第40話 イルミネーション
お昼が過ぎて、もうそろそろ時間になってきたところだ。防寒着は昨日、温かくてポカポカしたやつを買ったので問題なし。そして咲希さんも準備万端そうだ。これで忘れ物はなにもないはずだ
「咲希お姉ちゃんは、準備できましたか?」
「準備はバッチリできたよ!イルミネーションはキレイなんだろうな〜。楽しみ」
「それじゃあ大丈夫なんですね?」
「うん、大丈夫!レッツゴ〜!」
家から出て駅のホームにいるのだが、なぜか咲希さんが帰りたそうな表情をしていた
なんかあったのだろうか?
「なんか、大丈夫ですか?帰りたそうな顔してますけど」
「寒い!寒いの本当に寒いの!」
「しょうがないですよ、冬なんですからね!?寒くてナンボなのが冬です。でも俺も温かい方がイチバンいいんですけどね」
「うぅ〜さむいよ!まーくんなんとかしてよ、気温あげて」
俺は気温をいじれるような特殊能力的なモノは持ってないから、そんなものできないぞ!?あ、いや科学的にはできるかもしれないな
「よかったら俺のカイロ使ってください」
「ありがとう、まーくん助かるよ!そういうところ好きだよ」
「あ、いやどうもありがとうございます....」
「ふふ、照れてる。かわいいね〜好きだよ?あ、電車来たよ」
電車に乗り何度か乗り換えをしてなんとか目的地についてイルミネーションを眺めてる。どうやら、イルミネーションは花園らしい。話し合いをした時は時間と交通費の話しかなくて、どこにつくのかがハッキリと分からなかった。
「イルミネーションって花園でやるんですね。街の並木とかのイルミネーションしか知らなかったので」
「そういうイルミネーションもいいよね。だけど、私は花園の方が好きだよ。花園のイルミネーションは色々とあって面白いからね」
「確かに、俺もこっちの方が好きかもしれないですね」
「そう?なら嬉しいかな!でもやっぱり、寒いよね....くしゅん!」
確かに咲希さんの言う通り寒い。いくら温かい防寒着を着たとしても、寒いには寒い
咲希さんが寒がってる姿を見てなにか紳士として手助けするべきだと感じた
「これで、どうですか?」
なんで、こんな行動したんだよ!?これ普通にアウトだぞ!抱きしめて暖めようと行動になんで出たんだよ!イチバン駄目なヤツじゃん
「え!?ままま、まーくんが抱きしめきてる!?」
「あ、いや寒いって言ってたので」
「ありがとう。まーくんって優しいね。なんだが温かい気がしてきた」
「そ、そうですか」
なんか喜んでくれたみたんだから良かった。なんで、あんな行動に出たんだろうか
なんにも考えないでやっていた自分が怖い
イルミネーションはキレイだ。ペンギンの形をしたイルミネーションや、星のイルミネーションなど色々見れて楽しくてとてもいい。まさか、こんなにイルミネーションが楽しいものだとは思わなかった
「キレイですよね、こんな面白いものだと思いませんでしたよ」
「嬉しいそうで私も嬉しいよ....」
「どうしたんですか?元気ないですけど」
「私、分からないことがあって悩むと頭がぐしゃぐしゃして嫌なの」
悩み事か。咲希さんは毎日頑張っているから悩みはたくさんありそうだ。いったいどんな悩み事なんだろうか?
「悩み事?」
「まーくんに話したらまずいのかな?いや、ちょっと分からないかな。私に好きな人がいるんだけど」
「なんか、そんなこと前にも言ってましたね」
「この好きって気持ちがよく分からないの。これは友情的な愛情なのか恋愛的な愛情なのかがさっぱり分からない」
結構悩んでるみたいだな。その相手っていうのは結構難しい人間なんだろうか?
ちょっと自分自身、うまく理解できない
「相手はそんな難しいんですか?」
「難しいかもしれない。毎日いるし隣によくいる子。自分の気持ちがどういうことなのか分からない」
「難しい話ですね。俺、恋愛の話とか相談されたことないですし。なんして周りのヤツはバカばっかりなもんで」
「あのね!もしもというか、なんていうのだろう?まーくんに、私が告白してきたらどう思う?」
それはどういう意味なのだろうか?でもどうだろう。正直、お姉ちゃんと見たらダメなのかもしれない。だけど、1人の女の子と見れば俺はYESと言うかもしれない
「分からないっすよ。でも俺ならYESって言うかもないっすよ」
「そうなの!?」
「いきなり、喜んでどうしたんですか?」
「あ、いや〜その!あれ、恋人の聖地だよ!行ってみようよ!」
なんというか少し咲希さんが変だな。でも、機嫌が良くなったからいいか
咲希さんはニコニコしている姿がイチバン似合ってる気がする
「恋人の聖地なんてどこでもありますよね」
「確かにそうだね」
「俺、咲希さんの恋人でもなんでもない義理の弟なんですけどいいんですか?」
「じゃあ、この瞬間だけ恋人になれるおまじないをしてあげる。周りに人はいないみたいだし、いくよ?」
咲希さんにキスをされた。心臓がバックンバックンとしてドキドキして興奮する。これで何回目のキスなんだ?これは恋人の域を超えてるなその瞬間、咲希さんは鐘を鳴らした
「恥ずかしいじゃないですか!」
「そう?私はドキドキして楽しいけど?」
「き、キスはだめです!」
「あはは、ごめんごめん。恋人になった時とはキスの味って違うのかな」
「どうしました?」
「なんでもないよ!まだイルミネーションはあるから楽しもうよ」
咲希さんって本当になにを考えてるのか分からない人だな。でも、それと共になにか特別な人だと思う
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