おば…お姉さん、いて!おばさんなんて言ってないっすよ!!

第45話 久しぶりの再会

さて、どうしたものかなぁ…

家に帰ってきて最初に発見したのはあお姉でもみずきでもなかった。


「えと…どなた、ですか?」


通報するか考えたがここは冷静になるべきだと判断した。俺がいなかった間のことを考えろ、この人が2人の関係者だと考えるのが妥当だろう。

よく見ると、目元や雰囲気がみずきやあお姉に似ている。クリっとした目はみずきに、清楚で可憐な感じはあお姉に…あれ、清楚ってなんだっけ?


「あら、通報しないのね。驚いたわ。」

「何となくみずきやあお姉に似ている気がしたので…恐らくあなた、2人のお母さんですよね?」


そこで俺は大切なことに気づく。


俺のお父さんは昔離婚したんだよな?じゃあこの人は誰だ…?まさか…?

ハッとしてこの人の顔を見る。俺に似ていると言えば似ていなくはない。言われたらわかる感じ。


「あら、気づいた?そうよ、私は」


彼女はその目をニコッと細めるように、優しく俺へこう言った。


「あなたの母よ。」


この人が俺のお母さん…なんだか現実味がわかない話だ。急に現れて急に母を名乗られれば誰でもこうなるだろう。

あれ、そういえば、


「あおいさんとみずきはどこですか?いつもなら迎えに来てくれるのに、」


俺の声を遮るように、彼女はニコッとしていた目を見開き俺をじっと見つめ、いや睨みつけるようにしてこう言った。


「あら、あの子たちならもうこの家にはいないわよ?だって彼女たちは実家に戻ったのだから。」


俺の理解が追いつかないうちに、彼女は即死コンボのように言葉を重ねてきた。


「悪いけど、今からあなたはお父さんと元通り2人で過ごしてもらうわ。それじゃあ、私はこれで。」


そんなの横暴すぎるじゃないか!ふざけんなよ!

内心そう思っている。だが、声が出ない。ショック?それとも怯え?何故だろう、今まともなことが言える気がしない。ピヨピヨパンチを喰らって混乱しているような…


でも、


「な、なんでなんですか!!そんなのいきなりすぎません!?」


俺は心の震えを振り払って彼女に問う。何故だか分からないが彼女に恐怖感を感じてしまう。

そんな俺を彼女は冷たい目で見て


「あなたの父親なんてろくでもないものよ。それにあなたにもその血が流れているみたいですしね。」


そして、ギロっと目を大きく見開いてこう言う。


「さようなら、拓馬君。」


悲しい…もちろんこの状況も悲しいのだが、こんな時もし自分がドMだったらなんて考えてしまう自分が1番悲しかった。

ま、これもオヤジの血ってやつか。

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