第32話

「あっ!ねぇねぇそこに公園あるんだけどさ!よっていかない?」


「何でだよ?」


あと少しで北風の家の近くらしいのだから、行ってしまいたい。そして早く帰りたい。それに北風の提案はめんどくさい予感がする。すごくする。


「そこでさ!踊ろうよ!2人で!後夜祭参加できなかったの私の所為でしょ?だから、その代わりに!どう?」


ほらな。めんどくさい。そもそも俺は後夜祭なんて参加するつもり無かったからな??


「別にいいよ。後夜祭に参加してもコソッと抜けるつもりだったし。」


「つべこべ言わない!なんか私だけ舞い上がってるようじゃん!ほら、行くよ!」


舞い上がってるんだよ。はぁ、反論したいけどこの場合そんなことしても無駄だ。どうせ理由をつけて無理矢理でも踊らそうとするだろう。


「めんどくさい」


「なに?緊張してんの??相手が私だから??それってどうて…」


「今すぐ公園に向かうぞ。俺が踊れることを証明してやる。」


こいつ喧嘩売ったな?おれが北風相手に緊張なんかする訳ないだろ!絶対に最後の言葉は言わせない!俺の心が傷付くから。


童貞だけどさ…。


俺たちは急いで公園に向かった。


「荒木くん、踊るの下手なんだね。」


「うるさい。踊ったことなんて1回もないんだよ。」


それに、一緒に踊ってる相手があの北風だぞ?さっきはあんなこと思ったが、すっげぇ緊張する。


「ねぇ、あのさ」


踊りながら北風は俺に聞いてくる。


「な…なんだ?」


正直踊ることに手がいっぱいなんだけど。頭が上手く回らない。


「今も…私の事…嫌い?」


「…フツーだな。嫌いではない。」


俺が北風を嫌っていたのは「自分」を見せないから。だけど今の北風は前より自然に笑えてる。だからイラついたりすることも無い。よってフツーだ。


「そっか、そっか♪それじゃあ、これからも頑張るよ!」


なにを?ってめっちゃ聞きたいけど触らぬ神に祟りなし。頑張ってるようなら応援するだけだな。


「頑張れ、応援してる」


「ありがとう♪それとその髪似合ってるよ!ずっとその髪にしなよ!」


俺の知り合い全員俺の髪は今の方がいいって言うな。でも、前の方が落ち着くし、何よりセットする時間がもったいない。


「暇な時にするよ。」


「また見るのを楽しみにしてるよ!」


二度としないかもしれないけどな。そんなこと言ったら機嫌が悪くなりそうだから言わないけど。


10分ぐらいしたら踊るのをやめた。満足したのだろうな。


「ここまででいいよ。」


公園を出ると北風がそんなことを言い出した。なら送るのはここまででいいだろう。


「そうか。じゃあな。」


「あっ待って!」


まだあるのかよ。そういうと北風は近づいてきて俺の耳元で囁いた。


「私、処女だよ?」


「っ!!?は!?」


それだけ言うと「じゃあね〜」ってすごく楽しそうにしながら本当に帰っていった。いや、まじで何言ってんだ!?訳分からん!


もう北風は俺の視界にはいなかった。


「男遊びはやめろって言っただろうが…」


熱いな…。踊りすぎたか。


ふと空を見上げる。


さっきと変わらず満月とたくさん星が瞬く。でも、さっきより


「綺麗だな…」


自然とそう思えた。








後書き

今日中にもう1話更新予定です。


少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをください!


感想もお待ちしております。


「クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える」もよろしくお願いします!

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