第38話 やられたら何倍にもして返してやるよ・・・

「いない・・・どこだ?」


少し下った見晴らしのいい所で彼女たちを探す。が、見当たらない。俺たちとすれ違ってないし、頂上にもいなかった。

俺は、山の地図を見る。どこにも変なルートはないし、本当に一本道だ。にしても結構崖があるんだな・・・ゲッ!こんなとこももが行ってたら・・・死にはしないだろうけど、落ちたらかなり足痛めるだろうな・・・

別に、地面はぬかるんでる訳でもないし足跡で判別するのは難しいだろう。


「あんだけもものことを好き好き言ってんのにこういう時に見つけられねぇのかよっ!」


すると、そこにももの班の男ふたりが現れた。なんで男2人なんだ?まさかそういうことか・・・なんて考えてる余裕はない。


「おい、ももはどこだ?」

「あ〜。うちの女子たち、お花摘むから先行っててって言ってきたんだよ・・・」

「ちょっと幻滅だよな〜」

「お前ら・・・バカか?」


そんなわけが無い。事実として、あいつらはバスから降りてトイレにちゃんと行っていた。

なにか事情があるに違いない・・・。それに、あいつらは意地でも山でトイレなんてするわけが無い。正味、こいつらの好感度なら下がっても良かったのだろう。


ん?好感度・・・?


「・・・そうか!」

「お、おい!お前どこ行くんだよ!」

「俺も花摘み行ってくる!」

「まさかそういう趣味・・・!?」

「うるせぇバカ!」


聞いたことがある。このクラスの女子の派閥的な物は二つに分かれてて、陽キャグループともものグループがあるらしい。その陽キャグループのトップであるギャルは、サッカー部のエースが好きらしい。

だが、大天使ももを目の前にするとさすがにギャルに惚れる訳もなく、その爽やか君もももに惚れていた。

まだ、少し前までは俺がももにまとわりついてたから爽やか君はチャンスがないと思っていたんだろう。だが、俺が3日学校に行かなかったことにより事態は急変した。

ももに彼氏ができたことよりも、俺がももに振られたという事実だけが広まり、ももがフリーというデマが広がったのだ。それを機に様々な男がアタック、もちろん爽やか君もだ。

それを好ましく思えないギャルさんにとってはこれが好機・・・


これが・・・俺の推理ッ!!


すると、俺が行く方向から3人の人影が出てきた。恐らく1班の女子だろう・・・


「ももは・・・ももはどこだ・・・」

「は?あんたに関係なくない?てかなんでここにいんの?」

「道に迷ったんじゃないの?ウケる〜‪w」

「いいから答えろよ・・・返答によっては容赦はしないぞ・・・」

「え〜、こわ〜い!でも、一応ウチたち護身術位はできるんだよね〜。あいつもすぐ倒れちゃったし。」

「そうか・・・ならいいや。じゃあな。」


俺はそのまま走り出す。俺の愛しの人を探すために。


「え?嘘!?ビビっちゃったの!?カッコ悪〜!」

「何アレ〜!男なの!?」

「ダッサー‪w」


俺は立ち止まり振り向く。そして、自分史上最も意地の悪い顔をしてこう言う。


「お前ら、この林間学校楽しめるといいな。」

「は?あいつ何言って・・・」

「俺を怒らせたこと、後悔させてやるよ。今のうちに林間学校を楽しんどけ・・・」


俺はアニメのサイコパスキャラのように、賢治を真似るよつにニヤリと笑って、


「いや、今のうちに仲のいい友達さんに別れの挨拶をしとくんだな。今後どうなるか分からないからな・・・んじゃ。」


あ〜、気持ちえぇ!!これがアニメのキチガイキャラか!!

っていけね、もも探さなきゃ。

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