第11話
「いらっしゃいませ〜」
今日は土曜日ある。と言っても修学旅行の代休なので、関係ないって言ってしまえばそれまでだが。部活はなにもしてない俺だが、バイトはしている。家から徒歩5分ぐらいのコンビニで、時給もよいので速攻で決めた。当然だが、バイト中は前髪を上げている。
あの修学旅行から3日が経過していた。あれ以降、特に変わったことは無い。
午前中だけ観光を行った。それだけ終わると荷物をまとめてバスに乗った。席は、行きと同じなので北風と同じ号車だ。
俺と陽は早めにバスに乗っていた。その時雨宮さんともすれ違い、
「…やっほー、陽、荒木くん」
「お疲れ様、雨宮さん」
「おー、海咲じゃん。どうした?」
「…修学旅行疲れた。だから、陽と一緒に晩御飯食べたい。」
「おぉーいいね、いいね!行こうぜ!どこに行く?」
「…着いてから決めたい。」
「了解!」
そんなお二人のお熱いトークを間近で聞いて、砂糖を吐きそうだった。
非リアにはきつい…
やはり、最後に乗ってきたのは北風たちだった。その時に一瞬北風と目が合った気がしたが、気の所為だろう。後ろの男子が、「おい、今北風さん俺の方見たぜ!目、あったもん!」「いや、俺だろ!」と騒いでいたので、間違いないだろう。
バスが出発すると、陽はすぐに眠ってしまった。北風達は修学旅行のことで騒いでいたが、俺は行きのバスほど居心地が悪くなかった。
そんな修学旅行5日目の出来事を思い出していると、また客が入ってきた。
「いらっしゃいませ〜」
そう言って営業スマイルを貼り付けて、レジで接客する。
「お疲れ様〜」
「お疲れ様です。店長!」
「元気だな。あ、そうだ荒木くん。余り物持ってきたから持って帰ったら?」
バイトがおわり、帰ろうとすると店長からそんな嬉しい提案が降ってきた。
「本当ですか!?ぜひ、お願いします!」
「そこにあるから好きなの持って帰っていいよー」
店長が指さす方を見て、何を持って帰るか選んだ。
「それではこの弁当を貰いますね。」
「はいよ〜。あ、明日はバイトが休みだからね?間違えないでよ。」
「わかっています。それではお疲れ様でした。」
そう言って帰路に着くことにした。
家に帰って、弁当を食べ、数学の課題をしていると電話がかかって来たので、携帯をとり確認すると陽からだった。珍しいな…と思いつつも出ることにした。
「もしもし、どうしたんだ陽。」
『おぉーでたでた。悪いな〜神楽。もしかして弁当でも食ってたか?』
「勉強中だ。」
『相変わらず…だな。まぁいい。そんなことよりさぁー明日の予定ってあるー?』
明日はバイトも休みだし、特に用事はない。
「いや、バイトもないし大丈夫だ。なんか用事でもあるのか?」
『おぉ〜、それなら良かった。明日アオンホールに来れるか?』
「別に行けるが、何するんだ」
『あぁ〜、向こうに着いてから教えるよ。』
「なんで秘密にする必要があるんだよ。今教えろよ!」
『秘密にしといた方が面白いだろ?そんじゃ金だけ持って1時に集合な〜。遅れんなよ!』
あっ!切りやがった…まぁ、いい。どうせ明日になったらわかるんだ。気にすることでもないだろ。そう思い、寝ることにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Side 川野陽
くぅふふ、まんまと引っかかりやがったな。神楽のやつ。計画通りだ。
明日のあいつの驚く顔が見に浮かぶぜ!
海咲からの頼みで、あ・の・人・の願いを叶えてやったんだ。恨むなよ、神楽?
いや〜、それにしてもたのしみだなぁ、明日。
1時に集合にしといたから、1時半までには俺に電話が来るだろう。今からなんて言っやるか考えとくか〜。
そう考えながら、俺は眠った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます