第12話 開始早々、男から告白されるラブコメ(※れっきとした男女同士の恋愛物です)

「あの、俺、そんなに下心ないからな!?別に、妹に興味は無いわけではないけど、1番仲良くしたいのはお前だからな!?」


開始早々、幼なじみの男子からの謎の告白で始まるラブコメが未だかつてあっただろうか。ちょっと、気持ち悪いから通話切ろうかな。


「気持ち悪いから通話切るとか言うなよ!?」

「なんでお前は俺の心が読めるんだよ!!」

「まぁ、そりゃ小中高と一緒だしな。」

「そういやそうだったな。小五でお前が転校してきたんだよな・・・懐かしいわ。」

「んなことはどうでもいいんだよ!!そんなことよりみずきちゃんのこと!」

「だから、みずきはお前にはやらんぞ!」

「無限ループになってる!!」


だって、可愛い妹を幼なじみにあげたくなくね?それって仕方なくね?


「まぁ、とりあえず拓馬は俺の話を聞け。」

「へぃへぃ。んで?本題は?」

「みずきちゃんの友達ができないんじゃないかって話がしたい」


ん?なんでだ?あいつに友達ができない?そんなことがあるものか?だって、あいつは


・コミュ力が高い

・ツンデレ(可愛い)

・スポーツ万能


これ、普通に人気あるやつだろ。これで友達できないとか人生ハードモードすぎんだろ。友達100人とか言ってる奴、どんなチート使ったんだよ‪。

でも、こいつの事だ。そんなことをわざわざ電話で言っては来ないだろう。


「で?お前がそういうには理由があるんだろ?それを聞きたい。」


そして、彼はこう言った。


「例えばの話だ。

クラス内に、可愛い彼女がいるやつて、そいつは、朝彼女とイチャイチャしながら登校してくるんだ。」


ここまでならまだ許せる。いや、やっぱ許せないから滅べ。


「そいつはしかも、お昼もそいつと一緒に食べようと授業が終わると一目散に教室を出るんだ。」


なんだそれ。そんなやつ知人に居ないぞ?いたらとっくに呪ってるわ。


「そして、そいつは放課後彼女と買い物に行くんだ。しかもその彼女と同棲している。どうだ?」

「おい、そいつがリアルにいるなら名前を教えろ。現実の厳しさってものをお兄さんが教えてあげるから。」

「待て待て早まるな。それをお前の妹に置き換えてみろ。」


あっ、そういうことか。

さっきの話の「そいつ」をみずきに。「彼女」を俺に当てはめる。確かにそうなる。


「でも、それで友達できないのか?」

「誰だよ。滅べだの呪うだのちっちゃい声で言ってたくせに。」

「まさか、みずきもそう思われてるのか!?」

「いや、それは無い。だけど、友達は増えないだろう。」

「おいおい、どうすんだよ!?詰みゲーじゃん!」

「だから、少しお前のお姉さんも含めて話がしたい。明日か明後日あいてるか?」


そう言われて予定表を見る。俺には特に予定は無い・・・が、


「悪い。この話は少し後にしてくれ。お姉ちゃんの日程がわからん。」

「了解。じゃ、日にち分かったらメッセででも送っといて。じゃあな。」


言われてみればそうだ。リア充爆発しろの風潮がある中、リア充アピールをしてしまうとそれは交友関係の破滅を意味するものだからな。


「それにしてもあお姉の日程か・・・。そもそもあお姉って働いてるのかな?大学生?」


そんなことを考えていると、


「お姉ちゃんのこと、気になるの?」

「えっ!?」


いつの間にか後ろにあお姉がいた。青鬼くらい急に出てくるからびっくりしたわ。黒ひげ危機一髪くらいびっくりした。


「お姉ちゃんのこと気になる?」

「まぁ気になるっちゃ気になるな。」

「もう、そんなこと言って!照れちゃうでしょ!」

「まぁいいだろ。で、2階にいたって事は何か話しか?」

「うん。少し当番を決めようと思って。」

「当番って家事のか?」

「うん。そうなの。私一人だとキツイから・・・」


なにか言おうとしていたが、お風呂上がりすぐのそのサラサラな黒髪を見て、俺は言葉が喉から上に上がらず、ただただ見とれてしまっていた。


「ん?たっくん?どうかしたの?」


血さえ繋がっていなければ惚れていた。その顔は、失恋など忘れてしまう程の破壊力で。そして、ついでにその胸も股間を破壊してくるほどの破壊力を有していた。


「いや、なんでもない。それじゃ当番とやら決めるか?」


いや、まさか実の姉をそんな目で見るなんてないよな。これも不具合だな。俺の体アプデしてくれよ。


ついでに、まだ残る失恋の傷も・・・治して欲しいなんて思っていた。

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