第26話 問題文は注意深く読みましょう。
翌日の火曜日の放課後、俺はあお姉と待ち合わせをしていた。なぜなら・・・今から戦争が起こるからだ。
「あお姉・・・もうすぐ5時だよ・・・」
「うん。分かってる?お互い負けないように頑張ろうね。」
◇◆◇
何があったのかというと少しだけ時間を遡ることになる。それはその日の朝。
「たっくん、今日何時に帰って来れる?」
「ん?今日は特に何もないし5時くらいには帰れるぞ?」
「それならさ、お姉ちゃんとイヲンで合流しない?」
説明しよう。この話をよく読んでる人なら分かるが、イヲンは第9話にてちらっと出てきた・・・え?メタ発言はダメ?わかったよ仕方ないなぁ。
んまぁ、ショッピングモールのことね。
「いいけど、何の用だ?」
「今日・・・あそこで卵とお肉のセールをするのよ。」
「ふむ。それなら俺一人で行けばいいのでは?」
「あともうひとつ、このケーキのとこ、先着20人って書いてるでしょ?たまには少し贅沢と思ってね。」
「なるほどね。んじゃ了解した。」
「たっくんは卵とお肉の方をお願いね。」
「そっちがケーキね。完全把握。」
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回想終了・・・とは行かない。
「なぁ、あお姉。分担を変えないか?」
「そうね・・・さすがに私もこの集団の中に入っていきたくないわ・・・」
どういう状況か説明すると、食品売り場である地下1階のそのスイーツ店付近におばさn・・・いや、お姉さん達が何十人も滞在していた。
「あお姉・・・あの人たち飢えた獣の目してるって。あんな所に俺が行ったら死ぬって。」
「大丈夫・・・だよ?」
「ま、でも可愛いお姉ちゃんの頼みだし、一肌脱いでくるよ。買えたら俺に少し多くくれよ?」
「たっくん・・・そういう所が好き。」
「あのー。そういうのって、そこだけボソッと言って、『ん?なんか言った?』『な、なんでもない!』的なやつじゃないの?なんではっきり言っちゃうの!?」
◇◆◇
はい回想終了。お疲れ様でした。
なんて言ってる暇はないんだよなぁ・・・現在時刻は午後16:50。整理券も配ってないみたいだし、並んでる様子もない。というより、店の前に「並ばないでください」という看板があるから誰も並ばないのだろう。たしかに、こういうモール的なところで行列作ったら隣の店とかに迷惑だしな。
姉ちゃんを戦地に見送ったところでもう一度辺りを見渡す。相手はひーふーみー・・・大体俺含め26人。
さて、ここから少しずつさりげなくあの店に近づいていくのが吉と見た。
「あっ!やべっ!」
必殺、カバンの中から本が飛びでた演技炸裂。本を店側に落とす(滑らせる)ことにより店に近づいた。これぞ策士!フハハ・・・フハハハハ!貴様らにはこの程度のことも分からないとはな・・・
かれこれいろんな試行錯誤をした後、ついに17:00。ついにその時が来た・・・
◇◆◇
「ん〜!美味しい〜!!」
「ほんとに美味しいよ!おにぃも食べなよ!」
まさか、先着20人って言うのが3種類のケーキの事だったとはな・・・
チーズケーキ、チョコレートケーキ、ショートケーキ。それぞれが先着20人でお一人様一つだったから余裕で買えたんだよなぁ。
「ほら、たっくん?あ〜ん♪」
「おにぃ!あーん!!」
可愛い姉妹からアーンさせて貰えたから俺はもう幸せで満腹だった・・・ってこのケーキ普通に美味いな。たまに皆に買って行ってやるか。
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