第47話 董卓の時代の幕開け

呂布は、方天画戟を突き立てながら孫堅に言った。

「まだやる気か?」 

「う、う、嘘だろう?お、おまえは、不死身か?」

孫堅が目を向いて言った。呂布が、ジリジリと前に出る。

「さあ、兵を退け!皆殺しにされたいか!死にたければかかって来い!」

槍を持って孫堅を守るように取り囲んでいる兵士の1人が狂ったように叫んだ。

「そ、孫堅様!どうやったら、倒せるんですか?」

孫堅は、恐怖心で言葉が出なくなっていた。


その時だった。背後から兵士が「伝令です、伝令です」と近付いてくるのが聞こえた。

「誰からの伝令だ?」

孫堅が振り向くと、兵士が言った。

「袁紹様からです」

竹簡を手に取り、墨で書かれた内容を読むと、洛陽からの72時間以内に撤退せよとの袁紹からの命令だった。

「よし退却だ!」

呂布への恐怖心もあったのかもしれない。孫堅は、すぐさま兵を引き上げることなった。一斉に兵が元来た道を戻って行った。


それを見た呂布は、自分に畏れをなしたのかと勘違いした。

「ははは、あれを見よ。この俺を見て畏れをなして逃げていきよったわ」

隣りにいた高順に言った。

「それにしても、いくらなんでも全軍が引き上げるでしょうか?」

高順の疑念にムッとなった。

「孝父(高順の字)よ。では何故逃げたのだ?」

「それはわかりません。何らかの軍令が出たのは確かなようですよ」

他の兵士から、報告があった。

「董卓様がお呼びです」

呂布は、董卓の元へ赤兎馬に跨がり走った。兵士の中を抜け董卓に会いに行った。


董卓が、劉弁(少帝)を自分の前に座らせて馬に乗せて近づいて来た。

「奉先(呂布の字)、敵はどうした?」

「私に畏れをなして逃げて行った様子です」

董卓が、少し首を傾けた。本当にそうだろうかと思った。身体を再生させたのか、服は破れ腹回りは血で染まっていた。


「これで無双となりました。これも(養)父が、新しい能力を私には与えてくださったおかげです」

「そうか。劉弁(少帝)も、陳留王(劉協)も両者手に入れる事が出来たぞ。これでワシは洛陽の実力者になれる。十常侍の趙忠と郭勝も許してやろう。あの2人のおかげで2人を守ってくれたおかげもあるからな」

「そ、そ、そう、、、ですね」

そう言うと、身体を痙攣させて赤兎馬から落馬した。

「身体を再生させたので、身体にギャップが起こったか!」

董卓は慌てて馬を降り、笑い玉を取り出し呂布の口の中に放り込んだ。竹に入った水を飲ませる。痙攣が収まった。

「さあ、これからが本番だ」

董卓はそう言うと、大声を出して笑い出した。 

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