第49話 いわずとしれたこと
ずっとラブレターらしいヤツについて考えてよく眠れなかった。アレはどういうことなんだろうか。というか眠れなかったせいで眠い
「まーくん眠そうだけど大丈夫?」
「よく昨日あんなことしたのに平気そうな顔をしてますね。お姉ちゃんはポーカーフェイスが得意なんですか」
「それはどういうことかな?」
すげぇ冷静に言ってるけどメンタルすごいな。好きとかカップルみたいって言われたらすごい動揺をする癖にラブレターを机に置いていることに関しては涼しい顔でいれるところがすごいな
「これ、見覚えにありませんか?差出人はしっかり書いてますよ。あなた、咲希お姉ちゃんのです」
「封を切ってる?じゃあ中身を見たんだね....」
「はい、しかし謎なことにスマホのプリペイドカードが入ってました。これはどういうことですか?」
「は、恥ずかしい!どうしてソレ入れたんだろう!ああああ私のバカ」
急に慌ただしくなったぞ。さっきまですごい涼しい顔で余裕そうにしていた顔はどこへ行ったのだろうか
「それで説明してくださいよ」
「あい、あい....?」
「あいあい言っていてお猿さんだよ〜じゃないんですからなんか言ったらどうですか?お姉ちゃんらしくないですよ」
「お姉ちゃんらしくない!?あわわわわ」
こんなに慌てている咲希さんは初めて見たかもしれない。これどうやってもごまかすこと出来ないでしょ。いや、言い方は間違ってる気がしれないが咲希さんの裏はもう知ってるんだよ
「それでなんですか?というか大好きって書いてあるんですけど」
「黙秘権を使います」
「僕に恋愛的な好意を持ってたりします?」
「それは....黙秘権を使います!」
なんか急に小学生のバリアぐらいに黙秘権を使いまくっているんだけど、ここ取り調べとか裁判所じゃないから黙秘権はないんだが
「ここは取り調べじゃないですし、裁判所じゃないですから黙秘権は聞きませんけど」
「テレビない家なのにずいぶん詳しいわね」
「咲希お姉ちゃん、貧乏イジりは勘弁してくださいよ」
「乙女には難しいことがあるの!もうっ知らない」
「あ!ちょっと」
咲希さんが走っていってしまった。なんだろうか?今日の咲希さんはいつもと違う感じがする。なんというか、すごい女の子らしいというか乙女だ
お昼休み。毎日、自分は咲希さんのお手製のお弁当を食べてる。いつも食べる日につれて弁当の中身は違う。そしてどれも美味しい。こんな毎日おいしい弁当が食べるなんて幸せだ。でも最近はお弁当を食べるとドキドキする。どうしてだろうか。自分が咲希さんのことが好きだからか?
「なぁ最近、俺と話してくれないけどどうしたんだよ?」
「え?」
「もしかして名前を忘れたのかよ?」
「賢斗だろ?そんな話してないっけ?」
「話してねぇだろ!最近、お前は変わったな」
言われたら確かに話してない気がする。まぁ、咲希さんの話題をコイツにすると茶化されそうでちょっと話す気があまりなかったのもあるが、俺そんなに話してなかったか?待てよ、どれくらい話してないんだ?
「どれくらい話してないんだ?一週間ぐらい?まぁちょびっと話す場面はあったけどよ?それにしてもお前ずいぶん顔つきが変わったよな。恋する男児って感じ」
「恋する乙女みたいな言い方やめろ。恋する男児って汗臭そうで気持ち悪そうじゃん」
「恋する男の子を敵に回したぞ。貴様覚悟はできてるのか?」
「いわずとしれたことだよ。俺はそっち側の人間だから敵はなんていないぜ」
正直、咲希さんのことが好きなんてコイツからしたらいわずとしれたことであろう
だから何も恥ずかしいことなんてない
「え!?今なんて言った?えぇ!?今なんて言った?えぇ!?今なんて言った!?」
「1人でエコーごっこするのやめてもらっていいですか?」
「じゃあ、お前好きな人いるのかよ!?」
「まぁな」
「嘘だろ!?」
あ、アレ?予想外だったな、頭の中ではコイツが『へへっだと思ったぜ。どうせ相手はアレだろ!?』っていう展開を予想していたけど、なんかめちゃくちゃ驚いてるじゃん。なんか困ったな
「そんな驚くかよ?」
「だってさ、俺冗談で言ってたんだぞ!?えぇ、相手はだれ?」
「いわずとしれたことよ。別に笑っても構わないけど、俺はマジみたいだ。最近好きな人を知った」
「なんだよ!?勇者が終盤に自分が何者かと知る展開みたいの!」
でも、本当に最高まで気づいてなかった。無意識な感じだったけど、まさか久美さんに気づかされるとは思わなかったけどな
「わりぃ、もう時間だ。席座ろう」
「うわ、主人公感あるわ.....」
「なんか言った?」
「いや、なんでもねぇ!先生来ちゃうから座るわ」
なんとでも言ったって構わない。これは自分の道だから、他人が何言おうが関係ない
でも、アレは確実にラブレターだ。いわずとしれたこと。そして咲希さんが俺のことが好きなことも全部いわずとしれたことだ
お知らせ
あと5話で完結します。なので皆さんよろしくお願いします。あと完結したあと時間が空きますがエピローグ書く可能性もありますのでその時はよろしくお願いします
作者より
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