第22話 金貨50000枚
「鹿子草を濾した物だ。これの薬は、恐ろしいぼどよく効く。飲み物に溶かして飲ませてしまえば、最低でも72時間はトイレにも行かず目を覚ます事はあるまい」
そう言って、紙に包まれている白い粉薬を見せた。
逆に払う金額を渋って斎勲健にヘソを曲げられては困る。
「わかった。50000枚だな。何とかしよう」
そう答えると、斎勲健は不気味な笑い声を上げた。「これでもまだ金貨50000枚はバーゲンセールだ。いいか、間違えてもらっては困る。蠱毒という呪術がどれほど凄いか。またそれを使える者は、この世ではワシ以外にはいない。ワシが死ねば絶えてしまう呪術なのだ」
「そんな凄い呪術に比べたなら確かに安いものかもしれないが、金貨50000枚を用意するのは直ぐには無理だ」
「いいだろう。その蠱毒の術をかける男と連れて来い。その時までには、50000枚の金貨を用意しておけ。そして後1つ、おまえにとっておきの物をやろう」
「なんだ、それは?」
「蠱毒の術をかけられた者は、2日間は不調に喘ぐだろう。その時に笑い玉を男に飲ませたらいい。その恍惚感からおまえの虜になり絶対的に服従するようになるはずだ。これはワシからのサービスだ」
董卓は、術をかけた後の事まで斎勲健が考えてくれている事に感心した。
斎勲健が、手招きして程義宗を呼んだ。
「これからは呪術をかける準備で洞窟の中に籠る」
そう言って斎勲健は、鹿子玉を一袋渡すと洞窟の闇の中に消えるようにいなくなった。後ろ姿を見送った後、程義宗がホッとして息を吐き出した。
「現在、最高の呪術使いだから緊張しますね」
そう言って戻って来ると、董卓に薬を渡した。
「洛陽に戻って、呂布にこの薬を飲ませるとしよう」
呂布を凋落すれば、丁原を排除する事が出来、自分の立場が有利になる。丁原を始末すればか、彼の兵士が行き場を無くし雇い入れる事が出来れば兵力が増す。まさに一石二鳥のやり方だった。我が軍に、呂布たちが来れば軍事的にも有利になるだろう。そしてこの気に乗じて洛陽で実権を握ってやる。あとは、楽しい出来事しか思い浮かばなかった。
程義宗たちと一緒にもと来た道を歩いて戻っていった。山道を抜ける頃には疲労困憊し足元さえ覚束なかった。馬を留めていた場所まで出ると、少し休んでから戻る事にした。
さあこれから長い距離をかけて洛陽まで戻らなくてはならない。行って戻っての繰り返しが憂鬱に思えて来た。しかし、それは必要な事なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます