概要
ワルシャワにあるユダヤ系の孤児院に、人魚の力を持つ女の子がいました。
イスラエル含む各勢力による軍事攻撃の犠牲者に捧ぐ
＊＊＊
「この子の母親は人魚です」
赤子の頃にワルシャワの孤児院に預けられた女の子モニカ。変わり者で穏やかな彼女は、歌を使って子どもたちに夢を見せるという、不思議な力を持っていた。
子どもたちは元気に暮らしていたが、やがて戦禍が街を襲う時がやってくる。小さなモニカにできることとは──？
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!優しさが悲しさに耐えきれなくなる瞬間に捧げる歌
ナチスの支配下にあるユダヤの孤児院で暮らす、人魚の血を引いた少女の物語。
こう書くとファンタジックな設定ですが、作者の確かな知識の元、描かれるリアルな歴史的背景の上でそのファンタジーが美しく、そして悲しく描き出されます。
第二次世界大戦の情勢下、ユダヤ人である主人公やその仲間たちの置かれる状況は次第に悪くなっていきます。
しかし、そんな中にあっても主人公の少女は希望を失わず、歌い続け、子供たちに希望を与え続ける。
柔らかで優しい文章がその姿を紡いでいきますが、戦争と虐殺の惨状にその柔らかさが耐えきれなくなるかのように、悲劇が溢れ出る瞬間が印象的な作品でした。
しかし、この作品はただ…続きを読む