第20話 当店では弟以外はスマイルは受け付けておりません
ここか・・・ここがあお姉が働いてるカフェか・・・
「なんか、思ってたより老舗って感じだな。」
「そうだな。9時半オープン・・・割とホワイトっぽいな。」
外に書いてあるメニューを見る。コーヒーだけじゃなくて、パンケーキとかマフィンとかケーキとかも売ってるんだな。でも、タピオカとかが無いのは割と俺の中だと高評価だな。何でもかんでも流行りに載せるのは老舗のやることじゃないしな。最近、何でもかんでもゲーミング○○ってつけとけみたいな精神で色々あるけどあれってなんなんだろ。
そんなことを考えつつドアを開ける。カランコロンと綺麗な音が少しさびつつあるベルから鳴った。エアコンとかはないのに、扇風機や換気のおかげで暑くは感じない。外よりは涼しい・・・
「いらっしゃいませ!って、たっくん!?何しに来たの!?」
「あお姉が働いてるの見に来ただけ。」
「それに便乗して来ました!」
ふむ・・・悪くない制服だな。姉の可愛さが1.5倍に膨れ上がっている。なんとも素晴らしい。これ国宝にしよ。この制服国宝にしよ。
「にしても、あお姉しかここで働いてないのか?」
周りを見ると従業員が他に居ない。ホワイトかと思ったけど割とブラックなのか・・・?まさか重労働させられてるのか!?
「いや、マスターともう1人従業員はいるよ?でも、この時間帯は人があんまり来ないから時間交代制で休憩したりしてるのよ。」
なんだよ。ベリーベリーホワイトじゃん。英語の教科書に出てくるホワイトさんが経営してるのってくらいホワイトやん。
「なら良かった。んじゃ賢治は注文決まってるか?」
「あと少し・・・あと少しなんだ・・・7割くらいまで来てる・・・」
7割くらいまで来てるってどういうことだよ?メニュー決めるのに7割も8割もないだろ。はよ決めろや。家で腹を空かせた天使たちが待ってるんだ。
「決まった?」
「今8割。」
「注文決まったらまた呼んでね〜。」
〜10分後〜
「おい、まだかよ・・・」
「今5割。」
「おいパーセンテージ減ってないか!?」
「気にすんな。3割なんて誤差だ。」
「それは誤差じゃないぞ!?」
3割が誤差って、どんな世界線だよ。7割が100%になるんだぞ?果汁100%ジュースが果汁70%ジュースでも誤差だって言われるんだぞ!?
「もう待ってられん。俺はもう頼むからな。」
「よし決まったわ。」
なんだこいつ。喧嘩売ってんのかよ。お前搾って果汁100%にしてやろうか?そのジュース献血ルームまで持ってってやろうか?
「ご注文は?」
「賢治から先に頼め。」
「んじゃ、このパンケーキとカフェラテ。」
「俺はブレンドで。」
「はいはい!承りました!」
可愛いな 美しい姉 尊いな
あれ、川柳できちゃった。やっぱ川柳とか俳句って感動で作るものなんだな。国語のおじさん教師が言ってたことがやっとわかった気がする。
「あ、お姉さん!もうひとつ追加で!」
ここで、賢治が追加注文を頼もうとする。パンケーキにカフェラテって、他に何頼むんだ・・・?もうすぐ昼飯だろうに。
「お姉さんの飛びっきりのスマイル・・・追加で。」
え?は?なんだこいつ。調子乗んな。あお姉に何言ってんだよ!バカじゃないの!?そんなのあお姉が許すわけ・・・
「はーい!えっと、こんなのでいいかな?」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
よし。こんくらいでいいかな。ナイスだ賢治。よくスマイルを注文してくれた。これ国宝にしよ。すげぇ、国宝2つできたぞ。このカフェだけで国宝2つとか、どんなカフェだよ。
あれ、この笑顔って料金いらないよな?メイドカフェ的なそういうチェキ代とかないよな?
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その後来たコーヒーもパンケーキも割と美味しかった。これ国宝にしよ。
なんか、これ国宝にしよが口癖になってきてるな。某どうぶつと森のゲームみたいな口癖機能が俺にもついに搭載されたか。
どうやら、会計時にはあお姉の担当時間は終わったらしく、おじいちゃんが会計をしてくれた。
「んじゃ、1500円で。」
「え?そんなに安いんですか?」
「若者の金を多く奪うのは趣味ではないからの。お主の姉にはいつも感謝しておるし、それのお礼じゃ。」
何ここ・・・ホワイトってものじゃないよ。超ウルトラハイパースーパーホワイトだよ。いや、俺の中のスーパーとかハイパーとかそういう系の言葉の種類少なすぎて全米が泣いた。
「それじゃ、また来ますね。」
「じゃあな!おっちゃん!」
「じゃあの。次の来店を待っておるぞ。」
いいカフェだったなぁ。これ国宝にしよ。
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