第46話 The Battle of Ryofu (呂布の戦い)

「あの裏切り者の子か?よくも平気で董卓を(養)父と名乗れたものだ。それにしても俺もずいぶんなめられたもんだ。たった1人で、この俺様の部隊に歯向かうとは正気なのか?」

孫堅が、そう言って笑うと周りの部下たちも嘲り笑い出した。


呂布が、道路の左右の隙間からすり抜けないように方天画戟をぐるぐると頭の上で振り回し近づいた。孫堅が、呂布の圧に負け手綱を引っ張り馬の身体を数歩退却させる。


「うおっ!」

孫堅の兵士が1人、馬に跨ったまま槍を突き立て呂布に向かって来た。それをすぐさま方天画戟で振り払うと、兵士の胴に串刺しにした。鎧を突き抜け、その場で血を吐き絶命し落馬した。方天画戟を引き抜き、孫堅に向かって馬を走らせ、真っ直ぐ突き刺した。

孫堅が、手綱で馬の頭を左右に振りながら退く。

「裏切り者の息子よ。おまえを晒し首にしてみせよう!かかれ!」

孫堅の部下たちが一斉に襲って来た。方天画戟で1人を左右に切りつけ、返す刀で2人を切り捨てた。


「怯むな!」

そう孫堅はいくら叫んでも、まるでススキ穂を刈るように簡単に兵士が切られ続け道端に転がった。

呂布が吠えた。

「退け!犬死したいか?」

方天画戟で兵士を縦から真っ二つに切り裂いたその瞬間、矢が呂布の左側の身体に突き刺さった。更にその下にもう一本突き刺さった。赤兎馬から呂布が崩れるように墜落した。矢先には毒が塗ってあるので、呂布はひとたまりもないだろう。

呂布は、方天画戟に体重を預けながら起き上がろうとして、孫堅の兵士が呂布に駆け寄り槍を突き立てた。呂布は、地面に立てた方天画戟を盾にして、身体を振りながら槍をかわした。そして左側から来た槍には、ワザと矢が刺さった身体を向けた。そして槍を身体に受けた。そして槍を突き刺された側の腕で巻き込むようにして槍先を掴むと、驚いて目を見開いた兵士と目が合った。


「助かった。これで矢を身体から出せる」

そう言った瞬間、呂布は血を吐いた。槍が削った傷口から矢が2本落ちた。槍を突き立てていた兵士が腰が抜け両手を離した。すると、掴んでいた槍をまるでバトントアリングをするかのように扱うと、腰を抜かした兵士に向かって投げつけた。兵士の胴に突き刺ささると、兵士は白目を剥いて絶命した。


呂布は、身体の傷が癒着していくのがわかった。まさに不死身の身体を手に入れたのだ。槍を身体で受けた事で、矢ジリの先に付いた毒が身体を蝕んでいたが、肉ごと身体から削げ落ちたため、身体の再生が早くなったのを感じた。

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