第40話 仕方ない、イケメンだもの

その日の夜。俺は例のギャル3人組を旅館の横に呼び出した。


「何?暴力とか勘弁なんですけど〜‪w」

「やだ怖ーい‪w」

「こいつの顔、まじウケる‪w」


恐らく、こいつらは俺に暴力を加えられてもいいように何人か他に同じグループのやつを配置しているのだろう。これから起こることを考えるだけで笑いそうだ・・・


「俺は3人だけで来いって言ったが。これでいいのか?3人の方がお前らのためになるぞ?」

「え?3人しかいないし〜‪w」


あれ、その辺の物陰に何人かいるのバレてるんだけどな・・・まぁいいや。


「そろそろか・・・」

「は?何?ブツブツうっさいな。私たち帰るよ?」


そこに俺の強力な助っ人が来てくれた。遅せぇよバカ。


「悪いけど君たちは帰らせないよ。」


そう、この男こそ


「え、あ、安達くん!?」


安達泰成 サッカー部の爽やかエースである。


◇◆◇

「で、こんなとこに呼び出して何の用だい?如月くん。」

「楽しい林間学校中に悪いな。俺なんかに付き合わせちゃって。」

「いや、別に構わないよ。ただ、その相談っていうのは?」

「1班のギャル3人がももを虐めてる件についてだ。」

「えっ!?そ、そうなの!?でもあの3人はそんなこと・・・」


この反応を見るにこいつはシロ。間違いない。


「ならまず・・・」


◇◆◇

「君たち3人はももをいじめていた。そうだね?」

「え?安達くん何言ってんの?」

「如月になにか吹き込まれたの!?」


俺が吹き込むって・・・俺の事なんだと思ってるんだよ。


「じゃあまずこれを聞いて欲しい。」


◇◆◇

「これは・・・?」

「登山途中でももが消えて探しに行った時、林の中であいつらと会ってな。その時の音声だ。(38話途中の会話文参照)」

「これ・・・全部本物なのかい?」

「当たり前だろ。それ以外に、俺がどうやってアイツらと関わるんだ。」

◇◆◇

「そ、そんなの嘘に決まってるじゃん!」

「そ、そうだよ!それに山の中は携帯使用禁止だよ!」

「悪いな。俺の姉妹は色々準備万端なんだよ。」


姉が山でも写真等を撮れるように直談判に行き勝ち取った書類を差し出す。こういうの見ると相変わらずあの二人のブラコンっぷりはすげぇよ。


「で、でもまだそれだけじゃ・・・!」

「ほら、この写真見ろよ。」

「何それ・・・?」

◇◆◇

「それは・・・足跡かい?」

「そうだ。3人組の足跡と、恐らくずり落ちたのであろうももの靴の痕跡だ。」

「これは酷いね・・・」


俺は勝利を確信した。やつがももを好きと聞いた瞬間にほぼ勝利は確定だったが、ここまで来て100%となった。


「なぁ、今日3人を呼んで少し話がしたいんだ。良ければお前も来てくれないか?」

「いいけど、僕なんかが行っていいのかい?」

「コミュ障な俺にお前は欠かせないからな。」

「・・・君はやっぱり面白いね。」


こういう爽やかな笑顔見ると、爆発しねぇかなって思う。リア充非リア充関係なくね(過激派)

◇◆◇

「それで、その足跡とお前らの履いてる靴は完全に一致するわけだ。」

「・・・っ!」

「俺はこのことを大事にするつもりもないし、あとの対処はお前らと仲がいい安達に任せるつもりだ。んじゃな。」


俺はそう言って旅館の方に歩き出す。これ以上面倒なことには巻き込まれたくない。


「ちょっ!如月くん!」


イケメンってなんであたふたしててもイケメンなんだろうな。滅びればいいのに。


「あっそうだ。ひとつ忘れてた。後でちゃんとももに謝っとけよ。」


おれは自分史上最も声を低くして(つもりで)


「このクソ女ども目が。」


あ〜スッキリした。あとはイケメンに任せとけばなんとかなるだろ。強いて言うなら面談はやだな・・・

え?なんで安達に全部任せたかって?


そんなのイケメンだからに決まってるだろ!

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