第52話 最近あいつ不足

「にしても、これからどうするんだよ!!」


話が逸れていたので俺が軌道修正を入れる。


「あ、そうか、あの二人のことだったな。」


おい、『だったな』じゃねぇよ。この話の元だろ。


「よし、そしたら君たち2人に聞きたい。あの2人に戻ってきて欲しい?」

「もちろんです。私はあの二人ともう少し一緒にいたいです。」

「お、俺も…」


待てよ?なんで俺はアイツらと一緒にいたいんだ?

作る飯が美味い。家事を分担できる。目の保養になr…

理由は沢山ある。でも、そんな理由じゃない気がした。


「俺もあの二人に会いたい。あって一発叱ってやんないと気がすまねぇ。俺の部屋荒らしやがって…」


それを聞くと、ももとお父さんは微笑んで


「そうかそうか。ももちゃんが言ってることがわかる気がするよ。」

「は?何言ってんだよ!?似てねぇっつの!」

「拓馬?お父さんに向かってそんな言い方はダメだよ?」

「ももまでそっちかよ!?」


にしても、この感じに意外と悪くないと思っている自分がいた。慣れって怖いものだな。


「よし、それじゃあ2人の所へ行こう。一旦僕と拓馬は支度をしてくるから、ももちゃんも家に帰って準備をするといいよ。」

「へ?準備?なんの準備だよ?」

「えっと…私もう外に出れる格好ですけど?」


そう言われ、お父さんは目を見開き大袈裟に驚いたような顔をして、


「それは失敬失敬。そ、それじゃ俺が準備…」


これが親子なのかな?お父さんの考えていることがすげぇ分かる。


「お父さん…あの人怖いんでしょ。」


そう言われお父さんの肩がビクッとする。


「そ、そんなわけねぇし?別にビビってねぇし?」


なんだコイツ…ビビり丸わかりやんけ。

俺はため息をついてお父さんの様子など気にせず引き出しを漁る。


「ほら、車の鍵。早く行こうぜ?」

「えっ!?ちょっ!拓馬!?」

「俺とももで先に出てるぜ〜!ほら、もも行くぞ。」

「あ、うん。分かった。それじゃお先に行ってますね?」

「あ、ももちゃんは少し残っててくれるか?少し話したいことがあってね。」


なんだ?何の話だ?まさか手を出す…!?

なんてわけないよな。俺じゃあるまいし。

でも、血は繋がってんだよな(察し)


「まぁいいや、先行ってるからな!」


◇◇◇


「それで、お話ってなんですか?」

「あ、その事なんだけどね。ももちゃんって………」


◇◇◇


ももまだかな?

うちの家の前は道路になっているんだが滅多に車が通らない。近くに大きな道があるからな。


ん?車が走ってきた。珍しいな。

そう思いそっちを見ると、その車に乗っていたのは、


実家に帰ったはずの俺の妹だった。

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