第21話 親愛なる父へ。俺、立派な思春期男子になったよ!

カフェに行ったあと、賢治と別れて家に帰ってきたのだが・・・


「あれ、ここ俺の家だよな?なんかフローラルの香りがするぞ?女の子4人ががいるだけでこんなに天国になるのか・・・」


凄い。家からいい香りがする。見た目もメルヘンになってるような・・・?


「ただいま。って、皆リビングにいるのか。さて、料理の具材も買ってきたし炒飯作るか。」


だが、リビングのドアを開けるとそこには誰もいなかった。


「あれ、どこにもいない?みずきの部屋にでも行ってるのか?ま、それじゃあ、炒飯作るか。おっと、その前に台所で手だけ洗わないとな。」


ん、なんで水道からお湯が出るんだ?まさかとは思うけれども。

俺は風呂場の方向へ向かった・・・のはいいのだが、


「ちょっと咲ったらやめてよ!」

「えへへ〜!もも先輩いい体つきしてるんですもん!」

「あれ、みずきちゃんってもしかしてナイスバディ!?」

「ちょっと、やめてって!!」


やっば、ここ楽園かよ・・・尊死を割とガチで体験しそうなんだが!?この状況、ラノベ主人公なんだが!?はぁはぁ・・・暑いからかな?息がきれるな。いや、決して興奮して息がきれるんじゃなくて暑くてきれるんだからな。ここテストに出すから覚えとけよ。

にしても、こういう時ってどうするのが正解なんだ?アニメとかだったら、乱入するかここで女の子が上がってきて「きゃー!拓馬さんのエッチ!」みたいな感じだよな?よし、いっちょやるか?


と思ったが、彼女いない歴が何とは言わないが、そういう系男子の俺はその場でどうこうできるはずもなく、仕方なく炒飯作りに取り掛かった。


「にしても、ももは誰から誘われたんだろ・・・賢治は違うって言うし、俺もブロックされてるらしいし・・・」


こんな独り言を喋りながら炒飯作ってる不審者でごめんなさい。こんなこと言いつつさっきの音声思い出して想像しててごめんなさい!


「えっと・・・私、あんたのことブロックしてないんだけど・・・?」


ん?なんだ?俺なんか不審者の分際のやつに天使が話しかけてくれてる幻聴がする・・・さっきの音声からこういうことまで想像できるようになったのか・・・お父さん、俺成長したよ。立派な思春期男子になったよ!


「ねぇ、如月ったら聞いてるの?ねぇ、ねぇってば!」

「痛っ!!ってももかよ・・・」


なんだももかよ。ただのご褒美じゃねぇかよ。ふざけてんじゃねぇぞ!俺なんかと話したらもも様が穢れるだろうが!


「私、あんたのLINEブロックした覚えないんだけど・・・」

「え、は?だって昨日既読・・・」

「昨日読んだわよ!それで妹ちゃんに連絡したわけ。」

「昨日っていつだよ?俺が見た時は・・・」

「23時くらい?あんた寝てたんじゃないの?」


あ、やべ、寝てたわ。


「その顔・・・やっぱり寝てたんじゃないの・・・」

「お前も俺の顔でなんかわかる系超能力持ちなのかよ。」

「不本意だけど、こんなに一緒にいたら持ちたくないものも持つわよ。」


しれっと持ちたくないって言われてて草。悲しいけど、納得しちゃうのがさらに悲しいよな。


「本当は持ちたかったんじゃないのか?」

「あんたバカなの?小学校からやり直してくれば?」


「ヒューヒュー!!先輩方お熱いですね!!」

「見てて恥ずかしくなっちゃいますよ!」


見られてたのか・・・いいぞもっと誤解しろ。って、1人だけ奥の方でムスッとしてる妹がいるんだが・・・。あれは機嫌直すの面倒くさそうだな。


「ほら、お前ら飯まだだろ?作っておいたからあそこの拗ねてる妹呼んで食べててくれ。」

「拗ねてないもん!」


へいへい分かりやした。んじゃ俺は邪魔だし自室に籠ってゲームでもするか・・・


「あんた、何してるの?せっかく自分で作ったものなのに冷めるわよ?」


あ、これ俺も一緒に食う流れなんですね(歓喜)

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