第14話
対面を向いて座り、俺と、北風は同じミルクティーを頼んだ。
「それで?俺に話があるんだろう?」
そう促して、話を進めることにする。
「うん、まず騙されたとはいえ、そのまま帰らずここまで来てくれてありがとう…」
「さすがにあのまま帰るほど肝は座っていないからな。」
「ふふっ。…あと、あの時、助けてくれて本当にありがとう…助かった…」
礼とかできるんだな…と失礼なことを思ってしまったが、口に出さず本当に感謝しているっと言うことが伝わったので、そのまま受けることにした。
「…どーいたしまして。だが、気にする必要は無いからな…。本当にただお節介を焼いただけだし。」
そうしていると、机にミルクティーが来た。上手い…とても満足のいく味だ。
「それに俺になんか聞きたいことでもあるんだろう?」
同じくミルクティーを飲んでいた北風は、少し驚いていた。
「なんでわかるの?」
「ただ、何となく…雰囲気とかで…」
「…そう」
そうしてもう一度ミルクティーを飲み、口を開いた。
「あの時のこと覚えてる?」
あの時がどの時を指すのか分からないが、あの時の会話ならだいたい覚えている。
「あぁ、だいたいはな。」
「そっかァ。覚えててくれたか…。それじゃあさ、質問タイムしてた時、荒木くんが私に尋ねて終わったのよね。だから私が荒木くんに尋ねる番」
さすがに3日で忘れない。
そう言えば、北風の名前の漢字を知って終わったっけ?
「そうだな。何聞いてもいいぞ。」
「それじゃあ、遠慮なく」
そうして間を置いて聞いた。
「なんで、あの時私を助けてくれたの?」
…何となくそうなんじゃないのかとは思っていた。だからおれは、あの時のことを真剣に思い出し、真面目に答えるつもりでいた。
「わかった。だが、その前に聞いても面白い話じゃないし、きっと聞いて北風は後悔すると思う。それでもいいんだな?」
「いい。だから教えて?」
「わかった。後悔するなよ?」
「うん。」
そしておれは、語り始めた。
「あの時、影で泣いている北風を見て、めんどくさい現場に出会ったっと思った。俺の運の無さを呪った。陽にもあったんたら何となくわかっていると思うが、俺は北風が苦手だ。だから、バレないうちにコソッと逃げようとした。でもお前が泣きながら、〔助けて〕って呼んでる声が聞こえた。今思い出してもなんでは分からないが「助けなきゃ」って思った。だから、俺は北風に声をかけた。それが理由だな。」
今考えてもよく分からないな…不思議だ。時間が経てばわかると思ったが…
「そっ…かぁ…。ありがとう。教えてくれて、ついでに質問に答えてもらっていい?」
最初はよく分からない複雑な顔だったが、すぐに元に戻った。まぁ、面と向かって「あなたのこと嫌いです」って言ったようなもんだからな。
「なんでもいいよ。」
「ありがとう。それじゃあ、なんで泣いてた理由、聞かないの?」
「聞きたくなかったから。それに聞いてほしそうな顔をしてないから。あの時も今も…。興味がないって言えば嘘になるけど、それで辛そうな顔をして語られるぐらいなら聞かない方がいいだろ。」
「やっぱりやさしいね、荒木くんは。」
「買いかぶりだ。むしろただ、ビビって理由も聞けなかった臆病者さ。」
「そんなことない。やっぱり優しいよ…」
あまりに小さすぎて音が拾えなかった。
「なんか言った?」
「うぅん、何も言ってない。」
そうか…?まぁ、彼女がそういうのならそうなんだろう。
そこからは色々な話をした。
つばさくんのことや、陽達のこと、学校でのこと。そうしていると、時刻が5時になっていたので、帰ることにした。
聞くと、北風は電車で一駅分乗ったところに家があるらしい。俺は、北風を駅まで送ることになった。(強制)
もう少しで駅に着くっと言うところで北風が
「本当にありがとう。これはお礼。」
と言って渡してきたのは、八つ橋だった。正直に言ってすごくありがたかった。お土産で渡してしまい、俺はもう食べれないと思っていたからだ。
「ふふっ♪喜んでくれてよかった。」
エスパーだろうか?考えてることが読まれた。そんなに顔に出てたかな。そうなことをしていると、駅前に着いた。
「ここまででいいよ。送ってくれてありがとう。今日は本当に楽しかった。」
「俺も…楽しかったよ」
嘘偽りない本当の気持ちだ。今日話していてとても楽しかった。
「…そっか。それなら良かった。」
「…」
「ねぇ!いつかさぁ、私を助けた理由が分かったら教えてよ!」
「…わかった。その時が来たら教えるよ」
「約束ね?」
「あぁ」
それだけ言うと俺は北風に背を向けて帰路に着いた。
後書き
更新が遅れてすみません。
実は先日作者のスマホが水没致しました。耐水性もない古いもので、新たなスマホが届くまで更新できませんでした。感想の返事遅れて申し訳ございません。
全ての話を大幅改稿致しましたので、プロローグからまたご覧頂けたら幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます