過ごしてました」

「ええええええええ!?駄目だよ!それじゃあ、栄養不足だよ」


確かにそうだと思う。アレは最低限のコストで腹を満たすだけで、本当に栄養とか健康なんてガン無視だったからな。もう、あんな生活はしたくないところだ


「ごもっともでありますね。月の食費が1万でしたので、しょうがないんですよ。しまいには高校生になったら食費が少し減りましたからね」

「え〜!?それはちょっとすごいね」

「でも、バイトのまかないとかで少しマトモなの食べていましたけどね。今は咲希お姉ちゃんがいるので、大丈夫ですけど」

「なんというか、もっとまーくんのことを養ってあげたくなってきたなぁ〜」


咲希さんはニヤニヤと満足そうにしていた。たぶん、ブラコンの症状が出てたんだろうな。咲希さんっていったい何を考えてるのだろうか?



家に帰ってベットにダイブした。これは家に帰ったら必ずやってる気がする。もはや恒例行事になってきた気がする。あぁフカフカで最高だ。少し寝るとするか


「キャアアアアアア!」


咲希さんが悲鳴が聞こえたぞ!?いったい何があったんだ!今すぐ向かわないとまずいぞ!急がないといけない。自分はすぐに起き上がり階段に急いで降りた


「どうしたんですか!?咲希お姉ちゃん」

「人が!人が勝手に入ってきたの」

「咲希ちゃん忘れちゃったの?この顔、見て分からない?ほら、真希」

「誰ですか!?」


いや、マジで分からないんですけど、誰ですか!?いや、本気で分からない。この人誰なの!?なんか高そうなジャケット来てこんなオシャレな人知らないぞ!?


「親の顔を忘れたのかよ....」

「誰ですか!?咲希さんの親戚ですか?」

「いやいや知らないよ!こんなおじさん知らないって」

「知らない!?嘘だろ....ええい、真希!お前の親父が帰ってきたんだぞ」


え?この人、俺の父さんって言いたいの?これって新手の詐欺?最近、テレビで見る特殊詐欺ってヤツか!?騙されないぞ


「なんか、証拠とかデータとかあります?」

「証拠....なにがいいか」

「証拠ないんですね!?お帰りください!俺の父さんはもっと薄暗いヤツでいつもボソボソとなにか言っていて、なに考えてるか分からない人なんですからね!咲希お姉ちゃん目当てですか!警察呼びますよ」

「おぉ〜怖い怖い。俺はそんな子供に育てつもりはないけどな」


なんだコイツ、ムカつくな。親父だってほざいてるけど、なにか証拠が言えないなら

駄目だ、イライラしてしょうがない。落ち着け俺


「だから証拠は!?」

「食費を減らしました。あの時はすまない」

「はい、証拠は?」

「お前が怪我して大出血した時に救急車を呼ばないで必死になんとかした」


あ、これは父さんだ。確かにそうだ。階段の段差を踏み外して頭から強打して大出血していたけど、なんとかしたな。その当時なんで救急車を呼んでくれないのかと疑問だった


「あ、父さんだわ。でも、あんた誰?」

「だーからっ!お前の親父」

「私はそうに見えないなぁ」

「なんでだよおおお!」



とりあえず、リビングで席に座って咲希さんが隣に座っていて反対には父さん(偽物っぽい人)が座っている


「それで、父さんはなんでここに来たんだよ?父さんじゃなさそうだけど」

「抜き打ちテストみたいな感じかな?というか、なんで信じてくれないんだよ」

「服装、喋り方、仕草、様子。すべてが違う」

「そ、そうか!?やっぱ職場を変えたからかな?今の職場はいいよ。カヤさんのところで働いているけどさ」


そうですか、じゃあそのまま帰ってください。正直、父さんの顔を見るのはあまり気分がよくないからな


「へぇ〜そうなのかい。じゃあ、帰ってください」

「嘘だろ!?反抗期か。それにしてもどう?咲希ちゃんとは」

「抜群だよ!?まーくんとはべったりだよ!そうだようね?」

「うん、まぁね」

「若いっていいなぁ。あとこれお土産な。それにしても、アレ何?」


指を指した先にはメイド服があった。咲希さんはビクッと驚きあわあわと慌ていている。それもそうだろう


「あわわわ!それは」

「何やら、いかがわしい事でも?」

「ちちち違うんです!」

「若いっていいねぇ〜そうだ、俺は2時間後に仕事があるんだよ。だから、邪魔な親父はすぐに消えるよ」


父さんは少し小笑いをしてため息をついた。しかし、カヤさんの会社ってめちゃくちゃ忙しいっ企業だな。いったい何やってんだよ


「仲良くて何よりだな。俺は少しご飯を食べたいけどいいか?」

「いいですよ」

「それはありがとう!じゃあメシ食ってから行くよ。それにしてもなぁ〜真希とくっついてもいいんだぞ?」

「かっからかわないでください!」


咲希さんが顔を真っ赤にしている。そんなに恥ずかしかったのだろうか?

だけど、咲希さんが恥ずかしがってるのはかわいいな

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