超絶ハイパー三国志-第一編-

針井伽羅藩

第1章 デコポンの園の誓い

第1話 デコポンの園の誓い

168年、後漢の時代。

12代霊帝(れいてい)が即位した。彼は先の帝である桓帝(かんてい)に跡継ぎが居なかったため、桓帝の皇后らによって擁立された皇帝だった。


しかし皇帝になった霊帝は、この時には自身にも国庫にもほとんど金がなかった。No money、ある真似、猿真似、見よう見真似状態であった。金が権威を呼び権力となるのは、不正が横行する時代だ。先立つ物が無ければ、二十世紀梨、いや用無し(洋梨)である。


お金がない皇帝なんて所詮は、張子の虎のようなものだった。困り果てた霊帝は、必死に手元のお金を増やすためにどうすればいいのかと色々な財テク方法を考えた。そのうちの1つが、官位をお金で売買させることを認めたことだった。


つまり、お金を積むだけで爵位が買えるわけだ。高位高官が、銭を払えば買えるという非常にわかりやす言う方法を取った。実力は2の次、3の次になってしまい、その官位を得るための能力や実績は全く関係おかきになってしまった。高位高官が欲しければ、金を積むしかない。この霊帝のアイデアは見事にハマった。


薄汚い連中が、高い官位が競って高額な値段で買ってくれるようになり、国庫にお金が貯まるようになった。しかし、このようなやり方には当然ながら弊害が沢山あった。官位が売買されることによって徳の無い、知識も無い、教養も無い、あるのは欲と金だけという人間が上に人心が乱れてくる。


皇帝の近くに居る者に対しても賄賂を贈り、官位を手に入れようとすることが当然のようになってしまい、結果的に賄賂によってでしか政治が動かなくなって行くのだった。

そして高い官位を購入するために、役人たちはお金を集めるため庶民に重税を課し苦しめていった。


そんな時に一人の男が、中華に登場した。張角(ちょうかく)だった。この男がトップとなり、頭に黄巾と呼ばれる黄色い頭巾を巻き、それらを同じように模した人たちが184年に反乱を起こしたのだ。この反乱を黄巾の乱と呼ばれるのだが、制圧されてしまう。しかしこの反乱をきっかけに後漢王朝の衰退を招いてしまうのである。


その時代、中国のとある田舎の中の田舎。いやいや思っている以上に田舎。3人の若者がデコポン園の中を進んでいた。デコポンの白い花が咲き乱れる柑橘系の匂いがしていた。誰かが、4711ポーチューガルコロンを浴びるように付けたのではない。デコポンの園の匂いなのだ。そして三兄弟は、中国式に前に手を組み拱手をしながら誓った。

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