補足


【キャラクター紹介】


モニカ・ブルシュティン(Monika Bursztyn):1927年4月〜1942年8月6日。人魚との混血児。小さくて大人しい女の子。


サラ・クラヴィッツ(Sarah Kravitz):1927年〜1942年8月6日。モニカの親友。ずば抜けて頭が良い。


シモン・ランダウ(Szymon Landau):1928年〜1942年5月。やんちゃで力持ちの男の子。


カヤ(Kaja):1???年〜。ヴィスワ川に棲む、特別な力を持った人魚。モニカの母親。


【キャラクターのモデルとなった歴史上の人物】


ヤヌシュ・コルチャック(Janusz Korczak):1878年〜1942年8月6日。医者、軍人、教育者、作家。「子どもの権利条約の精神的な父」と呼ばれている。


ステファニア・ヴィルチンスカ(Stefania Wilczyńska):1886年〜1942年8月6日。ドム・シェロトの指導員を務めた。


ピョートル・ザレフスキ(Piotr Zalewski):18??年〜1944年。ゲットー移転前までのドム・シェロトの管理人を務めた。1944年、ワルシャワ蜂起の頃に射殺される。


アダム・チェルニアクフ(Adam Czerniaków):1880年〜1942年7月23日。ユダヤ人評議会議長を務めた。


イゴール・ネヴェルリィ(Igor Newerly):1903年〜1987年。教育者、著述家、共産主義者。コルチャックの作った雑誌『小評論』の編集長を務めた。1943年に収容所へ送られるも生き延びる。


イヴァン・マルチェンコ(Ivan Marchenko):1911年〜1943年8月。別名「恐怖のイヴァン」。トレブリンカ絶滅収容所の担当者。拷問が趣味。収容所での蜂起の際に殺される。


【舞台のモデルとなった実在した施設】


ドム・シェロト(Dom Sierot):コルチャック先生が作ったユダヤ系孤児のための孤児院。革新的なシステムで、子どもによる自治が行われていた。


ナシュ・ドム(Nasch Dom):同様の、カトリック系孤児のための孤児院。


小さなバラ:ドム・シェロトやナシュ・ドムの子どもたちが実際に使用していた別荘。


ワルシャワ・ゲットー:1940年に設置された。解体直前の1943年4月19日にワルシャワ・ゲットー蜂起が起きるも、鎮圧され、その後完全に解体される。住人のほとんどはトレブリンカ絶滅収容所にて殺害された。


トレブリンカ絶滅収容所:1942年7月に稼働開始。ワルシャワからほど近い場所に位置する。主にワルシャワ・ゲットーからの移送者を殺した。一酸化炭素によるガス殺と、銃殺および生き埋めを行なった。遺体は土に埋められたが、後に掘り起こされて焼却される。解体直前の1943年8月2日に、ゾンダーコマンドによる蜂起が起きるが、逃げられた者は僅かだった。解体時は証拠隠滅のため爆破された。



【出来事のモデルとなった歴史上の事件】


ホロコースト(Holocaust):主にナチスによるユダヤ人大量虐殺を指す。600万人以上が殺されたとされる。ショア(Shoah)とも呼ばれる。


年表

1933 ドイツでナチ党のヒトラーが政権掌握、ベルリンで国会議事堂放火事件、ヒトラーに全権委任、「ユダヤ的」な本の焚書

1935 ドイツでニュルンベルク人種法公布

1936 ベルリン・オリンピック

1937 ゲルニカ爆撃、オーストリア併合、ズデーテン併合、ドイツからのポーランド系ユダヤ人の追放、「水晶の夜」、ユダヤ人を経済生活から排除

1939 「ユダヤ人絶滅」示唆、チェコスロヴァキア解体、独ソ不可侵条約、ポーランド侵攻、ワルシャワ空襲、ポーランドでユダヤ人の腕章着用義務化、ポーランドでユダヤ人の資産没収

1940 アウシュヴィッツ収容所開設指令、対英戦膠着、日独伊三国同盟、ワルシャワ・ゲットー設置

1941 独ソ戦開始、行動隊によるユダヤ人射殺開始、レニングラード包囲、ユダヤ人ガス殺開始、太平洋戦争開始、ドイツ軍モスクワから撤退

1942 ヴァンゼー会議(ユダヤ人絶滅政策の決定)、アウシュヴィッツ絶滅収容所でのガス殺開始、トレブリンカ絶滅収容所開設、ワルシャワ・ゲットーからのトレブリンカ絶滅収容所への移送開始、チェルニアクフ自殺、コルチャック殺害



【参考文献】


 ヴァンゼー会議記念館/山根徹也・清水雅大『資料を見て考えるホロコーストの歴史』2015年

 木村靖二・柴宜弘・長沼秀世『世界の歴史26 世界大戦と現代文化の開幕』中公文庫、2009年

 近藤二郎『コルチャック先生』朝日文庫、1995年

 近藤康子『コルチャック先生』岩波ジュニア新書、1995年

 タミ・シェム=トヴ/樋口範子『ぼくたちに翼があったころ』東京福音館書店、2015年

 ヴィクトール・E・フランクル/霜山徳爾『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録』みすず書房、1985年

 山本秀行『世界史リブレット49 ナチズムの時代』山川出版社、2013年

 油井大三郎・古田元夫『世界の歴史28 第二次世界大戦から米ソ対立へ』中公文庫、2010年

 エマヌエル・リンゲンブルム/大島かおり・入谷敏男『ワルシャワ・ゲットー 捕囚1940-42のノート』みすず書房、2006年



 Janusz Korczak / Betty Jean Lifton, “Ghetto Diary”, http://arvindguptatoys.com/arvindgupta/ghettodiary.pdf

 Albert Martin, “A Light in the Darkness: Janusz Korczak, His Orphans, and the Holocaust”, Random Hause Children Books, 2019

 Rabindranath Tagore, “The Post Office”, Prabhat Books, 2008

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孤児院の人魚は歌う 白里りこ @Tomaten

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