第11話 下心なんてないんだからねっ!
「はぁ・・・ちょっとやらかしちゃったかな・・・?おにぃ、お姉ちゃんと一緒にいて大丈夫かな・・・?」
少し夕飯に遅れてしまい、お姉ちゃんは結構怒ってそうだった。お姉ちゃん、普段は優しいんだけど、起こると笑顔になるから怖いんだよね・・・
おにぃが何とかしてると嬉しいんだけど・・・でも、ああなったお姉ちゃんを止めるのはほぼ無理だから、私が何とかしないとね・・・。最悪、明日は休日だし明日何とかするのも・・・?
なんて考えてリビングのドアを開けた。しかしそこには・・・
「あお姉!サラダ出来たよ!」
「こっちも盛り付け終わったわよ!」
「よし!じゃあ後はみずきが・・・お!いいところに!」
「ほらほら!温かいうちに食べましょ!」
「えっ…」
ごめん2人とも。私理解が追いつかないや。2、30分前までかなり怒ってたのになんでこんなに普通に戻ってるの・・・っていうか少し機嫌が良くなってる?
「ほらみずき、早く食べよう!俺お腹すいちゃったよ。」
「え、うん。でも、おにぃはシャワー浴びないの?」
「食べたらどうせ暑くなるし、俺はいいって。」
そう言って、盛られた料理に可愛いコップ。このコップは3人ペアルックなのかな?
気づけばお姉ちゃんが怒っていたことなど忘れ、皆でパーティーのように楽しんでいた。
「ふぅー!食った食った!悪いけどシャワー浴びてくるな。皿拭きはやるから。」
「うん、了解。お姉ちゃんも一緒に入っちゃおっか?」
「あお姉は本当にしそうだからやめて。」
「そんな言い方なくない!?」
そうして、兄が風呂に行ったのを横目にお姉ちゃんがこう言った。
「今日はありがとね?」
「え・・・?なんの事?」
「もう!みずきったらとぼけないでよ!」
本気で何を言ってるのか分からなかった。なに、まさか怒りたかったの!?おにぃをサンドバッグにして怒りを鎮めたから機嫌がいいの!?それか、私がお風呂に入ってる間におにぃと何かしたの!?
「ほんとに分からないの?これのことよ。」
そう言って差し出してきたのはさっきのコップ。かなり可愛いデザインで、3人ペアルックになっている。でも、私こんなの知らないよ?何それ?
「今日、買ってきてくれたんでしょ?それで遅れたって私たっくんから聞いたのよ。家族思いの弟を持って私は幸せだよ〜!」
あ、納得した。お姉ちゃんが機嫌を直したのはこれなんだなって全てわかった。まぁ、ここはお兄ちゃんがついてくれた嘘にのっときますか!
「えへへ!いいでしょ〜」
考えてみると、これがこの家に来てはじめてのおにぃからのプレゼントなんだよね!?なんか、
「「大切にしよ・・・」」
完全にシンクロしちゃった・・・なんか恥ずかしいよね。でも、シンクロしたってことは
「もしかしてお姉ちゃんも初プレゼント?」
「うん!いいね〜!」
「あ、」
「ん?みずき、どうかしたの?」
私の初プレゼントはあのペットボトルの炭酸だった。でもお兄ちゃん、昔のこと覚えてたんだよね。
「いや、なんでもないよ!」
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にしても、まさか本当に上手くいくとはね。ショッピングモールで、妹を迎えに行く前、これを見つけて思わず買っちゃったんだよな。これで機嫌を直そうって、むしろ良くなりすぎて不安なんだけど。
すると、
プルルルル・・・
こんな時間に誰だ?まさかももか!?って、なんだよ。賢治かよ。
ガチャ
「もしもし。少し話がある。」
「もしもし?話ってなんだよ?」
「今日、帰り際に言ったろ?」
「なんかあったっけ?」
意味深げな声で賢治はこう言った。
「このままじゃみずきちゃんはだめだ。みずきちゃんについて少し話がある。」
ん?なんのことか分からないけどとりあえずこう言っとこ。
「お前にみずきはやらんぞ。」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ!!」
「俺の姉妹を狙うハンターだな。」
「下心なんて少ししかないからな!」
心の中でツっこむ。
いや、少し下心あるのかよ。
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