第18話 賢治「いや俺変態じゃないから!!」

これは間違いない・・・この靴、この話し声、この香り・・・


間違いなくももがいる!


いやね?靴とか話し声とか香りで誰かわかるじゃん?いや、変態じゃないよ?あれ、嘘でしょ。そんな目で見ないで。その目を向けられることで喜ぶ人もいるからその人にその目は向けてあげて。需要と供給は大切。


って、そんな話じゃなくて!昨日、LINEブロックされてたよね!?それなのにどうして来てくれた・・・それも今日?あれ?ももが来てるってことは、予め昨日あたりに今日家に来るってももは誰かに言ってたんだよな?それはつまり、この家にもしかして俺よりもももと仲いいやつがいるってことか?

って言っても、この家は女しかいないからいいよ。突然だけど、百合は綺麗だよね。


ここでウロウロしてても仕方ないし、モモに会いたいし、おそらく複数人いるから誰か見たいし、モモに会いたいからそろそろこの百合百合した部屋に入ってもいいですかね。えっと、入場料は5000円でいいのか?


ガチャリとドアを開けて入ってみると、そこには天国があった。だって、美女4人がイチャイチャ話してるんだぞ!?あれ?これ入場料ほんとにいらないの!?別に、諭吉なら出してもいいわ。

でも、知らない子が2人いる・・・?ももとみずきと、あと2人は誰だ?


俺が不思議そうな顔をしてドアの前でぽかんと立っていると、4人が俺に気づく。いや、俺なんて気にしないでいいから続けていいよ?むしろ続けてよ?あれ、延長料金必要かな?おじさん、1時間1樋口なら出せるよ?

って、それ変態じゃねぇか。もはや賢治じゃねぇか。


少しすると、ももが立ち上がりこっちへよってきた。


「私、少しトイレ行ってくるね。」

「ん!了解!」


あの子たちはももがいなくて大丈夫なのか?よくある、3人で話してて、1人抜けた途端お互い話す人がいないから話せなくなる展開じゃなくて?

なんてことを考えていると、俺はももに手を引っ張られて、廊下に連れ出された。


なるほどな。俺があそこで呼吸してると、空気が汚れてあの神聖な感じが損なわれるから男は出ろって訳だな。よし了解した。そういうことなら上に行こう。


「えっ!?ちょっとどこ行くの!?」

「え?俺に用か?あ、入場料とかの請求か?」

「何その入場料って・・・まぁ、そんなことより、今日突然来たことをまずは謝罪するわ。」

「お、おう。急に改められても困るけど・・・でも、なんで急に?」

「賢治から聞いたのよ。みずきちゃんの友達作りしてるんでしょ?それで頼まれてね。」


賢治か。賢治がももとLINEしてたんだな。よし絶交。今まで楽しかったよ・・・来世は異世界ででも無双しててくれ。いや、それはなんか嫌だから、異世界の中ボス位の立場にいてくれ。俺が倒しに行くから。


「んで、あの2人は?」

「私の仲良い後輩よ。2人ともみずきちゃんと仲良くしたがってたから呼んだの。」

「そっか・・・じゃあ・・・」


なんで俺のLINEをブロックしたんだ?


この一言が出なかった。喉から、いやこの言葉は言おうとして直ぐに消えていった。喉なんてものじゃない、喉まで到達する前に消えていた。


「ん?まだなんか用?」

「いや、なんでもないわ。みずきに友達できるなら俺も嬉しいしな。あとは任せる。」

「ん。それじゃね。」


ももがみずきのために頑張ってるんだ。俺も昼飯くらい作ってやるか。それに、これ以上家にいると何かに目覚めそうだ。

そう思い、俺はマイバッグと携帯片手に暑い中徒歩で近くのスーパーに向かっていった。

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