第44話 真っ暗な夜に男女2人。ナニが起こるんだろうなぁ()
肝試し・・・こんな真っ暗な中ももと二人きりで脅かし役なんて、これはむしろ俺の肝が試される・・・。
「ねぇ、拓馬?さっき委員長となんの話してたの?」
「ん?大したことじゃないぞ?」
「ふーん・・・そっか・・・ならいいや。」
なんだ?変だな。何かあったのか?いつもならもっと追求してくる所なのに。
「どうしたんだ?調子でも悪いのか?」
「別にどこも悪くないわよ?」
「いや、でもやけに大人しいじゃん・・・っておい!?」
ももは急にそこにあった小石をこっちに投げつけてきた。
「痛てぇだろ!何すんだよ!」
「何がやけに大人しいよ!私は常にお淑やかよ!」
「え、お淑やか・・・?ちょっと何言ってるか分かんないなぁ。」
「はぁ?あんた私のことあんだけ見ててそれも分かんないの!?」
「なんでお前はそんなに自信満々なんだよ・・・」
久しぶりだ。2人きりでこういうやり取りは久しぶりだ。振られたり助けたり、遊びに行ったり色々したけど。やっぱりこの距離感がいい。
「で、どうやっておどかせばいいんだ?」
「あんたはいるだけで怖いんじゃない?」
「ふっ・・・俺のオーラに怯えるのは仕方ない・・・な。」
「何こいつ・・・」
ヤダももさん。こんなノリにしたの貴方でしょ!ちゃんと回収しなさいよ!
「でも、怖がらせるなら全力でやりたいよね〜」
「そうだな。こういうことは精一杯楽しまなきゃな。」
「んじゃどうする?2人で思いっきり叫ぶ?」
「それはそれで変だろ!草むらから出で行くとかは?」
「ん〜ベタ過ぎない?」
こんな感じで俺たちの会話は続いていき。
「じゃあいっその事、拓馬のこと紐で縛ってムチでビシビシしちゃおっか!」
「それは色んな意味で恐怖なんだが・・・」
「あれ?ご褒美じゃないの?」
「お前それどこ情報だ!!」
「フフッ・・・」
「へへ・・・」
俺たちはこの夜、ずっと笑い続けた。もはや脅かし役なんてことを忘れて、久しぶりに2人きりでくだらない話をした。
◇◆◇
「なわけねぇだろバカ・・・って、もう時間だな。」
「ん。そだね。じゃ、帰ろっか。」
「そうだな。」
ちなみに、後日のアンケートによると俺たちの笑い声が1番怖かったらしい。あそこは割とコースから外れていて、そこから声がしたから。ってことみたいだ。
翌朝、俺たちは宿泊先に忘れ物がないか確認し、バスに乗り込んだ。
帰りのバスの中ではほとんど寝てしまって、とくに何も覚えていない。
「帰ってきた〜!!」
「3日ぶりなんだな・・・」
「ん?賢治。いたのか?」
「お前のバスの隣ずっと俺だったんだが・・・」
ごめんな。肩にもたれてたらごめんな。
「じゃ、解散!帰るまでが林間学校だぞ!」
といういつもの合図で俺らの林間学校は終わった。
さて、さっさと家に帰らないとな。あの二人が待ってるだろうし。
俺は家の前に立つ。久しぶりの我が家。懐かしい感じだ。
昔はお父さんしかいなかったから、ひとりが多かったものだが、こうも帰りを待ってくれている人がいるって言うのはいいことなんだな。
「さてと・・・」
俺はドアを開けて大きく声を出して言う。
「みずき、あお姉、ただいま〜!!」
するとそこに来たのは、その2人ではなくて
「あら、拓馬君。大きくなったのね。おかえりなさい。」
そこに居たのは、俺の姉妹ではなかった・・・
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