第3話

修学旅行当日。


この前陽と買い物に行って新しく買った靴を初めて履き家を出た。靴が新しくなるとなにか変わるかなと思っていたが何も感じなかった。


俺は学校につき、新幹線になるまでのバスに乗りこんだ。そうして10分ぐらいしていると




「おはよう!神楽」


元気に話しかけてくる陽が入ってきた。


「おは陽」


「あれ、なんかイントネーションおかしくね?もしかしてそれ、ダジャレのつもりだったのか?」


「そうだけど?」


「サムい!めっちゃ寒い!」




こんな暑い日なのだ。それぐらい寒い方がおすすめであろう。そんなこんなで俺の隣に陽が座る。すぐ後ろから


「…おはよう、陽、荒木くん」


「おはよう、海咲!」


「おはよう、雨宮さん」




今俺達にはあいさつしてきてくれた女子生徒は雨宮 海咲という。


この何気ない会話からも想像がつくかもしれないが雨宮さんは陽の彼女なのだ。




時々忘れそうになるけれど、陽はクラスでもかなりのイケメンでサッカー部でもスタメンに選ばれるほど上手く、明るい性格なので結構モテているのだ。




そんな陽と付き合っている雨宮さんはクールな印象が強く、黒髪を背中あたりまで伸ばし、整った顔をしている。明らかに美人であると言える。




「…陽、朝から少しうるさい。」


「そんなこと言って〜。実は俺に会えて嬉しんだろ?昨日も遊んだ時、喜んでたもんな?」


そういうと陽は雨宮さんに脛を蹴られていた。雨宮さんは気が済んだのか自分の座席に頬を赤くしながら向かった。




「相変わらず馬鹿だな。なんであえて怒らすようなことを。」


「お前は何も分かってないんだよ。あーやって普段はクールな感じでいるんだが、デレるとめっちゃ可愛いんだぜ!さっきのあれも一種のデレだ。それに比べたらこんな痛みへっちゃらだぜ!」




俺はこんな惚気を聞いてもよく分からないが、陽が惚気けて俺に話しかけてくるのはウザイ。いつかこいつがM体質に目覚めてしまわないかとても将来が心配だ。しかも陽は気づいてないんだろうが、周りからの男子の目が痛い。中には殺気を感じるものがあるぞ。非リアの恨みがすごい。




実は前にもこんなことがあった。


教室で俺が聞いてもいないのに雨宮さんの魅力を語っていた時に


「海咲はな〜所謂クーデレなんだよ!クーデレ!それがめっちゃデレたときがかわいてさ〜…」


なんてことを背後にいる雨宮さんに気づかず口走り、


「…ちょっとこっちに来なさい、陽」


「…は…はぃ。」


と怒っていた。おれは、この時有無を言わさぬ雨宮さんの姿を見て絶対に逆らっては行けないリストに雨宮さんを加えた。でも、陽は少し嬉しそうだった。ほんとにMに目覚めていないのか疑うってしまう。




そんなことを今の光景を見て思い出していると最後の生徒がやってきた。それを見た俺は顔を歪めてしまった。




「すみませーん、少し遅れてしまいました〜☆」


「ちょっと用意に手間がかかってしまって〜」


「わかったから早く乗れ。お前たちがこのバスでは最後だ。」


「「「「は〜い♪」」」」


そう言ってバスに乗ってきたのは北風真美たちのグループだ。


その中で1番に乗ってきたのは木村歩香だ。


特徴としては金髪を伸ばして、化粧をしていて北風と同じぐらいに身長が高く、少しつり目に見えるが北風に負けないぐらい顔が整っている明るい性格の女子生徒。




2番目に乗ってきたのは小林茜である。髪が赤色ってぽくボブカットにしていて、身長が低いのでクラスでは「可愛くて庇護欲をそそられる」という理由で人気があるらしい。らしい、というのは俺はあまりそうは思わないし、聞いたのも陽からだからだ。




3番目に乗ってきたのは中村恵。


小林さんと同じぐらいの身長で銀色の髪を肩ぐらいで切りそろえて少しタレ目に見えるおっとりとした性格の女子生徒だ。




そして、最後に入ってきたのは北風真美。


説明不要の外見美人である。性格は黒いと思うが、いや違いない。体育であった時より身長が伸びているように思う。




あの体育の時間を思い出したら寒気がしてきた。




そうして4人組がおしゃべりしながら4人で並んで座ったのを確認すると先生がに点呼をして人数の確認が取れたので出発した。




はぁ、それにしても最悪だ。4人がこの修学旅行で同じバスでないことを願っていたが本当に来た。




ついてない、ついてなさすぎる。むしろここまでの運の悪さを感じると俺に悪霊が憑いてることを疑ってしまうレベルである。


そんなこと思っていると、




「お前、なんでそんなに北風さん達のグループが嫌いなんだよ?」


そんなに顔に出ていたのだろうか?俺の心を読んだような質問だ。


「毎回言ってるだろ?俺があのグループを嫌いな理由。」


「そりゃ、知ってるよ。けどさぁ、態度があまりにも露骨だし、それにその理由だと木村さん達を嫌う理由にならなくないか?」




全くもってその通りである。正論だ。


「そうだな。だが、木村さん達は北風とかかわっているんだから性格は似ていると思うぞ。ほら、よく言うだろ?「類は友を呼ぶ」って。あれと同じだ。それに木村さん達は極力関わりたくないとしか思っていないが、北風は全力で関わるのを断りたいレベルだ。」




「お、おぅ。そうか。聞いた俺が悪かったな。うん。でも、本当にもったいないと思うぜ?あんなに可愛い子達がいるのに嫌うなんて。恋人が欲しくないわけじゃないんだろ?」




「確かに恋人は欲しいと思うさ。でもな、誰でもいいわけじゃないんだよ。確かに北風は美人だと思う。それは認める。だがな、性格がきにくわないんだよ。」




そういうと陽は「そうかー、別にいいけどな」と言って寝てしまった。北風たちがここまで聞こえるぐら話しているのによく寝れるな、と感心していたら目的の駅まで着いた。






京都まであと少しだ。


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