第26話

とりあえず、こういう場合ってどこに行くだろう…。体育館の方に北風が向かっていったのは見たが、途中までしか見ていない。




こういうパターンのテンプレは


「体育館裏か…」


まぁ、当てがある訳では無いので1番可能性が高そうな場所から行こう。とにかく時間がないから急がないと!


そうしてフルスピードで体育館裏に向かうと…


北風が泣いていた。


泣き虫なのかな?北風は。こんな短い間に2回も泣いてるところ見たんだけど。だが、今回は前回と違って最初から助けるつもりだがな。


北風の前にはあの時見た金髪の南高生がいた。どういう状況か知らないが、面倒くさそうだな。まぁ、今に限っては全然構わないけど。やる気マックスだから。


「何してんだ?」


「…うぅ…荒木くん…!」


泣きながら俺を呼ぶ声が聞こえる。返事はしっかりしないとな。


「呼んだか?北風」


できるだけ優しい声で答える。北風が安心出来るように。


北風をよく見ると右頬が赤い。それに唇も切れてる。殴られたのだろう。


なるほどな。間に合わなかったわけか。北風に俺のハンカチを渡す。


「なんだ?てめぇ?俺たちの邪魔しにきやがって。変なお面被ってヒーロー気取りのつもりかぁ?それともお前もこいつに騙されてるくちかぁ?なら教えてやるよ!こいつビッチだからさぁ、お前良いように使われてるんだよォ!お前も用が済んだらすぐ捨てられるぜぇ!こいつを助ける意味なんてねぇよ!俺と一緒にこいつであそぼぉぜぇ!今なら許可してやるよォ!」



「黙れよ、金髪クソブタゴリラ」


「あぁぁん??!!」


「黙れって言てんだろ?ブタゴリラ。邪魔したのは俺じゃねぇ。お前だよ。ビッチだとかどうとか知らねぇけどよぉ、北風は今ちょっとずつだけどいい方向に変わろうとしてんだよ。それを邪魔すんなよ。いつまでも過去のことを騒ぎ立てんな。鬱陶しいんだよ。それにな、北風泣いてんだろ?それだけで助ける意味はあるんだよ。」


「このっ!くそっがァ!!」


キレたゴリラが俺に思いっきり拳を顔面に放つが俺は何もせず、それを顔面で受ける。


「荒木くん!!」なんて言う北風の声は無視して動きが止まったゴリラの腹に蹴りを叩き込む。


「うぐっ!?」


「歯ぁ食いしばれよ。」


ゴリラからそんな声が出るが無視してお返しに顔面を思いっきり殴る。それでゴリラは気絶した。


南高1強いみたいなこと言ってたけど大したこと無かったな。


終わったら仮面を外して北風の方をむく。未だに泣いているが、その顔からは驚きの顔が見える。そんな北風と目線を合わせるためしゃがむ。ハンカチを渡したが、何も使っていない。まぁ今の状態じゃ何かをするのは難しいかな。


北風からハンカチを返して貰い、血の出ている唇と涙をふく。


そして語り掛ける。


「いいか?今回はどう考えてもお前の自業自得だ。今回は助けたが、次同じことがあっても俺は助けるつもりは無い。これは特別だ。これに反省したら、男遊びとかはもうやめろ。お前の価値を落とすだけだ。

それとな、北風。俺はお前が嫌いだ。理由はな、お前がずっと本当の「お前」を誰にも見せないからだ。取り繕ったような笑顔ばっか浮かべてるお前がすげぇムカつく。「自分」を見て欲しいならまずその"仮面"を外せ。そこから始めてみろ。そしたら「自分」を見てくれる人も増えるだろうよ。」



「うぅ…うん…うん…!」


と泣きながらではあるが俺の話は聞いてくれているらしい。まぁ泣きながら聞かれるのは複雑な気分だな。俺が説教して泣かしてるみたいじゃないか。


「あぁ〜、それと来るの遅くなってごめん。本当はもうちょっと早く来れた。でも、北風もゴリラについて行ってる時に、誰か助けを呼んどけよ?お前1人で何とかしようとするなよ?あっ!それと、木村さん達ずっと探してたぞ。あの人たちが俺に言わなきゃここに来れていないし、感謝しとけよ?」


それで言い終わるが、北風がまだ泣いているので、泣き終わるまで待つことにする。本当は移動したいんだけど。


「うぅ…ぐすっ…でも…それをいうなら…ぐすっ…荒木くんだって…」



「えっ?俺がなんだよ?」


「…ぐすっ…看板…1人で残って…仕上げようと…ぐすっ…してたでしょ…?」


「な…なんでそれを知ってんだよ…?あれは仕方ないだろ?陽は部活だし、それ以外友達いないし、それにみんなも作業してたし…って、見てたんなら手伝ってくれれば良かったんじゃねーの?」


「…でもっ…ぐすっ…私が手伝うって…言ったら…邪魔っていうでしょ…」


「いや、さすがに言わなかったと思うぞ?お前の中の俺は一体どういうイメージなんだよ…。」


いや、確かに嫌いだとは言ったけども…。あの時はかなり困っていたから、邪険に扱わないと思う。多分。


そこから10分ぐらいしたら北風は泣き止んだ。


「…ありがとう。ハンカチは洗って返す。血が落ちなかったら新しいハンカチ買って返すよ。」


「別にいい。それはお前にやる。気にするな。それより文化祭楽しめよ。まだ時間あるんだから。俺はゴリラを先生に渡してから行くから。」


「わかった。それじゃあ…行くね。」


「あ…あぁ、ちょっと待て」


そう言って呼び止めると北風が俺の方を向く。その瞬間にさっきまで俺がつけていたお面を北風につける。


「これ、ちょっとの間つけてろ。そんで、ちゃんと笑えるようになったら外せ。そこからほんのちょっとずつでいい。本当の「自分」を出せるように頑張れ。……あと、その服似合ってる…。あぁー!じゃあな!」


前も服の事で北風から色々言われたから今回はちゃんと言われる前に褒めた。似合っているのは本当だ。




「うん♪ありがとう!それじゃあ行くね!」


そう言って北風は仮面をつけたまま俺に背を向けて走っていった。次会う時には仮面は外れているだろう。


そして入れ違いに来るように先生方がきた。陽には、北風が泣き終わった頃に連絡していたのでそろそろではないかとおもっていた。


俺はその場で事情を説明した。が、北風のことは一切話していない。揉め事があって殴り合いに発展した、ということにした。原因はゴリラが勝手にふっかけてきている設定なので、俺は無罪放免かな…?って思ったがそう甘くはなく、後夜祭の時間に反省文を書くことになった。これは俺としてはありがたい!誰かと踊るなんて出来ないから抜けるつもりでいたからな!


だが修学旅行の時といい、また反省文か。俺も不良になってるのかな?


ゴリラはこの学校から追放された。


さてと俺も残りの文化祭を楽しみますかね。







後書き

一件落着!しかし、文化祭はまだ続きます!


少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをください!


感想もお待ちしております。


「クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える」もよろしくおねがいします!

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