2章

第1話

重い……。気が重い。今日だけ気圧高くない?もしくは俺だけ気圧すごく高い気がする。


今日からまた学校。昨日までが文化祭の代休で俺たちはまた学校に行かなければならない。本当に信じられない。もっと休みたい。文化祭で色々あった精神的疲れが全然取れてない。


姉ちゃんも既に帰っているからまた自分で家事をしなくてはいけない。しんどいなぁ~。


それに加えてなんか嫌な予感がするんだよな。はぁ、めんどくさいことが起こりませんように!





「グッドモーニング!神楽!」


あぁ〜、朝からうるさい。こんなに元気があるなら俺じゃなくて、他の陽キャに会ってこい。気が合うから。なんかそれにしてもすげぇ楽しそうだな。めっちゃ笑顔だわ。その元気分けて欲しい。


「おはよう、陽」


「おう!それより聞いたか!?」


「何を?」


このパターンでいいことを聞いた試しがない。


「噂だよ、噂!」


俺には学校の噂とか話題とか提供してくれるのは陽しかいないから当然知らない。


「もったいぶらないで言ってくれ。」


陽のにやけっ面からわかる。これは俺に得がない。むしろ聞いて損する系のやつだな。けど、聞かなければ始まらない。


「面白いぜ?文化祭のことなんだけどな?」


あぁ〜思い出したくない。思い出すだけで、恥ずかしい思い出が蘇る。


「謎のイケメンがいたんだってよ!しかもライダーの仮面つけてたんだってよー!服装から俺たちのクラスっぽいんだけど、誰かわかってないんだって!(笑)」


…………俺のことか?文化祭の片付けの時に仮面横につけてたし、北風のところに向かってた時も仮面つけて走ってたし。それを見られたってことか。でも…


「それ、俺のことだろ?なんで俺だってバレてないんだ?」


「多分な。片付けの時にも神楽は髪整えてたけど、誰もあの時のお前が神楽だって信じてないよ。あれは神楽の代わりとかになってるから。」


信じられないな。そんなことありえんの?クラスメイトだよ?髪整えたぐらいで分からなくなるもんか?


「でも、まぁ仕方ないな。これは。」


「なんでだよ?」


「だってクラスのみんなとお前の関わり薄いし。それにこんな前髪長い陰キャが、髪整えたらイケメンでしたって信じられないだろ?」


否定しにくい。言われてみればそうかもしれないな。高校に入ってから髪整えたのもあれが初めてだし。クラスも陽以外に話したことある人なんかほとんど居ないか。


かと言って「あの時のイケメン、俺です!」なんて名乗り出る気もない。目立ちたくないし、めんどくさい。それに信じてくれないだろう。人の噂も七十五日だ。すぐに無くなるだろう。


「まぁ言われてみればそうだな。あれ?まてよ、それじゃあ、仮面が急に売れたのって……」


「ん?あぁ。あれはお前が店番やってたって言うことと、その噂が文化祭中に広まってたからだな。北風さんも仮面つけてたってのもあるが。」


……マジでか。道理でなんか話しかけられることが多かったんだよ。どれもまともに相手してないけど。それに北風に仮面つけたのも俺だから、全ての元凶は俺じゃねぇか。まぁ、そのおかげで仮面が売れたのならクラスには貢献出来たみたいだし、よしとするか。


誰も俺がやったってことに気づいてないのが、複雑な気持ちだけど。


感謝されるためにやったんじゃない!親切心でやったことだ!そう思うことにしよう。


「あ、そうだ。そんなに色々なことあるなら他の噂とか知ってる?特に北風関連の噂」


「いや、特に聞いてないな。」


そうか。なら良かった。万が一北風と金髪豚ゴリラ関連の噂が広まっていたら、北風の評判が悪くなる。俺もあの時の情報を先生にも言ってないから広まることはないと思うが。


まぁ、もし広まっても対策はあったんだよ。人は大きな噂を好むだろうから俺が、南高一強いとか言われてる金髪ゴリラに勝ったとか、姉ちゃんの弟とか、実はあの時のイケメン俺でした、とかっていう噂を陽を使って広めようと思っていたが、その必要は無さそうだ。


……最悪なパターンは北風の噂が広まらず俺の悪評だけ広まるパターンだな。


「そうか。それなら良かった。他になんか噂とか聞いた?」


ここまで来たら他にも噂ないかな?俺関連じゃないやつ。


「良かった…ねぇ。まぁお前がいいならいいけど…。」




?何を言ってるのかよく聞こえない。急に声を小さくするな。


「なんか言ったか?」


「いや、なんでもない。噂なら…あと1個だけあるかな。」


まぁ、本人がなんでもないって言うならそうなんだろ。聞いても教えてくれないだろうし。


「教えてくれ。」


「あぁ〜。いいにくいんだけど、南高の不良を神楽がボッコボコにしたっていう噂………。」


…………Really?信じられない。嘘だろ?


「どこから流れてるのか俺も知らないけど…」


あの現場を見たやつがいたのか??それとも先生が原因か?反省文か??


まぁ、やっちまったのは事実だけどさ。ボッコボコじゃないよ?2撃で沈めたよ?俺も殴られたよ?


けど、納得した。気のせいかな〜って思ってたんだけど、俺がクラスに入った瞬間にみんながちょっと俺の方見てたんだよな。そんなの気のせいだと思ってたんだけど、俺見て「不良だ」とかって話してたんだろうな。


これは俺の思い描いた最悪のパターンだ。


これで俺は陽以外の友達を作ることが難しくなったな。ほとんど不可能だ。


自分のコミュ力のせいでもあるけど。


まさか、北風に言ったことを俺が実践することになるとは。


まさに今俺が思ってるよ。


こういう時にも離れないでいてくれる割と俺のことわかってくれる友達がいてよかったって。


おれといたら「不良だ!」って言われるかもしれないのに。


「はい、座れ〜。出席とるぞ〜。」


担任の先生が来たので、俺と陽は自分の席に戻る。


はぁ。また学校生活がめんどくさいことになりそうな予感がするな。


朝の予感がこれで終わればいいけど…。






後書き

更新遅くなってすみません。


ここから2章です。


少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをください!


「クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える」もよろしくお願いします!

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