第41話 やっとわかった気持ち

宿泊先から外の景色を眺めながら私は溜息をつく。


「はぁ・・・」


私がみんなにあんなふうに思われてたなんて・・・

私は人を見る目がないのかもしれない。第一、彼女たちが私にそんなふうに思ってたことなんて知らなかったし、いじめられるなんてもってのほかだ。


「林間学校・・・楽しみにしてたのにな・・・」


そんなことを思ってると、同じクラスの女子たちが部屋に私の心配をして見に来てくれた。


「もも!?大丈夫!?」

「怪我はないの?」

「災難だね・・・」


みんなが私のことを心配してくれた。友達はやっぱりこっちの方がいい。あんな卑劣なことをしてくる人よりも、人の心配をしてくれる心優しい人の方を誰でも好きになるだろう。


「でも、いいな〜。」

「え、なにがよ。」

「だって、如月くんにおんぶしてもらったんでしょ?もう付き合っちゃいなよ〜!」

「なっ!そんなんじゃないし!」


なんで私があんなやつと・・・バカじゃないの!

でも、たしかにカッコイイとは思う。あの場面で危険を省みず私を助けに来てくれて。その上おんぶして私を運んでくれた。誰でも好きになってしまうだろう。

だけど私は彼のことを好きにならない。それは・・・


「拓馬は幼なじみだからね・・・そういう風に見たことないかも・・・。」

「そっか〜。」


そう。幼なじみ。

言っちゃえば兄弟のようなもの。兄弟を好きになることはほぼ無いように、幼なじみをそういう風に見ることはほぼ無い。


「でも、如月くんって何気に人気なんだよ?」

「そ、そうなの・・・?初耳だよ・・・?」


なにそれ・・・あいつのどこがいいって言うのよ。


「例えば、勉強も運動もできるでしょ?あれで家事もできるらしいし完璧じゃん!」


確かにそう考えれば彼は完璧だ。むしろもっとモテていいはずなのでは?じゃあなんで・・・


「ももにべったりでさえなければねぇ?」


そゆことか・・・

私に拓馬がついてたから変な男がよってこなかったのと一緒ってわけね・・・。


なんて考えていると外から声が聞こえた。


「何?暴力とか勘弁なんですけど〜‪w」

「やだ怖ーい‪w」

「こいつの顔、まじウケる‪w」


この声は昼のあの3人!?でも誰と話してるの・・・?


「ん?何今の声?見てみよーよ!」

「ちょっ!?バカ!」

「え〜でも誰と話してるんだろ・・・って如月!?」


え!?あの3人と拓馬が!?ちょっ!何するつもり!?


◇◆◇

彼はその場で名推理を披露。その声は完璧にこっちまで聞こえていた。


「ちょっとそれは許せないよ・・・一発殴ってくる・・・」

「待ってって!そういうのは良くないよ!」

「なんでよ!!」

「拓馬とかも我慢してるんだからダメだよ!」


彼女は仕方ないと食い下がる。

だけど、1番気持ちの整理が出来てないのは私かもしれない・・・

この胸の鼓動・・・間違いない。


私は彼のことが・・・好きだ。

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