第15話Side北風真美

今は修学旅行が終わり、バスで学校に戻って来たところだ。


「お願い、雨宮さん。川野くんと会わせてくれないかな?」


「…」


私は何故こんなことをしているのかと言うと、時は修学旅行5日目の朝に戻る。




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朝、7時に起きて今はラジオ体操を行っている。昨日は疲れたのであのまま寝てしまった。あの後歩香達にとても心配されてしまった。何があったの?と聞かれたが




「ごめんね〜。あのショー見てたらさぁ、隣に人が割り込んできてさぁはぐれちゃったみたい。」




という言い訳を笑顔で言って切り抜けた。




昨日から森本くんにも会っていない。この修学旅行中にもう会うことはないと思う。




そして、5日目の観光が終わり、バスに乗り込んだ。その時に荒木くんの姿を見つけた。隣は…川野くんだったと思う。




私は荒木くんにお礼をしたかった。それに話をして「あそこで泣いてた理由」を聞かなかったのはどうしてなのか聞きたい。




とりあえず荒木くんの学校での人間関係を知るために、6組で去年同じクラスで仲の良かった女子にRINEで聞いた。




「6組のさぁ、荒木くんって知ってる?知ってたら荒木くんと仲のいい人教えてよ♪」




「あぁ〜、一応ね。でも、荒木くんの友達っていうか仲のいい人は川野くんしか知らないよ。荒木くんが川野くん以外と喋ってるの見たことないし。」




彼はぼっちのようだ。どうしようか…。川野くんは知っているだけで、あまり親しくない。そんな人に頼むなんて。




それに荒木くんと唯一親しいってことは荒木くんが私のことを嫌ってるっていうのも知っているのだろう。なら、RINEより直接の方が手伝ってくれそうだ。




そこで川野くんについて思い出した。確か、川野くんはサッカー部で、スタメンで…そうだ!雨宮さんと付き合っているって噂になっていた人だ!




雨宮さんは同じクラスだけど、寡黙でクールな印象だ。あまり親しくはないけど、仕方ない!




ということで冒頭に戻る。




「お願い、雨宮さん。川野くんと会わせてくれないかな?」


「…理由は?」




まぁ、当然だね。急に「あなたの彼氏にあわせてください!」なんて言われたら訳が分からないだろう。




「えーっと、私は荒木くんに用があってね、荒木くんに会いたいんだけどー、荒木くんって川野くんとしか仲が良くないみたいでさ、川野くんに私と荒木くんが会う約束を取り付けて貰えなかなー?と思ってね。」




結構失礼な理由だと思う。彼氏を利用させてくれっという言い方にも捉えれるしね。ちょっと考えたあと雨宮さんが




「…明日ならいい。でも、私も行く。陽には何もしないで。それが条件。」




「ありがとう!全然OKだよ!」




そう言って私たちは別れた。






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次の日の夜に指定されたファミレスに向かった。なんでも2人で一緒に晩御飯を食べるつもりだったらしい。話が終わったらすぐにお暇するつもりだ。




川野くんはファミレスに着いた時に私がいることを確認して「うぉっ!?なんでここに北風さんがいるの?!あれ?海咲!どういう事よ!?」と驚いていた。そんなことを気にせず雨宮さんはファミレスに入っていった。




そして、私は川野くんに荒木くんに助けられたからお礼がしたいっと伝えた。




「ふぅ〜む。お礼ね〜。あいつのことだからそんなもん求めてないと思うぞ?」




「それでも、やっぱり何かお礼はしたくて。それに貸しを作るみたいで嫌だし。」




「…陽、何にする?」


「ハンバーグセットとドリアで頼む。何か渡すものがあるんなら俺から渡しとくぜ?」




「あっ、でも、ちょっと聞きたいこととかもあって…」




「う〜ん。あんまり神楽は誰かと話すの好んでないと思うけどな〜。それに、こんな言い方したら悪いけど、神楽のやつ北風さんのこと…あんまり…なぁ」




やっぱり彼は私のことを嫌っていたか…。何となくわかっていたがショックだ。




「それでもお願いできないかなぁ。」




これで無理だったら諦めようと思った。けど、




「…陽、北風さんのおねがい聞いてあげて?」




意外な雨宮さんからの助言があった。


「珍しいな、海咲がそんなことを言うなんて」




「…何となく、分かる。今の北風さんの気持ち。だから…」




「わかった。何とかするよ。北風さん、明後日の1時集合のアオンホールでいいか?」




「ありがとう!うん!そこで全然OKだよ!」




「…ありがとう、陽」




「別に恩を感じる必要はねぇよ。あ、でも俺いつも神楽と会う時30分ぐらい遅れてるから、神楽もそれぐらい遅いかもしれねぇ。」




それは…ちょっと遅刻しすぎじゃない?とも思ったが、ここは何も言わないことにした。




「…陽、酷い」


なんて言う言葉も聞こえたがスルーして「ありがとう!」とだけいい、ファミレスを出た。




そこからは色々なことをした。まず彼が私の何に苦手意識を抱いているのか分からないので、ゆるふわのカーブを描いた髪をストレートにして、清楚系の服を買った。




できるだけ清楚な感じに見えるようにした。見た目のイメージを変えたら、彼からの印象もマシになるかな?と思ったからだ。




そうして、準備を終え、彼と会う日がやってきた。




[後書き]

今日順位を見て驚きました!皆さんの日々の応援のおかげです!これからも皆さんに楽しんでいただけるような作品を作りたいと思います!




「クラス転移で裏切られた「無」職の俺はこの世界を変える」もよろしくお願いします!!毎日更新しておりますので。


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