第10話
「やばいな、これ…」
「やばいわね、これ…」
「やばくね?これ…」
「…うん、ヤバい」
「どうしよ?」
現在俺たちは羽付きを終え、荒木家に
「まさか、こんな急にくるとはな」
「予報だったら夜からだったんだけどなぁ」
「…うん、予想外」
「まさか、ただの雪が
そう俺たちは今、猛吹雪により外とは隔離されてしまっていた。
羽付きが終わった頃はまだ雪がパラパラと降っているだけだった。少し運動して疲れたので家でゆっくりしていて、「じゃあ、解散するか!」ってなった時にドアを開けた時には強力な風と大雪に見舞われた。俺たちはゆっくりとドアを閉めた。
正直俺たちに打つ手なんてなかった。車も無理だし、こんな中で帰るなんて事故や怪我、病気になる。そんな中を「歩け!」と言うほど俺も鬼ではない。
「調べたけど夜まで止まらないぽいよ」
北風がスマホを使って天気予報を確認してくれる。その情報に俺たちは再び頭を悩ませることになった。
間違いなくこの吹雪は我が姉の仕業である。きっと羽付きで手加減なるものを覚えてそれを実践したからに違いない。
きっと姉ちゃんが手加減なんてしたから神も驚いて間違えて大吹雪を振らせてしまったんだろうな。もしくは姉が手加減したことによる天変地異の前触れのどっちかだ。
まぁ、冗談はこれぐらいにしといて天気予報の情報が正しいならもう俺たちに取れる手段は1つしかない。
「みんな、今日は家に泊まっていかないかしら?親御さんには私からも連絡するわ」
「まぁ、それしかないわな。こんな吹雪の中外を出歩いたら間違いなく怪我するわ」
そう。つまりは
幸いにして食料は年末に買ってある。安かったのでできるだけ多めに買っておいたのが幸をそうしたな。まさかこんな形で大盤振る舞いするとは思わなかったけど。
「服は……」
「女の子は私の服を貸したら何とかなるかな?」
「じゃあ、陽は俺の服貸すわ」
1セットぐらいなら下着の新品もあったと思うからそれを陽に使わせたらいいか。
「ごめんね、陽くん、神楽のダサい服で」
「いえいえ、全然大丈夫です!」
なんて酷いこと言いやがる…。ジャージの何が悪いんじゃぁ!!今度、ジャージのすばらしさについて教えこんでやろう。
布団は両親が使ってたやつとお客用のやつがあったな。それを出せば何とでもなるだろう。
これで衣食住の全てが揃ったな。
「でも、荒木くんは迷惑じゃないの?」
北風が心配そうな顔をして聞いてくるが…
「全然迷惑とか思ってないから大丈夫だ。そもそも俺の冬休みの予定って初詣が終わったらあと空白だからな」
「荒木くん…」
「神楽…」
「…荒木くん」
「荒木先輩…」
「神楽先輩…」
なんで俺が哀れみの目を向けられてるんだ??むしろ今年の新年の予定って俺からしたらめっちゃ立て込んでるレベルだ。大晦日に大掃除、新年に初詣…、忙しすぎるな。
「今度、一緒に遊びに行くか?」
「いや、変な気遣いなんてしなくていいから」
なんで陽に変に気を遣われなきゃならないんだよ。
あ、用事といえば……
「姉ちゃん、もうやった?」
「そういえば、まだやってなかったわね」
俺と姉ちゃんの会話に全員が頭に?マークを思い浮かべる。
「「「「「「??」」」」」」
「なら先にそっちやるか」
「神楽先輩、何やるんですか?」
「あぁ、うーん、初詣っていうか……挨拶だな。あ、せっかくだしみんな来る?」
ということで全員が着いてくることになった。俺はリビングを出てある部屋の扉を開けた。
その部屋はとても片付けられていて端っこにひっそりと仏壇が置かれているだけのシンプルな部屋であった。
それを見てすぐに全員が察しんたんだろうな。少しだけ緊張感が走ってるのが分かった。そんなに緊張しなくてもいいと思うんだけど。
「……新年開けたよ。父さん、母さん」
……墓の方には行けそうにないからこれで許して欲しい。そうは言っても年末に行ったから充分だろ。
「……あの神楽が友達を連れてきました」
……それいる??そんな重大な報告みたいにされても……。
……今日は騒がしくなるかもしれないからごめん。
後は適当にお供えしてっと…。
「よし!おわり!せっかくだしみんなも挨拶しとく?多分そこらの神よりは贔屓にしてくれると思うから」
全員が両親に手を添えることになった。きっとあっちで2人とも喜んでいることだろう。
「さて、何する?って言ってもなんかあったけなぁ」
外に出ることが出来ず、家に避難する以外に取る選択肢がなかったとはいえ、俺たちの家にはそこまで娯楽の品がある訳では無い。ない訳でもないが、結構古いものしかない。漫画やラノベなら最新巻まであるんだがなぁ。
「それなら勉強するのはどうかしら?神楽たち高校生組は冬休みの課題が、雪乃ちゃんたち中学生組は受験勉強するの」
「え゛?」
若干1名が驚きの声を出しているようだ。
「で、でも俺たち課題とか持ってきないですよ!?」
「俺のやつ貸してやるよ。どうせ、陽のことだからはまだ終わらせてないだろ?ノート提出のものとかあったからできるぞ」
「こんなところまで来て……課題だなんて!!」
「お前…最後に溜めすぎなんだよ。どうせ最終日にワンナイしても終わらないんだからここでやるのはラッキーだろ」
ちなみにワンナイとはワンナイトの略で要は一夜漬けだな。他にもオールなんて言ったりもする。
「…陽、仕方ない」
「……はァァ……。ここまで課題なんて私も嫌だなぁ…」
崩れ落ちる陽に雨宮さんは優しく声をかけても中々起き上がらない。これは珍しく重症だな。いつもなら雨宮さんの応援があれば頑張るのに。
「うっうっ…。神楽の部屋でエロ本探しでもしたかった…」
「テメェ、後で覚えてろよ?」
絶望の理由がしょうもなさすぎる。
「その様子ならあるのか!?」
ガバッと急に起き上がって俺を見つめてくる陽。こいつ…!言ってることはゲスいクセに目がすっごい純粋。ここまで来たら尊敬するわ。
「あるわけないだろ!!?」
「無いんだ…」
待て、何故そこで北風が反応するんだ。その様子じゃ俺があると思われてたみたいじゃないか。え?あると思われてたのか?地味にショックなんだが…。
「その間月夜さんはどうするんですか?」
「私は……そうねぇ……。雪乃ちゃんと陽菜ちゃんの勉強でも見ようかな?中学の時の内容なら自信あるし!」
あぁ…。そうだろうな。姉ちゃんって結構頭良かったし。
「陽菜ちゃん、しっかり見て貰って。姉ちゃん、頭いいからさ」
俺は陽菜ちゃんの家庭教師をやっているが、本日は特別講師として姉ちゃんに教えてもらおう。多分俺より優秀だから問題ないだろう。
「分かりました!頑張ります!」
全くこのやる気具合よ。今もへたれこんでる陽とは真逆じゃないか。
「それじゃあ、頑張りましょ!」
「「「「「「おー!!」」」」」」
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